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経済学はどのように世界を歪めたのか の商品レビュー

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2023/01/10

SMBC日興で毎日JGBモーニングコメントを書いている森田氏の著作。タイトルの「経済学が世界を歪めた」や「経済ポピュリズム」とはなんのことだろう、と思ったらなんのことはない、黒田日銀体制・リフレ派への批判だった。 合理的経済人なんて実際には存在もしない仮想人物を設定して理論あり...

SMBC日興で毎日JGBモーニングコメントを書いている森田氏の著作。タイトルの「経済学が世界を歪めた」や「経済ポピュリズム」とはなんのことだろう、と思ったらなんのことはない、黒田日銀体制・リフレ派への批判だった。 合理的経済人なんて実際には存在もしない仮想人物を設定して理論ありき、全然現実を予測できてこなかった伝統的経済学。そんなところに、デフレが日本経済の諸悪の根源で金融緩和すれば全てが解決するという”愚かなリフレ論”をアメリカかぶれの経済学者が持ち込んだ。バブル後の長引く不況に困窮したサイレントマジョリティは、"愚かな"のでこの単純なロジックに飛びつく。2000年代ネット黎明期の未熟な言論空間も相まって、国民総出で日銀叩きに走り金融緩和圧力をかけた。それがこのありさまだ、といった内容。 400ページ超もあるが全体的に冗長でまとまりに欠ける。「結局、何が言いたいの?」と思うところが多く、「どうするべきだったか」という”方向性”を示していない評論が多いからなのだと思う。数少ない方向性を示したQQEの評価に関しては、この人が2012年以前から反論していたのかは知らないが、結果を見てからの後出しじゃんけんのようであまりフェアに聞こえなかった。 あと、著者は新自由主義が嫌いで、彼らはイコールリフレ派で、イコール右傾化したサイレントマジョリティで、イコール・ポピュリスト、イコール・ネトウヨだそうだ。イコール多すぎ。どんなモンスターよ。 経済学(あるいは金融政策)が浮世離れしていて人々のためになっていない、従来の経済の枠にとらわれず歴史学や政治学なども取り込んで真に人々の役に立つ学問にすべきという主張は共感できた。

Posted byブクログ