堕落刑事 の商品レビュー
生業の傍ら8年かけて練り上げたというデビュー作にして重厚な仕上がりの一冊。上役にはめられて「堕落」させられた若い刑事が、にもかかわらず「正義」を貫ぬき通すべく苦難の道を歩まんとする姿はハードボイルドの原点(タフでなければ生きて行けない、優しくなれなければ生きている資格がない)を思...
生業の傍ら8年かけて練り上げたというデビュー作にして重厚な仕上がりの一冊。上役にはめられて「堕落」させられた若い刑事が、にもかかわらず「正義」を貫ぬき通すべく苦難の道を歩まんとする姿はハードボイルドの原点(タフでなければ生きて行けない、優しくなれなければ生きている資格がない)を思い起こさせる。
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評価も高く心待ちにしていたのに、184/614pにて挫折。 優れた小説には読書にドライブをかける要素が備わっているはず。魅力的な登場人物だけではなく、この先どうなるのか気になる物語(事件でも可)とか、もっと詳しく知りたいと思わせる主人公の置かれた環境(例ボルティモアのストリート、...
評価も高く心待ちにしていたのに、184/614pにて挫折。 優れた小説には読書にドライブをかける要素が備わっているはず。魅力的な登場人物だけではなく、この先どうなるのか気になる物語(事件でも可)とか、もっと詳しく知りたいと思わせる主人公の置かれた環境(例ボルティモアのストリート、パリ3区のアパートメント、特捜班の一癖あるメンバー達、など)とか。 本書の場合、舞台がマンチェスターで章タイトルがJoy Division の曲名であることはものすごく期待を高めたのだが…。ここまで読んでも物語が大きく動き出さないのは(なおかつ他に魅力的な要素に欠けていると)とても辛く、残念ながら途中終了となった。 この手のミステリでは、大変稀なこと。評価なし。
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弱くて愚かな主人公に感情移入は難しいけど、20代の主人公なら、まぁ許しちゃうか。イギリスっぽい陰湿な策略に絡み取られる主人公が不憫っちゃぁ、不憫。
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イギリス生まれのノワール、というのが意外だ。誰かが本書をレビューして馳星周のようだと書いていたが、なるほど日本でのノワールだって他所の国の人には意外と思われていたかもしれない。ノワールは出所は、フレンチ、やがて大西洋を渡り、アメリカではジム・トンプソン、ジェイムズ・エルロイへと...
イギリス生まれのノワール、というのが意外だ。誰かが本書をレビューして馳星周のようだと書いていたが、なるほど日本でのノワールだって他所の国の人には意外と思われていたかもしれない。ノワールは出所は、フレンチ、やがて大西洋を渡り、アメリカではジム・トンプソン、ジェイムズ・エルロイへと受け渡されてゆく。そのエルロイにべた惚れし、その文体やリズム感を受け継いで才能を開花させたのが馳星周だということは、作家以前の彼から惹き出したぼくの私的類推。 さて、そうした流れとはきっと何の関係もなく、一匹狼のマンチャスター市警の警察官が、ヤクザ組織に潜り込み、そこである重要人物が殺害されるという事件に巻き込まれ、四方八方から追われつつ、真相を究明するという凄くスリリングなストーリーである。本書の解説では残念ながら殺害されてしまう重要人物までも明らかになっており、これ自体が中間章ネタバレなので、未読の方は是非解説を先読みしないよう留意されたい。 とにかく主人公の潜入刑事エイダンが救われる可能性はあまりにも低いように思われるところが本書の凄さだ。生き延びるためのただ一つの道は、暗闇の中の曲がりくねった隘路のようにしか思えない。それほどスリリングで危険で、命からがらの旅がエイダンと読者とを待ち受けている。 悪党どもの個性と癖の強さも本書の売りと言っていいだろう。裏切りと暴力と血と暗闘に満ちた、警察と暴力組織と。一見泥にまみれた誇りもくそもない負け犬刑事のエイダンが、誇り高き騎士に見えてくるほど、世界は汚泥に塗れ、暗闇の中で若い男女の血を啜ろうと待ち構えるまるで吸血鬼みたいなのだ。 まさに社会の裏側を走る暗黒小説であり、そこをタフに泳ぎ抜けるか否かを見極めるスリルに満ちたアクションと駆け引きの物語。エンターテインメント性でともかく群を抜いたシリーズの登場にまずは文句なしの喝采を贈りたい。若き書き手として楽しみな英国作家の登場である。彼が本作を仕上げるのに八年を費やしたと聞いただけで眩暈がしそうになる。作家的資質の他に、なみじゃない根性の持ち主でもあるということだ。なるほど!
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タイトルの通り堕落しているけれど、底ににいるわけでもない。潜入捜査をし暗い部分をこれでもかと見、それを正そうとする。暴力あり、権力、悪。そのなかに巻き込まれていく。淡々と、でも暗さと重さのある語り口がいい。ラストの渇いた感情のなかにたくさんのものが詰まっているような終わり方も好み...
タイトルの通り堕落しているけれど、底ににいるわけでもない。潜入捜査をし暗い部分をこれでもかと見、それを正そうとする。暴力あり、権力、悪。そのなかに巻き込まれていく。淡々と、でも暗さと重さのある語り口がいい。ラストの渇いた感情のなかにたくさんのものが詰まっているような終わり方も好み。2作目もぜひ読みたい。
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マンチェスター警察のエイダン・ウェイツは、麻薬密売組織への潜入捜査を命じられる。しかし司法大臣に呼び出され、娘が組織の人間と一緒にいて家に帰って来ない、様子を探ってくれと頼まれる。また、10年前に組織に不利な証言をする予定だった女性が行方不明になっている。だらしの無いウェイツは果...
マンチェスター警察のエイダン・ウェイツは、麻薬密売組織への潜入捜査を命じられる。しかし司法大臣に呼び出され、娘が組織の人間と一緒にいて家に帰って来ない、様子を探ってくれと頼まれる。また、10年前に組織に不利な証言をする予定だった女性が行方不明になっている。だらしの無いウェイツは果たして真相にたどり着くのか、警察内で組織と癒着してる者は誰なのか。 最初は面白いと思ったのだけれと、途中少ない登場人物が割と同じような展開でもたつく感じがして、ちょっと飽きてきた。しかし、某登場人物が殺される辺りから、グッと引き込まれる。 ウェイツは何度も身が危なくなるのだが、ラスト近辺で本当にヤバくなる辺りは読むのをやめられなくなるほどに緊張感があった。次回作、ぜひ読みたい。
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現代イギリス(イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)のミステリーは、文学・TVドラマ・映画を問わず、ほとんどがドラッグ・酒・不倫を主題としている。謂わば三点セットだ。TVのAXNミステリーを見るがいい、どのプログラムも毎回この三要素を中心に話が進む。この『堕落...
現代イギリス(イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)のミステリーは、文学・TVドラマ・映画を問わず、ほとんどがドラッグ・酒・不倫を主題としている。謂わば三点セットだ。TVのAXNミステリーを見るがいい、どのプログラムも毎回この三要素を中心に話が進む。この『堕落刑事』もその例外ではない。だからと言って、話が面白くないというわけではない。文庫で約600ページだが、4日ほどで読み切った程のページターナーだ。表向き悪徳刑事が馘と引き替えに上司から潜入捜査を命じられる。筋書きが複雑で、終末近くなるまで何が本当の結末なのか判断がつかない。それでも読み続けるのは著者の筆力なのか。これが処女作とのことだが、多分次作も読むことになるだろう。
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“密命”を受けて活動している刑事が在って、色々な事が起きて行く訳なのだが、物語の中の挿話の多くは夕方から深夜の時間帯だ…何かナイトブルーから漆黒の空を背景に、過ぎる程に鮮やかなネオンやナイトクラブから漏れる照明や該当が滲んでいるような、鮮やかな世界で作中人物達が蠢いているような感...
“密命”を受けて活動している刑事が在って、色々な事が起きて行く訳なのだが、物語の中の挿話の多くは夕方から深夜の時間帯だ…何かナイトブルーから漆黒の空を背景に、過ぎる程に鮮やかなネオンやナイトクラブから漏れる照明や該当が滲んでいるような、鮮やかな世界で作中人物達が蠢いているような感なのだ… 「警察からはぐれかけている男」ということになっているエイダン・ウェイツ刑事は、“密命”を与えている警視へ密かに報告をする以外に、何らの助けも無い中、独力で様々な関係者が蠢く中で事件に「首まで浸かる」かのような様相で奮戦する… 何が明かされ、何が明かされていないのか?誰が本当の敵で、誰が本当の味方か?巻き込まれて「首まで浸かる」というような羽目になった事態の真相は何処に?眼が離せない展開が連発する… 非常に愉しい!!
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