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する、されるユートピア の商品レビュー

3.8

8件のお客様レビュー

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2023/08/28

これは詩なのか?散文なのか?不思議な本だった。タイトルも意味が分からずに?ばかりの本だったが、文章は読みやすく、流れるような響きで、洗練されているとは思った。しかし、難しい言葉があるわけではないが、何を語っているのかを掴む上では難しかった。とにかく不思議な印象。私自身のテリトリー...

これは詩なのか?散文なのか?不思議な本だった。タイトルも意味が分からずに?ばかりの本だったが、文章は読みやすく、流れるような響きで、洗練されているとは思った。しかし、難しい言葉があるわけではないが、何を語っているのかを掴む上では難しかった。とにかく不思議な印象。私自身のテリトリーである武庫川、武庫川を横切る新幹線、ダイエー(西宮市門戸の近く)、廃線跡ハイキング(福知山線の生瀬・名塩周辺)、西宮浜などの場所を示す言葉で親しみは感じたが、やはり著者は関学出身のようだ。

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2023/02/03

「水っぽい、と言われることはうれしいのかな、硬く、どんどんと重くなるのを切望されるのに、ゆがみなく、大きく生きることが本質なのに」

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2023/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『川をすくう手』 保健室の水道、勢い、ばっと出るお湯に手を入れて、温かさと体だけでこんなに気持ちいい。はい、と言うとカーテンが引かれる、黄緑で四角く仕切られていきなり僕の場所になる、囲まれて横たわる。ベッドでどんな顔してもあちらに見えない。ベルトがじゃまで腰を浮かしながら外す、見えるのは学校の天井だけ、熱とふとんからは誰かのにおいがして僕は安心目を閉じる、無事起きられたらまた会える。 … 『はだしになってもないの、根』 寝るには真四角な床、手のひらは強く握っても すき間は絶対なくならない、爪5コ全部はすり合えない … 『光る川はそのまま、それで、これは流していいんだっけ』 母さん、と何回でも呼ぶ。言葉というもの、遠慮がちに足をつけてた。本当はもっと沈み込むべきだった、それはこんなに大きな違いだった。 … 『大丈夫、中空で飛ぶ』 握れば手はきちんと柔らかく、 これでいろいろをして来たのだろう どこでも行った、何か殴った? 分からないならいいです、と言うかもな つらさに直にさわれないのは良くない … 『母国』 手のひら全体で地面を押しもどして、白いマスクを外す。鼻からはこれほどの呼吸、においは確かにここにあると思って上を見る、銀河はもっと混み合っているだろう。 …

Posted byブクログ

2022/02/09

意味を解されることに抵抗しているようなその逆のような表象がある。 声にだして読んでみると気持ちがいい。

Posted byブクログ

2022/01/06

「ーー見た?見られた、どの体も同じくらいみずみずしい、ぼくたちはいつも、離れる力で衝突大破をくり返す、さまよう広がり、ひびわれの砂だ、ミューゼスの海だ。ーー」 まず、私家版で2019年の中原中也賞に選ばれたのが異質だな、と感じそれと装画も作者が手掛けてる。多才と思った。 意味の通...

「ーー見た?見られた、どの体も同じくらいみずみずしい、ぼくたちはいつも、離れる力で衝突大破をくり返す、さまよう広がり、ひびわれの砂だ、ミューゼスの海だ。ーー」 まず、私家版で2019年の中原中也賞に選ばれたのが異質だな、と感じそれと装画も作者が手掛けてる。多才と思った。 意味の通じることではなくすべての言葉の帯で繋げて綺麗でも美しくもないかもしれないけど、すべてすべて言葉なら良かった。この詩集を読んでそう思った。

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2022/01/23

初めて最近の詩集をよんだ 浮かぶ情景やその奥のメッセージみたいなものが短い文につまってて深みを感じれたふしぎ . 再読 "ぼく"の幼い頃のお母さんとの思い出、と、その回顧。水は常に形を変えて流れて、光って、ぼくは流れて成長して、川に、野菜に、貝に、鳥に...

初めて最近の詩集をよんだ 浮かぶ情景やその奥のメッセージみたいなものが短い文につまってて深みを感じれたふしぎ . 再読 "ぼく"の幼い頃のお母さんとの思い出、と、その回顧。水は常に形を変えて流れて、光って、ぼくは流れて成長して、川に、野菜に、貝に、鳥になり、宇宙へと広がる。そうやってわたしたちは、戻らず、流れてく。 みたいな印象 難しい言葉を使わずにすっきりとした文章量でこんなに鮮やかな情景が浮かぶ、読んだ感じはさりげないんだけど、無駄がなくて大事な表現が詰まってる?

Posted byブクログ

2020/10/19

『タクシーから降りたら二人、抱きしめてもらおう、何も言わなくてただかたまって、両腕の間に進む。体からはきっと、母だけのにおいがするだろう。』―『光る川はそのまま、それで、これは流していいんだっけ』 喪失に寄せる思いが言葉を引き寄せる。けれど自分が用いる言葉に対する違和感が表現し...

『タクシーから降りたら二人、抱きしめてもらおう、何も言わなくてただかたまって、両腕の間に進む。体からはきっと、母だけのにおいがするだろう。』―『光る川はそのまま、それで、これは流していいんだっけ』 喪失に寄せる思いが言葉を引き寄せる。けれど自分が用いる言葉に対する違和感が表現したものに遡って侵食するのが耐えられないと詩人は語る。並べられたような普通の言葉たちは日常を切り取る不器用と思うほどに飾りのない言葉。しかし流れていく時間や思いに嘘をつかぬよう選ばれた言葉は語りたい出来事と語りたい気持ちをきちんと伝えてくるよう峻別されている。小さく区切って取り出せば抒情の波に洗われている言葉の連なりも、連の中では落ち着いた響きを逸脱しない。そのことが言葉の向こう側の奥行きを強調する。 『わたしはもう、感動したがるのをやめる/いちばん近い言葉を選ぶ、すべて、驚異に満ちている』―『大丈夫、中空で飛ぶ』 巻末近くになって詩人の覚悟がまっすぐに言葉となって表れる。それは詩として読まれるべきものであったのかと思わず問うてみたくなるほどにまっすぐな言葉。しかし一巻を通しての物語にはどうしても必要なものだったのだろう。言葉に対する違和感は、失われてしまった「時」 ― それが母親との死別に還元されるものなのかは兎も角も、失われてしまった児童性(それを中性性と呼び変えてもいい)、すなわち成長してしまう身体と過去に留まりたい精神の不均衡に由来することは明か ― に対する執着によるものと自覚しつつ流れるものの中に立ち止まり続ける=抵抗する気持ち。それを武装解除するという宣言。水や川というモチーフが全編に表れ変化するものを示唆する。それは逝った人の悲しみも一緒に閉じ籠っていた殻を流すこと。自伝的詩集。

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2020/01/30

足元をすくわれて、転んだけど地面がふわふわしていて、ずっと跳ねているような作品。第24回中原中也賞受賞。

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