奈良監獄物語 の商品レビュー
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○奈良少年刑務所の受刑者たちと詩を作ってきた著者が、「建物」に自分の半生を語らせた絵本。 建物は残ったが、少年たちの更生に力を尽くしてきた町の人々や職員、ボランティアの皆さんのお気持ちも伝わってくる。 この刑務所を離れた少年たちに、届いているとよいなと思います。 明治五大監獄。 →山下啓次郎の設計。 「受刑者の人権」を考え、再出発のための希望の場所として設計した。 「奈良監獄」は全てが結集され、彼が設計したもので残っている最後の監獄。 →不平等条約の改正のための布石の一つ。 →囚人たちが赤煉瓦を積み上げ、建設した。 五翼放射状舎房 →五本指のようにひろがる。 →「教会の聖堂」のような美しさを持ち、その質素さは修道院のよう。受刑者の心を癒すためにという山下啓次郎の思いがこめられている。 「奈良刑務所」時代 →思想犯が投獄されるようになる。 →太平洋戦争勃発。古都奈良の仏像や国宝の疎開が始まる。吉野に避難する仏像を受刑者たちが運んだ。 「奈良少年刑務所」時代 →若い受刑者のために、職業訓練所として整備された。 →町ぐるみで受刑者の更生を応援していた。 2014年 建物を解体、新築する計画 →山下洋輔さんを会長に、保存を求める会を立ち上げる。日本建築学会、奈良県議会、地元自治会が、賛同。 →2016年 少年刑務所は閉鎖、建物は保存が決定。 巻末に、歴史年表・五大監獄の紹介・奈良監獄建築配置図。
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明治に建てられた赤レンガ造りの奈良監獄。国の重要文化財となっている。その建物が語る収監・刑法などから見た日本の歴史。監獄→刑務所→少年刑務所と姿を変え、現在は文化財として開放されている。 作者・寮美千子 は、少年刑務所の更生事業の一環に関わったことから、建物の保存運動を立ち上げた...
明治に建てられた赤レンガ造りの奈良監獄。国の重要文化財となっている。その建物が語る収監・刑法などから見た日本の歴史。監獄→刑務所→少年刑務所と姿を変え、現在は文化財として開放されている。 作者・寮美千子 は、少年刑務所の更生事業の一環に関わったことから、建物の保存運動を立ち上げた。その経緯も描かれている。 ジャズピアニストの山下洋輔も保存に重要な役割を果たしていたとか。意外なことが多くあった。
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