BIMのかたち の商品レビュー
プラットフォーム。 時間を、空間を、縦にも横にも捉え、連続させ、存在させるシステム。都市という形を為す汎ゆる存在をデジタル世界にも同一に存在させ、世界を認識するもう一つの方法を加え、情報という属性において繋ぎ詳らかにする。それによって、これまでの認識の仕方における欠損を埋め、その...
プラットフォーム。 時間を、空間を、縦にも横にも捉え、連続させ、存在させるシステム。都市という形を為す汎ゆる存在をデジタル世界にも同一に存在させ、世界を認識するもう一つの方法を加え、情報という属性において繋ぎ詳らかにする。それによって、これまでの認識の仕方における欠損を埋め、その上により高位のアプローチを可能にする。この世界を恰も形作るものたちのプラットフォームになる。それがBIMという「概念」だ。 概念はシンプルだけれど、それを実装することはまるで追いつかない。様々な技術的課題がようやく立ちはだかって、それをどのような手段でアプローチで乗り越えていくのか。そのトライアルが始まっている、位のフェーズだろう。プラットフォームという「場」となり得るためには、「簡単」であることが必要だ。現在のテクノロジーが、どこを目指しているのか何を実現しようとするのか、という目的において、成功を納めている姿をみればそれは明らかだ。SNSというものはだれでもがおなじように扱えるという存在の仕方によって、プラットフォームに成り得ている。確かに、呟くのも、動画を映すのも、繋がるのも行為としてはごく簡単なことだが、対して、建築・土木から始まる、建設、エネルギー、サプライチェーン、都市形成・コントロール、そもそもの建造物の利用計画にまで及ぶ、様々な行為のプラットフォームとして、同じように簡易的に実現するということは、比べられないほどの困難、いってみれば位相の隔絶があるのだろう。 ただのモデリングツールとして、建設行為において生み出されるメリットの大きさから、施工者においてBIMツールの活用が広まっている。その理屈は設計者においても同じだ。しかし、本来は設計ー建設間において当然に連続させたほうがよい、その連続、データの連携ですらもほとんど図られていないのがいまだ。ひとつひとつのツールで立ち止っている。BIMソフトの違い、ひとつひとつのツール・サービスの違い、つまりは提供者の利害関係、商慣行の縛り、契約行為の壁、これまで通りの仕組みにどうしたって絡み取られてしまって、それらの結び目を解くことが一々並大抵にはいかない。データというもので情報を繋げ連続させていくときに、統一的で、同時に様々な部分や詳細に変換させていくことができるダイナミックな柔軟性をもった汎用的な規格という姿(技術)を実現するということが、一つの大きな障壁だ。 きっと、ソサイエティということばに示されるとおりのオープンで縛られないアプローチが必要になってきている。何かを誰かが発明するだけではきっと足りないということだ。あらゆる力で、あらゆる立場で、あらゆる目的で、それらが等価に、一つの概念的なゴールを共有して、選択する道順はさまざまに取りながら、それらを共有しながら、向かっていく。新しい物事への向き合い方が必要となってきている。それはもう発露しはじめている。現代に表れているさまざまな社会の姿は、そういう方法の選択を示している。ひとつひとつを超えていく。制限を課すのではなく、課さないことにより手に入る利益を見通すことができる力が、これからの社会では必要な要素になっていく。BIMという概念が形作られていくのも、きっと同じ要素によって齎されていくはずだ。
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