降らなきゃ晴れ の商品レビュー
キャンピングカーに乗った流浪のカメラマンが写真撮りながら時々探偵する話。 多分この探偵業は石屋より儲からないのではないだろうか。どこかでガス欠になって野垂れ死にしなきゃいいがと心配になる。
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06月-06。3.0点。 「虚国」に出ていた、廃墟カメラマンが主人公。 ワーゲンバスで移動し、写真を撮りながら生活。探偵業も兼ねる。 読みやすい。正統派の探偵短編という感じ。次作も期待。
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短編で、それぞれの話に繋がりがないので読み応えがなかった。 先が読めない話が多く、一つ一つは面白かった。 キャラクターに感情移入しづらかった
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いろいろ訳ありな雰囲気がある写真家兼探偵の辰巳ですが、現在は良い感じに力が抜けていて楽しそうな人生を送っている。 行く先々で事件に遭遇するものの、深く入り込み過ぎずかつ傍観者過ぎず、絶妙な距離感のスタンスは大人の作品だという印象です。 読了後に解説を読むと過去2作の長編の主人公、...
いろいろ訳ありな雰囲気がある写真家兼探偵の辰巳ですが、現在は良い感じに力が抜けていて楽しそうな人生を送っている。 行く先々で事件に遭遇するものの、深く入り込み過ぎずかつ傍観者過ぎず、絶妙な距離感のスタンスは大人の作品だという印象です。 読了後に解説を読むと過去2作の長編の主人公、しかも両方とも読んだことがあり、自分の評価も良くなかったので、上手く進化させたなと思いました。
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改造したフォルクスワーゲン・タイプ2をねぐらにし、フリーカメラマンと探偵という二つの顔で、行く先々で事件に関わる辰巳。他の香納さんのハードボイルド系と比べると薄めですが、それでもそのようなシーンはそこそこあり、香納さんらしいものなのだと思います。主人公が信念をもって動くので好感が...
改造したフォルクスワーゲン・タイプ2をねぐらにし、フリーカメラマンと探偵という二つの顔で、行く先々で事件に関わる辰巳。他の香納さんのハードボイルド系と比べると薄めですが、それでもそのようなシーンはそこそこあり、香納さんらしいものなのだと思います。主人公が信念をもって動くので好感が持て、中編三つを細部まで堪能しました。中でも印象深いのは辰巳の過去にも関わる「バーボン・ソーダ」。苦い余韻が後を引きます。こちらはシリーズで3ヵ月連続刊行だそうです。辰巳はこの後どんな顔を見せてくれるのでしょうか。
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知らなかった、こんな上手い書き手がいた。って当たり前だ、自分の乏しい読書生活じゃ出会ってない作家は山ほどいる。 しかしこの探偵さんは魅力的だ。
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著者はこの手のものを書くのに向いていないのではないか。長編の警察小説やミステリはあんなにおもしろいのに。 ハードボイルドぶって、かつさすらい者ぶった主人公の存在がリアリティーを欠く。現実の世界ではありえない、というわけではなく、この小説の世界なら当然こんな人が存在しているだろうと...
著者はこの手のものを書くのに向いていないのではないか。長編の警察小説やミステリはあんなにおもしろいのに。 ハードボイルドぶって、かつさすらい者ぶった主人公の存在がリアリティーを欠く。現実の世界ではありえない、というわけではなく、この小説の世界なら当然こんな人が存在しているだろうという信頼を持つことができないという意味である。長編なら、主人公の過去なども書きこむことでリアリティーを出せたのかもしれない。 それぞれの短編で、事件解決のプロセスで偶然に頼りすぎなのもしんどい。積極的に謎を解いていくプロセス、ハードボイルド物ならいろんな人にインタビューしてゆく過程が短編では書き込みづらいからだろう。 長編の警察小説が積読になっているのでそちらを楽しみにしようと思う。
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辰巳翔一のその後を描いた中編シリーズの開幕である。 この探偵には、既に三つの顔がある。写真週刊誌カメラマン。私立探偵。そして廃墟カメラマンだ。香納諒一が小説家として踏み出して間もない頃、この探偵は初めて生み出された。既に中年という領域に足を踏み入れていたぼくの眼には、若い作...
辰巳翔一のその後を描いた中編シリーズの開幕である。 この探偵には、既に三つの顔がある。写真週刊誌カメラマン。私立探偵。そして廃墟カメラマンだ。香納諒一が小説家として踏み出して間もない頃、この探偵は初めて生み出された。既に中年という領域に足を踏み入れていたぼくの眼には、若い作家の作品とは思えないくらい、大人びた作品としての仕上がり具合に驚かされている。絶賛したくなったのが『春になれば君は』(文庫化に当たって『無限遠』と改題)である。 その頃は写真週刊誌カメラマンの立場を追われてやむなく探偵家業に追いやられるという傷ついた役柄であった辰巳翔一。彼はその後『虚国』(文庫化に当たって『蒼ざめた眠り』と改題)で、廃墟カメラマンとして復活。何と廃墟を集めた写真集がそこそこヒットしたという設定。そして彼は事件に巻き込まれ、またもや探偵としての天性の能力を発揮して去ってゆく。 この新シリーズでは、カメラマンという職業を探偵に被せることによって、旅する探偵という設定をイメージさせている。いわゆるシリーズ映画がそうであったように、不滅のヒーローは、日本のどこの場所に顔を出してもおかしくないというシナリオを、辰巳翔一も見事に手にしたわけである。 そもそもが、日本の土地や風景、またそこに住む人間たちの描写の中に、現代という時代を描いているシリーズでもある。新に作られる街と、滅びゆく建築物。それらのどこか寂しい、時の墓場のようなイメージとしての風景群は、辰巳翔一の眼を通して印象的なネガに焼き付けられているかに見える。それはかつての二つの長編でも、この中編集でも共通する日本の現在という地平であるように窺える。 それらの風景を訪ね歩く道具として、ついに辰巳翔一の足となったのがワーゲンバス。本書を皮切りに三か月連続で出版されることになったこの『さすらいのキャンパー探偵』という驚きの設定は、われらが主人公にキャンパー探偵という第四の顔をもたらしたようだ。 キャンピングカーに魅せられているらしい作家自らの分身的意味合いはますます強くなり、作家人生の初期に作り上げた探偵像は、今も三十代という設定でありながら、過去の精神的古傷を引きずりつつ、現在の事件に果敢に関わってゆく。 作者特有の、一行一行手作りで仕上げてゆく丁寧な文章は、短編でも中編でも同様に際立つ。緻密な構成という横軸に、無骨だが芯も弱さもある男の人生という縦軸を絡ませて、完成度の高いタペストリーを編み上げてゆく。三作ともにミステリとしてのアイディア、構成力、意外性含めて、完成度が高い。ますます円熟味を増した作家による、愛すべきキャンパー探偵は今も書き継がれているロング・シリーズとなってゆくらしい。 今月も来月も新刊が出るという。エキサイティングな読書の秋となりそうだ。
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キャンパー暮らしのカメラマンが探偵という奇妙な設定。旅情感が漂い良い感じです。作者の他の作品もそうだったが、雰囲気はハードボイルド風。アクションもあります。二話目の元アイドルの夫の不審死の謎を明かす事件が秀逸で、ラストまで目が離せなかった。彼は風景写真家になる前はパパラッチで、そ...
キャンパー暮らしのカメラマンが探偵という奇妙な設定。旅情感が漂い良い感じです。作者の他の作品もそうだったが、雰囲気はハードボイルド風。アクションもあります。二話目の元アイドルの夫の不審死の謎を明かす事件が秀逸で、ラストまで目が離せなかった。彼は風景写真家になる前はパパラッチで、その元アイドルを追い込んでいた一人だった。その10年前の後悔が事件解決の原動力となるのだが、そう思うとこの激しいラストは身に沁みてくる。間違くなく、この2番目の短編は名作だ。
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ワーゲンタイプ2で生活の大半を過ごす写真家兼探偵?と言う主人公が、写真家としての仕事で出向く先々で事件に巻き込まれる短編集。 どいつもこいつも裏があるんじゃないか?と穿った目で見てしまうが、なんだか実は…と読み応えがある。 豆から惹くコーヒー、バーボンソーダなど自然の空気に触れな...
ワーゲンタイプ2で生活の大半を過ごす写真家兼探偵?と言う主人公が、写真家としての仕事で出向く先々で事件に巻き込まれる短編集。 どいつもこいつも裏があるんじゃないか?と穿った目で見てしまうが、なんだか実は…と読み応えがある。 豆から惹くコーヒー、バーボンソーダなど自然の空気に触れながら味わうシーンはうらやましくなる。 非常にほっこりした読後感を味わえる一冊。
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