日英インテリジェンス戦史 の商品レビュー
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太平洋戦争に至った経緯をイギリス視点、且つ諜報の点から考察した一冊。 日本国内での開戦経緯については学生時代に触れる機会があったが、海外からの視点は然程触れなかったので新鮮だった。 わかってはいたが、めちゃくちゃ暗号が漏れてて笑った(もちろん当時の日本にとっても笑い事ではない) 本文中でも触れられていたが、日本国内から各国大使館等への連絡の内容が漠然としており、日本政府の確定的な意思ではないのにも関わらず、盗聴していたイギリスにはあたかも日本政府の意思であるように思われるなど、このあたりのすれ違いが無ければ、もう少し別の結果があったのかもしれないと思った。(とは言っても根本のところで落とし所をつけられなかったのであれば、結局開戦は避けられなかったかもしれないが、、) 以下おまけ 読んでいる最中にイギリスがTPPに加盟した(私は安全保障の観点からかな〜と勝手に思っている)が、そのニュースを聞いて、「この国立ち回りが上手いな」としみじみ感じ入ってしまった。その立ち回りの上手さに情報の収集と検討があるんだろうな、、と現在にも通じるイギリスの強かさへの理解が本書を通して深まった。
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WW2の時にいかにして苦境にあった英国が対日戦回避策から米国の参戦を引き出すための外交努力を行ったかについての本。日本人から見るとWW2は対米戦、というイメージが強いけど、日英戦を避けるための時間稼ぎから、日米交渉を不調に至らしめるための干渉など「前面に出ない」英国の方針の巧妙さは「これは太平洋戦争も英国が起こしたといっても過言ではないのでは…?」と言う気になるには十分かも。いずれにせよ相手の状況の無理解や、理解するための諜報活動がかえって穏便にすませるための正式文書の軽視を招き、疑念と不信からそこになかったはずの危機を顕在化させた側面もあるかもな、などと思ったわけです。 後世から見れば英国の諜報は日英単独戦を避けられ米国参戦により日本を敗戦に追い込んだ…訳だけど、日英単独戦はそこまでやる気のなかった日本にかける気のなかったらレベルの圧力をかけて結局対英米戦に至らしめ、英海軍の甚大な被害を招いたと思うと、結局損してないか?という気もしないでもない…。チャーチルが昨今ネガティブに再評価されるのもそこからかな? いずれにせよ相互理解の意思の欠如と不信はいつも恐怖の幻影を見せ、それに対抗しようとすると悲劇が実現化すると言う意味ではあらゆるコミュニケーションにいえることなので、戦時にいない現代人は愛を持って相互理解と自己開示に務めた方がよいですね。 ところでこのチャーチルの作戦、現代もプレイヤー変えて太平洋でなされてますな…戦争にならないといいですね。
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太平洋戦争に至る過程がわかる。諜報の状況ももちろんだが、その結果としてどのように意思決定が行われたか。英米の駆け引きがこれほど熾烈なものだったと、知らなかった。
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情報や諜報という定義について解説してから英国の情報取り扱い状況の説明 開戦前の日米交渉を英国というプレイヤーを加味することにより見方が個人的には変わりました。40年は日本の出方が様々な要因で後手にまわったのを米国を引き込むことによりアジアでの対日優位を獲得する為にあれやこれやと。...
情報や諜報という定義について解説してから英国の情報取り扱い状況の説明 開戦前の日米交渉を英国というプレイヤーを加味することにより見方が個人的には変わりました。40年は日本の出方が様々な要因で後手にまわったのを米国を引き込むことによりアジアでの対日優位を獲得する為にあれやこれやと。面白かった 情報を精査しつつ自国の国家戦略に組み込み、最善の結果を得る為に活かしていく。国家にとり情報収集の大切さだけではなく、どう戦略・政略ととりあつかい外交で取り扱う危険性と重要性が紙一重な気も。結局はそれを取り扱う機関や人材、決定する人物とのバランスの上でなりたつのかな。かな?と思ったりしました
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