さよならローズガーデン(Vol.2) の商品レビュー
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繊細なタッチで描かれる、1900年の頃の英国における貴族令嬢と日本人メイドの間に芽生えた関係を描いたシリーズ二巻目である。 今回からいよいよ本格的に互いが互いを強く意識しあい、百合百合しい展開にエンジンが入り始めている印象である。 婚約者のエドワード相手に「私の何もわかっちゃいないくせに」とばかりに突き放す感じなどは、なんともらしいシーンだろうと思う。 二人の関係に気づく周辺と、そうした周辺の配慮で休暇を得た華子のヘイスティングス行、そしてそれを密かに追いかえるアリスという図式で物語は展開している。 その背景にあるのは、アリスの家庭教師であったイライザにまつわる、互いに語らぬ話。互いに秘密を抱え、語らぬ罪悪感に苛まれつつ、一方で身勝手に「どうして話してくれない」という思いを抱える。 プラトニックな側面を丁寧に描写する様は、この物語の繊細なタッチに似つかわしく、恋の淡さと重篤さをさらりと描いてくれている。 作家・ヴィクターの正体を告げるアリスの告白で物語はエンド。 茨の道へと足を踏み入れる二人に対し、ヘイスティングスで華子を女中するスザンナの「家政婦は見た」的観察が、これからの物語の暗雲となっている形だ。 ここからどう展開していくか、どこまで描かれるのかは定かではないが、ここではひとまず星四つ半相当と評価している。 前巻もそうだったが、実に繊細に、細やかに描かれた世界観は美しいものだった。この密度の高さは、この作品の特別な魅力だろう。
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