君が異端だった頃 の商品レビュー
これが飾りなどないナマの「マゾ彦」の姿なのか、と唸らされる。才気に恵まれ知性にも溢れるあの元祖「文壇の貴公子」の中にあるのはこんなにも人間臭い、微笑ましくすらある「まっとうな」欲望や野心だったのか、と。言い換えればここにあるのは何ら時代を超越した狂気を感じさせない、スマートに卒な...
これが飾りなどないナマの「マゾ彦」の姿なのか、と唸らされる。才気に恵まれ知性にも溢れるあの元祖「文壇の貴公子」の中にあるのはこんなにも人間臭い、微笑ましくすらある「まっとうな」欲望や野心だったのか、と。言い換えればここにあるのは何ら時代を超越した狂気を感じさせない、スマートに卒なくロシア語や英語を自家薬籠中の物として取り入れられる「秀才」気質の作家の姿だ(その意味で、島田雅彦に近しい作家としてぼくが連想するのはあの芥川だ)。ただ、島田はとりわけ女性に恵まれることで自らの知性をより柔軟に「しごけた」のだろう
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何かのおすすめとして出てきて、そのタイトルに興味を惹かれたため読んでみた。 主人公は著者本人で、子供時代から大人になるまでの様々な出来事が私小説として描かれている。 君=著者で、異端という言葉に嘘偽りはなく、豪快というか赤裸々な出来事が描かれていた。内容は面白かったものの、文学的...
何かのおすすめとして出てきて、そのタイトルに興味を惹かれたため読んでみた。 主人公は著者本人で、子供時代から大人になるまでの様々な出来事が私小説として描かれている。 君=著者で、異端という言葉に嘘偽りはなく、豪快というか赤裸々な出来事が描かれていた。内容は面白かったものの、文学的な面での基礎知識がないと後半はかなり置いてけぼりになってしまうなという印象を受けた。 著者の本を読んだこと自体がなかったので、またどこかで別の本を読んでみたい。
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この作品については、前知識として著作や近代の思想家や作家の本を読んでおいた方が良かっただろう 描かれる作者の行動には良い印象を持たなかったが、それは私小説として洗いざらい全て出し切られたからであって良い作品だといえる
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久しぶりの島田雅彦。 これはおそらく私小説なんだけど、島田雅彦と中上健次のこんな関係は意外だし、知らなかった。 いろんな作家の名前も出てくるし、読書欲を刺激された。
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著者の自伝的小説。 子どものころから高校生、大学までは、痛快な成長物語的に読んでいたが、小説かになってからの第三部、第四部になってくると、現実的過ぎてしんどくなってきた。文壇ゴシップにならなかったところはさすがというべきか。
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ダンディな著者の私小説ということで興味津々。 同世代なので、懐かしくもありほろ苦さも感じながら、一緒に時代を駆け抜けていった感じです。 君という呼称で、大人になった彼は冷静に、赤裸々に、俯瞰して・・・この先も破天荒?でちょっとカッコ悪く、でもやっぱり見た目は紳士で小説に向かって...
ダンディな著者の私小説ということで興味津々。 同世代なので、懐かしくもありほろ苦さも感じながら、一緒に時代を駆け抜けていった感じです。 君という呼称で、大人になった彼は冷静に、赤裸々に、俯瞰して・・・この先も破天荒?でちょっとカッコ悪く、でもやっぱり見た目は紳士で小説に向かっていくんですね。
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ほとんど自伝のようで,めちゃくちゃ面白い.君は,君はと書いているのが畳み掛けるようで独特のリズム感を与え,他人事のようでありながらものすごく自己主張している.正真正銘の変人を目指し成功しているところ,敬服しました.特に小学生時代が気に入ってます.
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これまでに、彼の作品には多分触れたことがなかったが、書評を読み借りたのだろう。 何人かの知り合いが県立川崎高校出身なので、地域性も含めて楽しめた。また、彼の周辺の作家たちが読者として馴染みでもあり、第三者が語る私小説とはいえ、その実態が深く刻まれた。
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面白かった。年代としては島田先生のすぐ下にあたるので、自分が高校生位に「サヨク」が出て、スゴいなぁと憧れましたね。ジャーナルとか買って読んだな。今思うと、自分が若い頃から追っかけている作家だった。次は無限カノンあたりの話を楽しみにしてます。
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君が異端だった頃 島田雅彦著 「本当のこという」高らかに宣言 2019/9/14付日本経済新聞 朝刊 語り手から「君」と呼び掛けられる長編小説の主人公の名は島田雅彦。著者本人である。 いら立ちや不安、倦怠(けんたい)がはびこっていた少年時代、自由を謳歌しすぎた...
君が異端だった頃 島田雅彦著 「本当のこという」高らかに宣言 2019/9/14付日本経済新聞 朝刊 語り手から「君」と呼び掛けられる長編小説の主人公の名は島田雅彦。著者本人である。 いら立ちや不安、倦怠(けんたい)がはびこっていた少年時代、自由を謳歌しすぎた高校時代、ロシア語漬けの大学在学中に作家となり、6度も芥川賞候補になりながら落選を続けた不遇な駆け出し時代を振り返る。初恋や初体験、米国人美女との不倫など女性遍歴も包み隠さない。 デビュー作『優しいサヨクのための嬉遊(きゆう)曲』から『未確認尾行物体』までの初期作品にみられた、粗削りでありながらも若々しくみずみずしい感性がよみがえってくる自伝小説だ。 数々の文豪との交流についても触れられ、中でも『千年の愉楽』で知られる中上健次とのエピソードは深い愛情でつづられる。デビュー作を褒められ、鬼才がうごめく文壇の中で中上に守ってもらえると思いきや、態度が急変し「島田には絶対に賞をやらない」とまで罵倒される。中上の死後、それが彼流の愛だったのだと知る場面には涙腺が緩む。 「正直者がバカを見るこの国で本当のことをいえば、異端扱いされるだろうが、それを恐れる者は小説家とはいえない」。本書は埴谷雄高、大岡昇平、大江健三郎へと受け継がれた異端性を引き継ぎ、異端を極めるとする宣言の書である。(集英社・1850円)
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