ポップ1280 新装版 の商品レビュー
どこで見たのだったか、書評なりブックガイドから気になったもの。印象としては”アメリカンサイコ”が何となく浮かんだ。そもそも最初の事件からして、語り手の保安官にしてやられた感ありで、『あ、そっちの方にいくんだ』みたいな。以降の行動もことごとくファンキーで、結構驚かされっぱなし。飽き...
どこで見たのだったか、書評なりブックガイドから気になったもの。印象としては”アメリカンサイコ”が何となく浮かんだ。そもそも最初の事件からして、語り手の保安官にしてやられた感ありで、『あ、そっちの方にいくんだ』みたいな。以降の行動もことごとくファンキーで、結構驚かされっぱなし。飽きずに読み通せる作品でした。
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ジム・トンプスンの小説は10年ほど前に『おれの中の殺し屋』を読んだきりで、久しぶりだった。「安物雑貨店のドストエフスキー」といわれる著者による、一連の殺しに主眼を置いた小説だ。本作ポップ1280の荒涼とした感じはジェームズ・M・ケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』なんかにも似て...
ジム・トンプスンの小説は10年ほど前に『おれの中の殺し屋』を読んだきりで、久しぶりだった。「安物雑貨店のドストエフスキー」といわれる著者による、一連の殺しに主眼を置いた小説だ。本作ポップ1280の荒涼とした感じはジェームズ・M・ケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』なんかにも似ていると思う。 トンプスンの描く世界では殺人が息を吸うように行われる。良心の呵責無し。もはや悪でもない。純粋に行為だけが存在する。男の存在自体、彼のとる行為そのものが不条理で、トンプスンにしか書けないオンリーワンの世界だと思う。むかし、『おれの中の殺し屋』を読み終えた後は、僕は鏡に映る自分の顔も恐くてまともに見れないほどだった。自分の顔がまるで殺人鬼の顔のように見えたのだった。寒気がしたのを憶えている。一人称で書かれていることもあり、彼の小説を読んでその世界にどっぷり入り込んだ後は、まるで自分が主人公自身のような気がして茫然自失したものだった。異質ともいえるトンプスンの小説に対峙して、小説ってこういうことも可能なんだと大変ショックを受けた。ある意味では大きな収穫だった。スタンリー・キューブリックやスティーブン・キングもトンプスンのファンだというが、確かにそれだけ値打ちのある作家なのかもしれない。ただ読むのに相当な気力を要するから、彼の著作は一年に一冊も読みたい気がしないけど。 『ポップ1280』もトンプスンの代表作ということで氏の著作の中では出来の良い方なのだろうけど、『おれの中の殺し屋』と比べたら劣るかなと感じた。『おれの中の殺し屋』は星5の大満足だったが、それと比べると星3くらいかなという印象。なんというか、殺しに動機めいたものがある分幻滅してしまった。
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面白いです。 ストーリーのテンポがいいし、翻訳もいいですね。主人公がやってることは最低の行いですが、しょうもない下ネタをちょいちょい挟んでくることで物語としての重さが中和されていて、それが読み進めるのにいいんですよね。 最後の主人公の覚醒も馬鹿らしいけど、いいですね。 読書でキャ...
面白いです。 ストーリーのテンポがいいし、翻訳もいいですね。主人公がやってることは最低の行いですが、しょうもない下ネタをちょいちょい挟んでくることで物語としての重さが中和されていて、それが読み進めるのにいいんですよね。 最後の主人公の覚醒も馬鹿らしいけど、いいですね。 読書でキャラに共感を求める人には向いてなくて、ただストーリーのドライブ感やドタバタコメディ的な要素を愉しむ人にはおすすめの一冊です。 暗いという人もいるとは思いますが。。個人的にはこれは社会風刺、コメディです。
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