スポーツビジネスイノベーション の商品レビュー
スポーツビジネス立ち上げのたくさんの話を講義に出ているかのように、読むことが出来、とても参考になった!
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東邦出版「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」は、かなり現場よりの本です、同書と似てるけど、こちらの方が概念はもっとわかりやすいと思います。ただ、登場している方々はレジェンドではあるけど、過去の人感が強いので(失礼)その旨は十分理解して読んでください。
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東大大学院の工学系研究科で行われたオムニバス講義をまとめた本。Jリーグ・Bリーグのトップや、陸上の為末大さん、DAZNのトップなどスポーツに関わる様々な分野から錚々たるメンバーが話をしていて、この講義を実際に聞けた学生を羨ましく感じた。 2019年に出た本で、2020東京オリンピ...
東大大学院の工学系研究科で行われたオムニバス講義をまとめた本。Jリーグ・Bリーグのトップや、陸上の為末大さん、DAZNのトップなどスポーツに関わる様々な分野から錚々たるメンバーが話をしていて、この講義を実際に聞けた学生を羨ましく感じた。 2019年に出た本で、2020東京オリンピック・パラリンピックを意識した話もちらほら。「(これまでの一部の開催地とは異なり)東京では感染症の心配はないので安心」みたいなことが書かれていたのは皮肉だけど…。五輪のレガシーをどう生かしていくか、という話もあって、数年後に本書を読み返したらまた印象が変わってくるのかもしれないと思った。 いちばん興味深かったのは、東大アメフト部の監督で株式会社ドーム取締役の三沢氏の章。学生スポーツについて語られている。曰く、学校での部活は課外授業に相当するので、部活中にケガなどが起こっても学校は責任を取らない(取れない)。一方で強いスポーツ選手やチームがいると評判が上がって学校の利益になるという歪な構造になっている。日本ではスポーツごとの競技団体が学生スポーツを取り仕切っているが、これも何かあった時に責任を取ってくれるわけではない。アメフトというケガの多い(命にかかわることもある)競技に携わっているからこその視点でもあると思うけれど、学生が不当にハイリスクな状況に置かれているというのは、自分の中でそれまでになかった視点だった。 アメリカにはNCAAという団体があり、これが大学スポーツのガバナンスを担っている。とはいえ、NCAAは各大学によって民主的に運営される組織であり、大学スポーツの責任はあくまで各大学が担うという。また、NCAAは大学スポーツのマネタイズにも関わっている。一方で、日本ではまだまだ学生スポーツとビジネスを結び付ける視点は希薄だと思う。ネガティブな見方をすると学生を金儲けの道具にしているという話になってしまうが、上手にやれば得た利益を学生スポーツの環境向上などに使うこともできる。 アメリカのメジャーリーグや、ヨーロッパのサッカーリーグも、ひと昔前は日本のプロ野球やJリーグとさほど市場規模が変わらなかったという話は驚きだった。収益を上げていくために、たとえば広告に依存するような収益構造から、観客動員による収益が主になるようにしていかなければならない、と書かれていた。また、試合のない日のスタジアムをどう活用していくか、ということにも触れられていた。たとえばアメリカのNFLでは、とても大きくて立派なスタジアムがあるが、試合は年間16回くらいしかない(ホームゲームはそのうち半分だから、8試合しか行われない)。だから、試合のない日にもイベントを行ったりして収益を上げているとのことだった。 競技団体が、試合の運営だけでなく、面白いゲームにするためのルールづくりやチームの作り方にまで口を出しているというのは興味深かった。たとえばJリーグチェアマンの方がスピーディーで面白い試合になるようにゲームの運営の仕方を変えたとか、Tリーグではチームに世界トップレベルの選手が在籍しないといけないようにしたとか。ビジネス視点の話ではあるけれど、結局はスポーツの中身をどう面白くできるかというところに話が着地していることが多くて、当然といえば当然なのだけど、面白かった。特にTリーグやBリーグはまだできて間もないので、ここに書かれているような理念を踏まえて観戦に行ったり今後の発展を見たりできると面白そうだと思った。 相撲やゴルフの章では、個人的には書かれていることに共感できない部分が多かった。これが競技全体の意見を反映しているというわけではないのかもしれないが(特に相撲は"元"理事の花田氏でもあるし)、本書に記載されている内容はどちらかというと時代錯誤的ではないかと感じた。 まあ、それも含めて、各競技の現状や組織の特徴などを知る上では良かったと思う。
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