Q&A会社解散・清算の実務 改訂版 の商品レビュー
会社の解散・清算に関する法務・税務の解説書。右山会計事務所の著作なだけに問題点や制度趣旨が明確で参考になった。 P251 改正法人税法と期限切れ欠損金 当該法人税法の改正は、財産課税制度を損益課税制度に変更するに伴い、損益課税制度の中に清算に関して特別に「期限切れ欠損金の額」を損...
会社の解散・清算に関する法務・税務の解説書。右山会計事務所の著作なだけに問題点や制度趣旨が明確で参考になった。 P251 改正法人税法と期限切れ欠損金 当該法人税法の改正は、財産課税制度を損益課税制度に変更するに伴い、損益課税制度の中に清算に関して特別に「期限切れ欠損金の額」を損金の額に算入するという措置を打ち出した(法法59③)。 しかし、この制度は適用年度に無条件に認められるものではなく、「残余財産がないと見込まれるとき」に限って適用を認められるものである。 しかし、残余財産がないことの定義は、法例上規定がなく、現在は国税庁が公表する法人税基本通達又は質疑応答事例に基づいて判断する以外に方法がない状況である。 すなわち、国税庁は「残余財産のないこと」の見極めを、清算株式会社の各事業年度終了の時の現況により行うこととし(法基通12-3-7)、その内容は、一般的には実態貸借対照表によるものとされ、その資産の価額は、原則として処分価額とした(法基通12-3-9)。 この期限切れ欠損金の損金算入は、当該法人税法の改正による財産課税制度から損益課税制度の変更に伴う権衡として設けられた措置である。すなわち、債務免除益の益金算入に対しての期限切れ欠損金の損金算入であると判断されるので、その内容を法令で規定せず通達等で定めたことは、税制の法令明確主義の原則に反し、国税庁長官によりいつでもその内容を変更できる可能性を有していると言わなければならない。
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