月と太陽の盤 の商品レビュー
表題作含む6編収録の短編集。 碁盤というややコアな内容を扱う異色のミステリー。ネットの普及によって、将棋や囲碁を行う人でも、今では盤を持っている人が少なくなってきている。そんな中で、あえて碁盤に目をつけ、碁盤師がそれぞれの盤に纏わる謎を解き明かしていく構成は真新しささえ感じる...
表題作含む6編収録の短編集。 碁盤というややコアな内容を扱う異色のミステリー。ネットの普及によって、将棋や囲碁を行う人でも、今では盤を持っている人が少なくなってきている。そんな中で、あえて碁盤に目をつけ、碁盤師がそれぞれの盤に纏わる謎を解き明かしていく構成は真新しささえ感じる。それだけに「あぁ、なるほどな」と思うことも多く、碁盤や碁石について知らないことが多いということを気付かされる。
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碁盤師を探偵役にしているというところはなかなかユニークだが、物語や謎にもう一つ魅力が感じられないんだよなあ。碁盤師、今もいるんだろうか。
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―― 小学校のとき囲碁将棋クラブだったはずなんだけど囲碁やった覚えがありません。主にセブンブリッジやってた…こういう小さな後悔が積み重なって人生は豊かになっていくんだよねきっと。 趣味全開の盤上SFから広がって、今回は碁盤師を探偵としたミステリ仕立て。形から入って道具フ...
―― 小学校のとき囲碁将棋クラブだったはずなんだけど囲碁やった覚えがありません。主にセブンブリッジやってた…こういう小さな後悔が積み重なって人生は豊かになっていくんだよねきっと。 趣味全開の盤上SFから広がって、今回は碁盤師を探偵としたミステリ仕立て。形から入って道具フリークになりがちな私としては、それ専用の道具、それを専門に作る職人、という存在は憧れであり、吉井先生はまさにそのイメージ通りで楽しく読めた。語り手である愼の未熟さもまた良い対比だけれど、語り口に引っ張られると少し雰囲気が崩れるかも。少年棋士を上手くイメージ出来るか、というところ。なんとなくなんらかのギーグが周りに居てると解りやすいのかもしれません。 ミステリの部分も、囲碁や碁盤にまつわるところからトリックの部分まで、それこそいろいろな戦型があるようにバリエーションがあって良かったです。正攻法から騙し合いまで。なんだかんだ、表題作が本格ミステリ意識強くて好みでしたが、全体を少年棋士の成長譚として読むのもよろしい。そうすると最後の章はスピンオフみたいになりますが。 やはりキャラクタが良いと、ときどき短編とかで続いてくれないかな、となりますね。 ☆3.3
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囲碁に詳しくないので、あまり理解できない内容もあったけど、落ち着いた感じのミステリで面白かった。利仙さんよりは慎と蛍衣のコンビが展開繰り広げる感じ。 碁石の白は蛤からできてるの知らなかった…
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流離の碁盤職人が主人公の連作短編集。普段触れる機会のない碁盤師という職業の過酷さや奥深さを知ることが出来た良い出会いの一冊。主人公よりもワトソン役の少年棋士や妙にキャラの立った仇役の兄弟子の活躍が目立つので、主人公・利仙の過去や人物像をもっと掘り下げて欲しかった気も。しかし、この...
流離の碁盤職人が主人公の連作短編集。普段触れる機会のない碁盤師という職業の過酷さや奥深さを知ることが出来た良い出会いの一冊。主人公よりもワトソン役の少年棋士や妙にキャラの立った仇役の兄弟子の活躍が目立つので、主人公・利仙の過去や人物像をもっと掘り下げて欲しかった気も。しかし、この如何にも本格ミステリですと言わんばかりのサブタイトルは余計な先入観を与えるようでむしろ逆効果なのでは。碁盤の材料となる樹木の聳えたつ森林の神秘的で壮大な描写には心惹かれるものがあり、もし機会があれば榧の大樹をこの目で見てみたいな。
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デビュー作『盤上の夜』に続いて囲碁を題材にした連作集です。四肢を無くした棋士の闘いが描かれた「盤上の夜」はかなりハードなSFでしたが、本作は探偵役・ワトソン役・ヒロイン役・ヒール役といった分かりやすい登場人物で固められていることからもわかるように、比較的ライトな感じで読みやすかっ...
デビュー作『盤上の夜』に続いて囲碁を題材にした連作集です。四肢を無くした棋士の闘いが描かれた「盤上の夜」はかなりハードなSFでしたが、本作は探偵役・ワトソン役・ヒロイン役・ヒール役といった分かりやすい登場人物で固められていることからもわかるように、比較的ライトな感じで読みやすかったです。 表題作はバリバリの本格ミステリ、「焔の盤」は贋作師とのコンゲーム、「サンチャゴの浜辺」は異国での出会いと別れというように、読後に受ける印象がかなり違うであろう作品が並んでいます。自分の場合はまるで複数の作家が共通のテーマをリレー方式で描いた作品集を読んだような印象を受けました。ネガティブな言い方をするとまとまりがないということなのですが、著者の守備範囲の広さが垣間見えますし、統一感の無さが逆に本書のオリジナリティになるようにも思えます。とはいえ個人的には全編を通して浮かんでくるようなものがあったほうが好みではあります。 ミステリやトリックに矛盾や破綻は無さそうですが、状況設定でちょっと無理してるんじゃないのと思えるところがいくつかあり、リアリティという点ではいまひとつでしょうか。まあ、本格ミステリにリアリティを求めるだけ野暮なのかもしれませんけど。あと、囲碁の対局で一対一の頭脳戦が展開されるのかなと予想していたのですが、対局の場面そのものがほとんど描かれていなかったので、そちらもちょっと残念。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
SF作家・宮内悠介のミステリ短編集。 SF的な設定があるのかと思っていたが、内容はストレートなミステリだった。囲碁棋士を探偵役に起用したミステリには先行作があるが、碁盤師といういっぷう変わった職業を配したところがユニークだ。また、情景の描写や登場人物の何気ない台詞なんかに、ちょっとSFっぽい表現が見え隠れしているのも、スパイスになっていて良かったと思う。 宮内悠介は作風に割と幅のあるタイプで、次はどんなものを出してくれるのだろうという期待があるが、本書のようなミステリも引き続き書き続けて欲しいなぁ。
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