止まった刻 検証・大川小事故 の商品レビュー
なんて残忍な‥‥で終わらせないところがよかった 南海トラフについて騒がれていたり避難訓練したりしても、体は動いていても頭は動いていない自分 想定外をいかに考えられるか
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石巻市の大川小学校について、地元紙・河北新報が特集した記事をまとめたもの。岩波出版からの刊行。 大川小学校のこの件については個人的に興味があって。これ以外の関連書籍も読んだこともあるし、実際に大川小学校跡地の記念館にも行ったことはある。 その上で…発生当時に起こったことを聞き取りをまとめた部分、そして一審の仙台地裁までの判決の部分を読んでてのイライラ感は…他書籍や現地記念館を見て感じたものとほぼ同じ、と言っていい。 学校側が明らかに何かを隠している、それは間違いがない。それがおそらくは学校教員間の意思疎通などであったり、学校と地域の意思疎通であったりにあることは状況証拠的に予想されるもの。 それを明らかにしてほしい、というのが提訴につながった、それはすごく理解できる感情。 ただ…そういう問題は大川小学校だけに特有の問題か、というと恐らくそうではない。 それがあまりに不幸に重なったのだろうと予想されるのだけど、それを云々したところでそういう問題が根絶できるわけでもないし、 かえってそれを明らかにしない方がいらない禍根を残さないだろう、と考える側の気持ちが全く分からないわけでもない。 結果的に石巻市の側は一切情報を出さない方向で動き、地裁は「津波が来ることは、津波到達の6分前には十分把握できたはずなのに、適切な動きができなかった」ことから賠償責任がある、とした。 まあ…責任なし、とはならないにせよ…結果的に真相究明にはほど遠い判決にもなった。 これは現地記念館や他の書籍を読んでての印象とほぼ同じ印象をうけるもの。 で…この書籍の特徴はその先、2018年の二審・仙台高裁の判決の意義を掘り下げようとしてる部分なんだと思う。 これ以上、石巻市側が口を割らないことは理解した上で、仙台高裁の判決が問うたのは、津波到来6分前の判断の是非ではなく、 「大津波がもし来たら?ということを想定した避難先を、震災前に考える機会はあったのに、それをしなかった」ことの責任を問うて、賠償責任がある、と結論づけた。 確かに…厳しいことを求めているな、という印象も持たなくはない。 ただ…例えば、津波を意識して防災計画を見直せ、という例示に、海のない山梨県の防災計画例を提示するような「そりゃねえわ…」という行政側の瑕疵もあり、東日本大震災以前に、宮城県沖地震の震源すぐそばの自治体がする仕事としてはあまりにお粗末なのも事実。 そして…ここを罪に問うことで、 様々な災害が起こりうる、他の自治体の学校に対しても今後の対策が求められる。 その意義を強調し、それに触発された他自治体の動きを取り上げて、この本は締めくくられている。 遺族にとって、1審・2審とも前を向ける判決でもなく、情報開示でもない。そこは疑いようがない。 ただ…そこで問題提起されたことが、せめて第三者にとっては得るべき部分もあったのではないか、というのが河北新報なりの解釈なのかな、と。 それが正しい解釈なのかは…よくわからない。 ただ…こういう「どれも100点の答えにはならない問い」に答えを出すのって学校は苦手。 それを学校外の組織から方向付けしてもらえたのは…最悪な状況の中での一縷の望み、なのやもしれない。
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大川小学校の事故のことは知っていたが、詳しく知ろうとはしていなかった。この本を読み、なぜ検証が大事だったのかがわかった。
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将来教員になりたいと思っていて、読んだ。教師には命を守る義務がある。非常に重い責任だと思う。 上に頼りっぱなしではダメということに気がついた。ひとりひとりが子どもを守るために何をしなくてはいけなくて、どうすることが1番良い結果を生み出せるのかを考えて、迅速に共有することが大切だ。
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学校の管理下にある子どもが犠牲になった事故としては戦後最悪の惨事が東日本大震災時に起きた。学校管理下で、いかにこどもの命を守るかを考えさせられた。裁判では、川近くの三角地帯でなくなぜ、山に登らなかったかという当時の行動ではなく、災害前からマニュアルにきちんと高いところに逃げるとい...
学校の管理下にある子どもが犠牲になった事故としては戦後最悪の惨事が東日本大震災時に起きた。学校管理下で、いかにこどもの命を守るかを考えさせられた。裁判では、川近くの三角地帯でなくなぜ、山に登らなかったかという当時の行動ではなく、災害前からマニュアルにきちんと高いところに逃げるという策が考えられていないことが焦点になった。読んでいて大変つらかった。
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教職員として読んだ。大川小と同じ規模の学校で働いている。子どもたちの命は必ず守る。その為に常に学び続けようと誓う。管理職に任せずに判断することも大事だ。
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児童70人、教職員10人の死亡。この小学校だけがあまりにも悲惨。行政や校長の無責任さに腹が立つ。子供を失った親の気持ちを考えると…今一度、教師という職業を考え直してほしい。命をとしてこの職に就く。その気持ちがないなら教師にはなるな。真相はわからないが、もう9年たっている。誰か教えて。
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〇痛ましいあの「事故」の詳報とその後を、圧倒的な取材力で見せつけられる 大川小学校、と聞くと、全国ありふれた名前に聞こえた。宮城県にある学校で、旧桃生郡河北町にあり現在は石巻市に編入されている廃校だ。 廃校になってしまったのは、他でもない、東日本大震災がきっかけと言っても過言で...
〇痛ましいあの「事故」の詳報とその後を、圧倒的な取材力で見せつけられる 大川小学校、と聞くと、全国ありふれた名前に聞こえた。宮城県にある学校で、旧桃生郡河北町にあり現在は石巻市に編入されている廃校だ。 廃校になってしまったのは、他でもない、東日本大震災がきっかけと言っても過言ではない。 震災で、多数の死者と行方不明者を出してしまったことが理由だ。 本書は、その震災で亡くなった児童の遺族が起こした訴訟を中心に据えつつ、「大川小学校事故」とは何だったのか、何が起こり何を我々は教訓にせねばならないのかを問う書である。 より被害が広く報道された岩手県釜石市はなぜ児童の被害はなかったのか。発災から一時間程度経った中でなぜ多数の犠牲を大川小学校は出してしまったのか。 学校での取り組みはどうだったのか、危険を知らせるアラートはなかったのかーーー たくさんの「なぜ」「もし」がこの本を読むと、よぎる。 自分が児童だったら? 自分が保護者だったら? そして自分が現地の教諭だったら? 現地に赴いて実際にその学校の姿を見たとき、説明を受けながら絶句した。 2019年11月に行ったが、8年経っても、変わらない、波が襲ったであろうその姿は、ただただつばをのむばかりだった。 いかに人間が、普段自身やまわりの安全に気を配っていないか。 正義感しかそれを担保できないということを知らされるような。 この場で学校行政への文句を申し述べることではない。しかし、自分の子供が安全ではない学校ではなかったとき。そしてこんな事故が起こってしまったとき。 考えられるだろうか? いろいろな方面に思いを馳せながら、そして現地に赴いてほしい。遺族の声を、そして亡くなった児童の声を聞いてほしい。 聞こうと思わないと、きっと次の災害、人災は防げない。 あのとき何が起こったのか、子供に関係のある多くの人に読んでもらいたい。
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