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世界史とつなげて学ぶ中国全史 の商品レビュー

3.9

33件のお客様レビュー

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2022/01/05

遊牧民族と農耕民族との関係を軸に、中国の歴史を俯瞰する 大学受験の時に勉強した事件や制度の名前、人物名の説明が少ないので、大まかな流れは分かり易い 受験勉強とは全く違う視点で中国史を理解できる気がして、とても面白かった 宋代の三大発明とそのヨーロッパにおける影響は、有名すぎてあ...

遊牧民族と農耕民族との関係を軸に、中国の歴史を俯瞰する 大学受験の時に勉強した事件や制度の名前、人物名の説明が少ないので、大まかな流れは分かり易い 受験勉強とは全く違う視点で中国史を理解できる気がして、とても面白かった 宋代の三大発明とそのヨーロッパにおける影響は、有名すぎてあえて外したのか? 帯に「現代中国を理解する最高の入門書」と書いてあったが、現代中国については「多元的で日本人には分かりづらい」ことしかわからなかった 清朝から中華民国、中華人民共和国への流れ、特に清朝末期からの他の国との関係に関する記載も物足りないのが残念 著者の専門分野だと思うけど、あえて控えめの記述にとどめたのかな

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2021/12/17
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人名はあまり出てこず、政治体制や経済などについて書かれている。中国史は一応知っているつもりだが、本書のような見方に出会い、目から鱗が落ちた。元を評価していておもしろい。本来中国は多元的な世界だったと。清のくだりは少なかったが、おもしろかった。

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2021/12/07
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アジアの東西は繋がって、寒冷化・温暖化→農業生産性の増減、民族の移動を同様に繰り返し社会構造が変化。中央アジアの遊牧民が中国の歴史の重大なプレーヤー。モンゴルの力ではなく商業的交流によるグローバリゼーション。次は逆張りの明の漢民族純化。清の超小さな政府。南北の差から東西の差へ。地域分業・地域割拠から「国民国家」への苦闘。共産革命も含めた近代の革命も多元社会から国民国家を作るための方便。中国がなぜ「一つの中国」に拘るのか。そもそも多元的だから。西洋史観ではない見方が必要。私にも分かり易かった。良書。

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2021/11/08

「民主的でもなく、国民国家でもない。(中略)要は怪しい国ということでしょう(p1)」 「日本人は中国人の言動に、違和感や不快感を覚えることが少なくありません(p254)」 わかる。約1年の中国留学を経て、よりこの思いを強くした。 本書は、なぜこう感じてしまうのかの一つの解を、中国...

「民主的でもなく、国民国家でもない。(中略)要は怪しい国ということでしょう(p1)」 「日本人は中国人の言動に、違和感や不快感を覚えることが少なくありません(p254)」 わかる。約1年の中国留学を経て、よりこの思いを強くした。 本書は、なぜこう感じてしまうのかの一つの解を、中国史を一気呵成に展開することによって導いている。著者が一気呵成なら、読者は一気に読める。それくらい面白い。印象的なワードは、 「多元性と「一つの中国」の相剋(p249)」

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2021/10/31

黄河文明は、農耕民族学と遊牧民族の境界線で生まれた。お互い持っていないものを交換するマーケットとして発展。ただそこには軋轢トラブルが生まれるので「言葉」や「文字」が生まれた(トラブル証拠のためのドライブレコーダーのようなもの)23 14~16世紀の明朝は貨幣経済を否定した。物々...

黄河文明は、農耕民族学と遊牧民族の境界線で生まれた。お互い持っていないものを交換するマーケットとして発展。ただそこには軋轢トラブルが生まれるので「言葉」や「文字」が生まれた(トラブル証拠のためのドライブレコーダーのようなもの)23 14~16世紀の明朝は貨幣経済を否定した。物々交換社会で、海外取引に必要な貴金属も規制して半ば鎖国の農本主義160

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2021/08/09

中国の通史を学ぶ本としては良書だと思う。中国という国が、そもそも多元的な民族と思想の上に成り立っており、それを踏まえた中国の歴史を学ぶことで、習近平政権の政治で見えてくるものがあると思う。

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2021/07/31

黄河文明から現代までの中国史を大掴みできる良書。 明朝を契機とする多元化と官民の乖離が、現代中国まで及ぶ構造的課題であると理解した。そして、漢人・満洲人・モンゴル・チベット・ムスリムそれぞれの在地在来システムをほぼそのまま活かして統治を行う、清朝の「因俗而治」というのはなかなかの...

黄河文明から現代までの中国史を大掴みできる良書。 明朝を契機とする多元化と官民の乖離が、現代中国まで及ぶ構造的課題であると理解した。そして、漢人・満洲人・モンゴル・チベット・ムスリムそれぞれの在地在来システムをほぼそのまま活かして統治を行う、清朝の「因俗而治」というのはなかなかの知恵だったのだと思う。また、気候が世界史に大きな影響を与えてきたことも再認識した。

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2021/06/29
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 中国というと我々の多くのイメージは中国共産党とか、共産主義とか、中華料理とか、門切り型のイメージを持っていることが多いと思います。  本作はそのような通り一辺倒な中国のイメージを壊すとともに、作品名にある通り、日本やその他の諸国の歴史と関連付けることで中国史をより理解しやすくする作品と言えます。  本書を読んで一番感じたのは、中国はとにかく多民族だということです。元という国がモンゴル系ということは皆さん日本史で習ったと思いますが、後の清も実はツングース系民族の王朝であり、漢民族のものではありません。4-5世紀を五胡十六国時代と言いますが、この五胡も5つの胡族の国ということであり胡族とは華人以外の蛮族の意味です。現在も50以上の少数民族が暮らしていると言われています。当然のことながら異民族同士で文化や習俗は異なりますね。  つまり我々がイメージする漢人が中華思想に基づく王朝を打ち立てた時代は、意外にも中国の歴史のなかではそこまで長くはないのです。  外国が日本に持つ単純なイメージ(寿司、アニメ、勤勉)はすべての日本人に当てはまるわけではないように、我々日本人が外国に持つイメージもまた、得てして正確ではない可能性が高のではと考えてしましました。もちろん国民性といった一般的な性格はあるかもしれませんが、それとてグローバル化された社会では徐々にまだらになってきているのではないでしょうか。中国とか日本とかにかかわらず。  ちなみに、中国の多様性についてですが、この多様性が現在の中国の悲劇を表わしているように思えてなりません。  本書でも触れられていますが、日清戦争以降の負け戦が続く中国で、国民国家を目指して辛亥革命が起き、第二次世界大戦を経て共産党一党体制が現在も続いています。しかし、こうした国民国家の理想がいかに難しいのかは、中国の現状を見ればよくわかります。ダライラマはインドへ亡命し、チベットは厳しい弾圧を受け、新疆ウイグル地区では今も人権侵害を他国から指弾されています。  つまり、そもそも中国人という国民概念はいわば幻想であり、漢人、満州人(清王朝の辮髪の人達。ラーメンマンの感じ)、モンゴル人(遊牧民)、ウイグル族(ムスリムの多い中央アジア人)、チベット人という別個の歴史と文化を持つ別々の民族なのです。さすれば共産党一党独裁で何とか70-80年ばかり来ましたが、そもそも一つの国としてまとめるには無理がありそうなのです。さすれば中国人というアイデンティティはどこまで浸透しているのか、と疑問に思った次第です。  ソヴィエト連邦崩壊後、ヨーロッパではユーゴスラビアが内戦に陥りましたが、そこには国民国家というよりも民族や言語或いは宗教にこそアイデンティティを感じていた人々が多かったのではと想像します。  今後の中国がどうなるかわかりませんが、平和でいてくれることを願うばかりです。  その他、幾つか見られた世界横断的な歴史分析も良かったです。たとえば中国発の統一王朝である秦の始皇帝、実はローマ帝国の統一とほぼ同時期のBC3世紀とか、3世紀に起こる気候の寒冷化により、中国では遊牧民族(胡族)の南下による侵略を、西洋ではゲルマン大移動を引き起こしたとか、です。  また、貨幣に関する記述も見られ、興味深かった。例えば元の中統鈔という紙幣は銀との兌換が可能だったとか(結構すごいことだと思いますよ)、清朝で中国の輸出が激増したのはヨーロッパ各国が金兌換を開始したため銀の価格が落ちたため(つまり通貨安による輸出増)とか、政治史に隠れていて日が当たらない中国経済の一端が見えた気がしました。 ・・・  今更ですが、本作の内容は、おおむね高校世界史の教科書に書いてある事項だと思います。なので、しっかり世界史を勉強された方には、なあんだ知ってるよ、という感覚を持たれるかもしれません。しかしながら、中国史を個別に学びたいというニーズがあるときは、本作は非常にコンパクトかつ優れた本だと感じました。また、決して中国は一通りではないということを再認識させてくれました(この点は強調したい)。  ですので、本作につきましては、どちらかと言うと初心者向けかもしれません。ですので、世界史未修者や中国史を通して勉強をしたい方にはお勧めできます。あと、中国と関わりのあるビジネスマンにとってはこの作品の内容は最低限度の中国史知識かもしれません。ちょっと教養レベルが高めの中国の方はこうした民族の違いをジョークのネタに使われたりします。

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2021/06/12

気候変動が中国はもちろん世界の動向に大きく影響していたとか、中国は実は異民族系が支配していた時代の方が民族間の関係も良好で、版図が拡がり経済的にも活況であったとか、色々興味深い内容が分かりやすくまとめられている。良書。

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2021/05/04

歴史的に見れば、中国全体が統一国家であった時期は短く、むしろ、各地域ごとに群雄割拠し(多元化)、とくに明朝以後は時の政権が掌握できたのは一部の上層階級だけで庶民は政権と没交渉であった(上下乖離)と著者は説く。これは国全体の均一性が高く国としてのまとまりが強い日本や欧州とは異なるの...

歴史的に見れば、中国全体が統一国家であった時期は短く、むしろ、各地域ごとに群雄割拠し(多元化)、とくに明朝以後は時の政権が掌握できたのは一部の上層階級だけで庶民は政権と没交渉であった(上下乖離)と著者は説く。これは国全体の均一性が高く国としてのまとまりが強い日本や欧州とは異なるのだという。 本書は中国通史の概説だが、「世界史とつなげて学ぶ」とあるように、周辺あるいはシルクロードなどを通じた中近東・欧州とのつながりや、そうした地域と中国とのシンクロについても語られている。その関連で突厥やウイグルといったトルコ系の民族が中国北方からどんどん西進していったことなども分かって面白かった。

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