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黄金夜界 の商品レビュー

4.2

17件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

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2023/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

良き…文章が綺麗な気がする。好き。 私が短気だからおい、女達ぃぃいい!って最後の方思い続けながら読んだけど、ああなってしまって苦しかった。癒しは必要だよね。あんなにどん底からの這い上がりも凄すぎるけど。 満腹です。

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2022/11/12

作中に流れる不穏な空気。ハラハラする。先が気になるのに、読み進められない。困った。おかげで、貸し出し延長しなければならなかった。橋本治は、ものすごい昔に「桃尻」を読んだ気がするけど、忘れた。好きな作家かも。しかし、疲れた。夕飯作りたくない。

Posted byブクログ

2022/04/01

こんなに距離を置いた気持ちで物語を読んだことはないかも。「索漠」とか「空虚」という言葉が浮かび、ラストで、とんっと肩を突かれてぽっかり空いた穴に落ちたような気持ち。 貫一の人生って、なんだったんだろう。復讐を種火にして生きると、何かが焼け落ち、がらんどうになってしまうみたいだ。 ...

こんなに距離を置いた気持ちで物語を読んだことはないかも。「索漠」とか「空虚」という言葉が浮かび、ラストで、とんっと肩を突かれてぽっかり空いた穴に落ちたような気持ち。 貫一の人生って、なんだったんだろう。復讐を種火にして生きると、何かが焼け落ち、がらんどうになってしまうみたいだ。 そして、自分の感情さえも分析しようとする貫一の向こうに#橋本治 さんの笑う顔がのぞいて離れない物語でもあった。

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2021/06/22

※再読しました 再読して星付け足しました 再読して、一度目で分からなかった楽しさや発見があり、橋本治さんに興味がわきました 血眼になって神保町で彼の絶版本を探しましたが、見つかったものの、あまりにも高価で泣く泣く断念! 代わりに、「いつまでも若いと思うなよ」を買って、積読中です...

※再読しました 再読して星付け足しました 再読して、一度目で分からなかった楽しさや発見があり、橋本治さんに興味がわきました 血眼になって神保町で彼の絶版本を探しましたが、見つかったものの、あまりにも高価で泣く泣く断念! 代わりに、「いつまでも若いと思うなよ」を買って、積読中です 黄金夜叉の現代版というが… ストーリーは、ありきたりっちゃありきたり しかし、作者の経済や社会についての知識をフル動員したかのような描写は、やっぱ頭ええんやなと感服。 まだまだ「現役」の人で色んなことに興味を向けてたんだな。 あと登場人物が全て、とても魅力的! イケメンのボンボン、美人のお嬢様、おばちゃん金貸し、ブラック社長…型にはまってはいるが、ステレオタイプでは決してない。 個人的に、ブラック企業社長が、ただの性悪ではないところがとても面白く、「彼は本当は良い人だった」みたいな所に落とさなかったところにも、また感服。 番外編として彼を主人公を読んでみたくなったけど、これが遺作だったとは知らず… あと私も、ブラック企業で鬼のような社長のもとで働かされ、社長のことも「死ねやこのドアホ!!」と恨んでいたが、私の働いてたアパレル会社より飲食チェーン社長の方が、なんていうか、本当に「叩き上げ」「自分の力だけでのし上がる」感が凄くて、織田信長を尊敬していうところも、再読し、納得。 作者自身、なぜ、こんなに有り難がられているのか不思議な人物でもあるが、これを遺作と知り、好きなことを好きなだけやって死んでいったんだ、気持ちの良い人だなあ、と思ったのも、おまけで。

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2021/05/30

博覧強記の著者がどのような小説を書くのか気になって読んでみたが、間貫一と鴫沢美也が主人公のドタバタ劇でやや期待外れだった.美也が富山唯継と結婚したことで話が展開し、貫一が自活するストーリーが語られる.川嶋製作所の夫婦とのやり取り、鰐淵興産・狐の酒場での孤軍奮闘、さらに辞職後に開業...

博覧強記の著者がどのような小説を書くのか気になって読んでみたが、間貫一と鴫沢美也が主人公のドタバタ劇でやや期待外れだった.美也が富山唯継と結婚したことで話が展開し、貫一が自活するストーリーが語られる.川嶋製作所の夫婦とのやり取り、鰐淵興産・狐の酒場での孤軍奮闘、さらに辞職後に開業資金のことで赤樫満枝との交渉等々.個々のエピソードは楽しめたが、結末はあっけない.

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2021/03/03

貫一はなにもしない。なにもせず、なにも求めないーそのことが女達を惹き寄せる。求めない男の中にある「欠落」を感じて、求めない男に代わって、女達が男を求める。男の空疎は冷たく、女の空疎は熱い。

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2021/01/26

ちょうど「自転しながら公転している」を読んで、「金色夜叉」を読みたいと思ったが、文章が私には難しく、諦めたところ、たまたま読みはじめた本書が「金色夜叉」をモチーフにしていると知って驚いた。 初めはとっつきにくい印象を受けたが、途中から貫一の生き様に引き込まれ、どんどん先を読みたく...

ちょうど「自転しながら公転している」を読んで、「金色夜叉」を読みたいと思ったが、文章が私には難しく、諦めたところ、たまたま読みはじめた本書が「金色夜叉」をモチーフにしていると知って驚いた。 初めはとっつきにくい印象を受けたが、途中から貫一の生き様に引き込まれ、どんどん先を読みたくなり、気がつけば読み終えてしまった。 機会があれば著者の「桃尻娘」も読んでみたいと改めて思った。

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2021/01/01

尾崎紅葉『金色夜叉』のリメイクだそうだが、「貫一・お宮」を知らなくても十分物語に引き込まれる。 特に、美也に捨てられ、社会の最下層に転落した貫一がどのように這い上がっていくのかをリアルに描いていて、とても読みごたえがあった。 貫一の周りに登場する女性の貸金業者の赤樫や居酒屋チェー...

尾崎紅葉『金色夜叉』のリメイクだそうだが、「貫一・お宮」を知らなくても十分物語に引き込まれる。 特に、美也に捨てられ、社会の最下層に転落した貫一がどのように這い上がっていくのかをリアルに描いていて、とても読みごたえがあった。 貫一の周りに登場する女性の貸金業者の赤樫や居酒屋チェーンの社長鰐渕など、こういう人も居るかもなと思った。 美也の夫の俗物っぷりも期待どおりだが、美也本人の凡庸さ、考えのなさにも驚く。もう少し感情移入できるヒロインだったら良かったかも。 そして、結末は何とも言えない気持ちになる。何もかも消化不良に終わる。最終盤の赤樫と美也の罵りあいは非常に不自然だし、貫一のこのような最期も作者自身が納得してたのかとっても疑問です。

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2020/07/20

『夜空の下を埋め尽くす光の海のような夜景の煌めきに感嘆の声を上げる人達は、闇の中にただ一つ灯る小さな明かりの存在など気にもしない』―『摩天楼』 「金色夜叉」を読んだことはない。それが作者尾崎紅葉の死によって未完となっていることも知らなかったが、奇しくもその物語を下敷きとした本作...

『夜空の下を埋め尽くす光の海のような夜景の煌めきに感嘆の声を上げる人達は、闇の中にただ一つ灯る小さな明かりの存在など気にもしない』―『摩天楼』 「金色夜叉」を読んだことはない。それが作者尾崎紅葉の死によって未完となっていることも知らなかったが、奇しくもその物語を下敷きとした本作が異才の人橋本治の遺作となったことに不思議な繋がりを感じる。尾崎紅葉が日清戦争後の社会状況を背景に物語を展開したように、登場人物の名前もそのままに受け継ぐ「黄金夜界」でもまた今の世の中に即して物語は進むが、その構図は驚くほど本質的に変わっていない。自分は根本的に人の善意というものを信じるものではあるけれど、二つの物語が共通して突きつけるものは本質的な人間の欲望であり、その欲望は本質的に性悪であるように映る。 尾崎紅葉が「金色夜叉」の結末をどのように構想していたかは兎も角も、橋本治は残された物語の中に極めて現代的な人間の在り方を投影し、未完の物語の枠組みの中で結末を用意した。それは120年前の人が感じたであろう刹那ですらまどろこしいと感じてしまう現代人であるからこその選択肢。すれ違いを修復する為に掛けられる時間の長さに違いがあればこその結末だったのだろうと想像する。全て理屈で選び取ることが出来ると無意識に信じている現代人は、身体的な思考が脳の表層で展開する意識よりも多くの情報を処理し判断を下しているということに理解が及ばない。いきおい身体的思考に資する時間を用意出来ないこととなる。そこに生まれるのはまさに刹那的、詰まりは持続性を欠く判断であるように思う。 橋本治の駒場祭の有名な口上「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」が人々の記憶に留まるのは、昭和43年という文脈の中でその言葉の指し示す意味が響いたからでもあるけれど、その「音」が直接身体の真ん中に入り込んでくる感覚があるからだと思う。七五調の調子への親和性、などと理屈を捏ねても、その「響く感覚」は何も解明されることはない。理屈を超えて受け継がれている身体性の本能に橋本治はとても敏感であったのだと思う。そのことが「金色夜叉」の展開を現代という場面に移し替える時に作家の本質として浮き上がるように思う。 思えば、それは「桃尻娘」から「双調平家物語」へ繋がる流れと同じ線上に在るものなのかも知れないと、橋本治という山の裾の広がりを無視して夢想してみる。遅まきながら橋本治を読み直してみたくなる。

Posted byブクログ

2020/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「金色夜叉」の現代版リメーク小説。 「金色~」の方は高校時代に読んだけど、男も女も頑なだったというイメージだった。橋本氏のリメークも本編に負けじ劣らず意固地でちょっと情けないくらいに世間知らず。 この結末を読んであら、本編はどうだったかしらとそちらを開いてみたら、よくこんな文章を読みこなせていたな、当時の私。というのが今回の一番大きな驚きだった。 結末までは辿れなかった。

Posted byブクログ