穴の町 の商品レビュー
旅する海外ブックガイドから。文学ってそんなもんかもしらんけど、何だかつかみどころのない物語だった。原題はそのものずばり"the town"だし、街と言えば、村上春樹の最新作が思い浮かぶ訳だけど、そうなってくると、街そのものの魅力の彼我の差が気になってしまう。
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消える町の本を執筆する予定で、実際に町に穴が開いて、消滅に向かう。穴の存在は不明だが、町の様子は明らかに過疎で、店に人が来ない、交通も機能してない。どこに行っても同じでしょ?という住民の中、わずかながら希望を持っていた女性と町を後にする。「都市」では二人は少しも馴染めず、女性はか...
消える町の本を執筆する予定で、実際に町に穴が開いて、消滅に向かう。穴の存在は不明だが、町の様子は明らかに過疎で、店に人が来ない、交通も機能してない。どこに行っても同じでしょ?という住民の中、わずかながら希望を持っていた女性と町を後にする。「都市」では二人は少しも馴染めず、女性はかつての住民のように希望を失う。希望って多分住民とのコミュニケーションかと思うけど、彼女のやり方もなかなか一方的であって、んー、って感じ。デカプリオ主演のビーチっていう映画を思い出したよ。
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カフカ!カルヴィーノ!安部公房! 不条理小説好きの琴線に触れまくる傑作だった。 すごく不思議な文体で、段落のはじめはスラスラ読みやすいんだけど途中から変な感じになっていき、最後はよくわからなくなって一段落が終わる感じ。ちょっと味わったことのない読み口。 何が起きるってわけでもない...
カフカ!カルヴィーノ!安部公房! 不条理小説好きの琴線に触れまくる傑作だった。 すごく不思議な文体で、段落のはじめはスラスラ読みやすいんだけど途中から変な感じになっていき、最後はよくわからなくなって一段落が終わる感じ。ちょっと味わったことのない読み口。 何が起きるってわけでもないんだけど常に不穏な空気が漂っていて、確実に終末に向かっている予感だけがある感じ。好きすぎる。もっと読ませてくれ!
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消えゆく町についての本を書こうとしている男が、穴が生じて消えてしまう町や名無しの都市をガラス越しに見ているような小説だった。英国人とは違う、オーストラリア人の孤独というか、白人入植者とアボリジニの間の問題のようなものを感じた。この本自体が「消えゆく町」について書かれた本であるから...
消えゆく町についての本を書こうとしている男が、穴が生じて消えてしまう町や名無しの都市をガラス越しに見ているような小説だった。英国人とは違う、オーストラリア人の孤独というか、白人入植者とアボリジニの間の問題のようなものを感じた。この本自体が「消えゆく町」について書かれた本であるから、作中で完成させられなかった「消えゆく町についての本」になるような構造が面白いと思った。自らの住む日本に引き寄せて考えると、都市はいわゆる「東京」だろうか。でもオーストラリアでしか書かれえないテーマで、そこがまた面白いと思えた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
帯にカフカと安部公房の名前が載っているのだから、買うしかないだろう……ということで購入。初めて読んだ作家だが、ユニークな個性があって面白かった。確かにカフカや安部公房と共通するところが多いのだが(特に本書の第1話は〝砂の女〟を思わせるところが多い)、『穴』というモチーフの持つ底知れないイメージや、全編に漂う諦念めいた雰囲気は、カフカにも安部公房にも無かったように思う。この辺はブルーノ・シュルツに通じるものがあるか? いずれにせよ、得難い個性を持った人だと思うので、他の作品も邦訳して欲しいが……ううむ。こういう変な本が好きな読者は少数だが確実にいるので、好きな人のところに届いて欲しい。
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