クルーシャル・アカウンタビリティ の商品レビュー
前作『クルーシャル・カンバセーション』に続き、人と向き合う際に誠意を持って接するための考え方などが書かれている。前作と比較して、「この人はなぜこんなことをしたと思うか」というような問題の原因を何に帰属されるかという観点が強く書かれていて、ピープルマネジメントに対して有用であると感...
前作『クルーシャル・カンバセーション』に続き、人と向き合う際に誠意を持って接するための考え方などが書かれている。前作と比較して、「この人はなぜこんなことをしたと思うか」というような問題の原因を何に帰属されるかという観点が強く書かれていて、ピープルマネジメントに対して有用であると感じた。 相当に正義感が強い内容であるし、提案されているフレームワークが使いづらかったりと欠点はあるが、学びのある本ではある。 本書は3部構成になっている。 第Ⅰ部 自己を改善する 第Ⅱ部 安心感を与える 第Ⅲ部 行動に移す 第Ⅰ部では、主に他者によって発生した問題に対する原因をどのように捉えるべきかが書かれている。 > 責任ある会話の達人は、日常的にこのような「相手を人間扱いした問い」を立てて、相手の属性だけではなく状況を見て判断する。個人の性格だけではなく状況を考えた上で、次のような問いを立てることができるのだ。「この行動に影響を及ぼしている要素は他に何があるだろうか。何がこの行動につながったのか。本来は理性的なのに、非理性的で無責任な行動をとっているように見えるとしたら、自分は何か見落としているのではないか」(p.79 解決策 違うストーリーを組み立てる) もちろん、実際には理性的でない振る舞いや悪意を考慮しないといけないだろうが、多くの場面で自分の認識を見直すきっかけになるような言葉ではある。 第Ⅱ部では、お世辞や相手を操作するような話し方などすべきでないコミュニケーション、相手と問題のストーリーを共有するための方法が書かれている。 > 事実を言うのではなく、曖昧で感情をあおるようなストーリーを語ったら、相手は感情的になるばかりだ。どの行動があなたの感情の原因になっているのか、これでは理解できない。共有すべきなのは事実だ。憶測でものを言わず、何が起きたのか、事実を客観的に説明しよう。(p.122 ギャップの説明) また、同期と能力が一体であることについての言及があり、たしかに見誤りやすい要素である。楽観的とも見える記述だが、実際に尻を叩くに至るのは能力の壁を取り去ることを諦めた時だろう。 > あなたが賢明で冷静な上司なら、カイルには仕事への意欲があったのに”できなかった”ことはわかるだろう。そこへいくら意欲を引き出そうとしても、なんの解決にもならない。それどころか、それは残酷な仕打ちだ。カイルにとって必要なのは、目の前にある壁を取り除いてやることであり、尻を叩くことではない。そこで考えるべきは、どうしたら能力の壁を取り除けるのか、どうしたら相手が楽に、苦痛を伴うことなく業務を遂行できるかということだ。(p.173 診断を間違えるな) 第Ⅲ部には、考え方のフレームワークや、日常生活のいくつかの例えが記載されている。第Ⅱ部の繰り返しになっている部分もあり、分かりやすい例でこれまでの確認をするための補足のようなものと捉えていいだろう。 前作と比較して、より個人に対する議論の方法に注目した内容となっている。理想論を抱きすぎるのも危険だが、一つの考え方として職種を問わず有益であると感じた。
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説明責任を果たされなかった側の観点でそれを果たすような関係性をつくる話し方である「責任ある会話」と、行動への結びつけ方とアンチパターン
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