税理士が身につけるべきコーディネート力 の商品レビュー
本書では、相続実務の失敗事例をもとに税務的視点、ビジネス的視点、法務的視点等あらゆる角度から顧問先をコーディネートする方法が解説されている。本書を読むと実に多くの法令、制度を理解していないと相続実務に対応できないことがわかる。多少陳腐化しているが、本書を通じてその端緒がわかるであ...
本書では、相続実務の失敗事例をもとに税務的視点、ビジネス的視点、法務的視点等あらゆる角度から顧問先をコーディネートする方法が解説されている。本書を読むと実に多くの法令、制度を理解していないと相続実務に対応できないことがわかる。多少陳腐化しているが、本書を通じてその端緒がわかるであろう。 P193 (6)事業承継者への貸付金贈与 ①手続 この手法が最も導入しやすい手法といえます。社長の財産から次世代への承継手段としての手法ですので、3年内に相続が発生しなければ、相続財産から切り離せる手法となります。この手法以外の手法は社長個人に財産が戻りますので、戻った後の承継を別途考える必要があります。手続としては贈与契約書を作成し、確定日付を取っておくことが望ましいといえます。また、勘定科目内訳書の内訳変更は必須となりますが、その前提として、会計データ上、借入金に補助科目を持っていれば その変更をしておく必要があります。 贈与する対象としては、事業承継者(その家族を含む)に限定する方が望ましいといえます。非事業承継者に贈与すると、事業承継者との関係が良好なうちは問題が生じませんが、関係が悪化すると、 会社の資金繰りを考えずに返済を要求する可能性があります。関係が悪化した場合には、特別受益の持ち戻し対象と主張される可能性も否めません。 ②税務処理 個人間の承継という問題となるため、暦年贈与か相続時精算課税贈与かを選択する必要が生じます。特例事業承継税制を選択する場合、相続時精算課税を選択する可能性があるため、その場合には事業承継者は暦年贈与を選択する余地はなくなります。社長個人の相続税圧縮という効果を得るためには、暦年贈与を選択する必要があるため、事業承継者の家族(妻、子供)へ贈与することも検討の余地があります。
Posted by
- 1