手と手をぎゅっとにぎったら の商品レビュー

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2023/11/30

この本のテーマはずばり、『心のバリアフリー』 交流授業のために栗の木特別支援学校へでかけた虹川小学校4年の子ども達。 障がいがある子たちが通う学校だと聞かされてはいたけれど、どんなところか具体的なイメージがないまま出かけた子どもたちは、支援学校(知的障害教育部門)の4年1組の教...

この本のテーマはずばり、『心のバリアフリー』 交流授業のために栗の木特別支援学校へでかけた虹川小学校4年の子ども達。 障がいがある子たちが通う学校だと聞かされてはいたけれど、どんなところか具体的なイメージがないまま出かけた子どもたちは、支援学校(知的障害教育部門)の4年1組の教室を開けた瞬間、自分たちの見慣れた教室での光景とは全く違い、好き勝手に過ごしているように見える子どもたちに、虹川小学校の子どもたちは驚く。 子どもたちの反応一つ一つに驚き「お世話できるかな」とつぶやくクラスメイトにただ一人りょうまだけが「お世話ってなんだよ。そんなんじゃない。」と反論し、その後も否定的な言動(不思議~。普通じゃない等)が出てくるたびに、そうじゃない。あれがその子その子の普通なのだ、と熱く語るのだ。 りょうま一人だけが、何でもないことのように支援学校の子と関わる姿に、自分の感じたことと違う言動をするりょうまに「ぼく」は不思議だな、と感じるが、りょうまは転入前の学校で障がいのある子と友達だったが、クラスメイトにそのことをバカにしたりされた経験をしてきたことを知る。 栗の木まつりという学校祭に、交流で一緒だったもっくんが気になり参加することにした「ぼく」は、そこでのみんなのダンスを見て気づくのだ。 みんなバラバラに好き勝手にやっていると思っていたけれど、それぞれがそれぞれのやり方で栗の木まつりにむけて頑張っていて、今、本番でそれぞれが頑張って表現しているのだ、と。 学校祭に行くことに乗り気でなかった虹川小学校のクラスメイトも実は様子を見に行って、それぞれが「ぼく」と同じように気づきがうまれる。 大きくなるまで障がいをもった子たちと接することの無い人たちは、やはり自分たちを普通と思って暮らしているだろうから、障害を持った子たちを「普通じゃない」と思ってしまうかも知れません。 そこで終わらないところがこの物語の素敵なところ。 無意識のうちに自分たちと区別、差別した子たちもその後、強制ではなく、自分の意思によってもう一度学校を訪れ、障がいはあれど、本当は自分たちと何も変わらないのだと、りょうまの言っていた意味を初めて理解するのです。 まずは気づくことが心のバリアフリーの第1歩。 知らないままだと、偏見をもったまま大人になってしまいますからね。

Posted byブクログ