誰も教えてくれなかった血液透析の進めかた教えます の商品レビュー

長澤将(著者),宮崎真理子

2024/07/04

【学内】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000078013
【学外】
https://elib-maruzen-co-jp.iuhw.remotexs.co/elib/html/BookDetail/Id/3000078013
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2021/11/22

2年次初期研修医です。私はこの秋、大学病院のリウマチ・膠原病内科に入局を決めました。リウマチや膠原病だけでなく、今後は腎臓、そして透析の知識も必要となると知り、腎代替療法の入門書を探しておりました。その様な時に出会ったのがこちらの本です。可愛らしい表紙に一気に読んでしまえそうなページ数、序文に初学者向けとバッチリ書いてあったのでこちらの本で透析の世界に浸かってみようと思いました。
コンテンツとしては、腎代替療法にまつわるトピック毎に項目が作られていて、徹頭徹尾ダラダラと長い文章が続く訳ではなく読み易いです。血液濾過・透析の仕組みやモニタリングの仕方、治療後のアフターケアまで、腎代替療法に長く携わっていた著者だからこそ伝えたい事柄が詰め込まれています。処方や注射の用法・用量まで触れてあるのはありがたいです。読者の知識量に合わせたトピックスのレベリングもしてあり、何がどれだけ重要なのかが一目で分かるのも、メリハリが利いています。先述の通りページ数もそこまで多くないですが、エッセンスは詰まっていてとても分かり易い一冊でした。反面気になったのが、初学者向けではあるのですが、私の様な超初学者は想定外だったのか、読み始めるにあたってある程度の予備知識が必要だと感じました。例えばオンラインHDFですが、恥ずかしい話、私は言葉の雰囲気から通信媒体を用いて遠隔で透析をするものだとばかり思っていましたが、そうではない事を終盤まで読み進めてから知りました。その他にも、濾過・透析のメカニズムも終盤で触れていたので、一周目の序盤は透析に対してふわふわしたイメージのまま読んでいました。著者としては、初学者はレベリングしてある最重要のページから読み始める事を勧めてはいるのですが、普通は最初のページから順に読んでいくと思いますので、紹介するトピックスの順番がもっと工夫されていたら尚良かったかなとも思いました。
ですが、この本の特徴としては、読み易い文章で腎代替療法の勉強ができる事で、ページ数もそこまで多くないので、何周も読み、理解を深めていくのが正しい使い方なのだと思います。私の様な超初学者は予想外だったかもしれませんが、研修医や若手の医師でこれから腎代替療法の勉強をしたいという方の取っ掛かりとしてこちらの本をお勧めします。そして透析の奥深さを感じていただけたらと思います。