失われた芸術作品の記憶 の商品レビュー
芸術作品、絵画、彫刻がいかにして失われたかがテーマ。失われ方にはいくつかのパターンがあり、それぞれ事例を示して考察する。主なパターンとして、窃盗、戦争、事故、天災等があるが、最近ではISによる偶像破壊、所有者による破壊などがある。絵画の価値を高めたのはヴァサーリで、価値が認められ...
芸術作品、絵画、彫刻がいかにして失われたかがテーマ。失われ方にはいくつかのパターンがあり、それぞれ事例を示して考察する。主なパターンとして、窃盗、戦争、事故、天災等があるが、最近ではISによる偶像破壊、所有者による破壊などがある。絵画の価値を高めたのはヴァサーリで、価値が認められれば欲しがる人がいる。それと共に窃盗等の犯罪も起き、芸術は破壊の危険に晒される。 因みに所有者による破壊では、バンクシーがオークション会場で自作をシュレッターにかけたことが記憶に新しい。それも芸術の一部とも言え、更に価値が上がったと見る人もいる。(この件は最近の事例だが) とにかく面白い事例が沢山紹介されていて、芸術が好きであれば一読の価値があると思う。
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窃盗、戦争、事故、火災/爆破、偶像破壊/破壊行為、天災だけでなく、期間限定作品(一時的にしか存在しないことを前提に作成された作品)、所有者により破壊された作品(パフォーマンスとして作成&破壊がセットになっているようなもの)など、多岐にわたって”現在実際に実物を鑑賞できない”アート...
窃盗、戦争、事故、火災/爆破、偶像破壊/破壊行為、天災だけでなく、期間限定作品(一時的にしか存在しないことを前提に作成された作品)、所有者により破壊された作品(パフォーマンスとして作成&破壊がセットになっているようなもの)など、多岐にわたって”現在実際に実物を鑑賞できない”アートについての本。昔、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の近くに住んでいた時に、やたらと通いこんだのだが、その時1990年にフェルメールの『合奏』やレンブラント唯一の海もの『ガラリアの海の嵐』『自画像』、マネの『トルトニ亭にて』など沢山のマスターピースが盗難された事件に触れて以来、興味をそそられつづけているカテゴリーの本なので、大変興味深く読んだ。こうして網羅されると面白い。また、5、6年ぐらい前に映画”モニュメンツメン”で再注目されたが、戦争で失われたり、再発見された作品なども言及されている。全世界全てというより、超有名なものに限られているので読み物としては面白いが、できたら作者が意図して破壊したピース以外のものを集めた図鑑のようなものがあればいいなぁ、と思う。
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人類が守りきれず、失った数多くの芸術作品の運命を辿る。 第1章 窃盗 第2章 戦争 第3章 事故 第4章 偶像破壊と破壊行為 第5章 天災 第6章 一時的にしか存在しない作品 第7章 所有者による破壊 第8章 覆い隠され、見出されたもの 第9章 失われたのか、初めから存在...
人類が守りきれず、失った数多くの芸術作品の運命を辿る。 第1章 窃盗 第2章 戦争 第3章 事故 第4章 偶像破壊と破壊行為 第5章 天災 第6章 一時的にしか存在しない作品 第7章 所有者による破壊 第8章 覆い隠され、見出されたもの 第9章 失われたのか、初めから存在していなかったのか 註が豊富。 以前読んだ「不可能美術館」セリーヌ・ドゥラヴォー/著は、 版が大きく、著者が選んだ作品に焦点が当てられた内容でしたが、 こちらは各章の中心の話の間に、入れ子のように幾つかの事例が 挟まっていて、より多くの作品に関する運命が語られています。 湿気により剥落したジョルジョーネやティツィアーノの壁画。 反面、漆喰で覆うことによって、現在は復元出来た壁画。 忖度等での書き換えや加筆も、復元技術によって明らかに。 権力者の力の誇示のためのイベントに制作された作品は、 行事が終わると解体&廃棄の運命に。 盗んだのはよいが売れずに処分された名画。 盗難等から守るため、個人蔵よりも安全と預けた美術館にも、 天災や人災、戦争は容赦しない。 また、ISの破壊行為によって、遺物が発見されるという、皮肉。 日本の三種の神器に関しても、語られています。 読んでるうちに、失われた芸術を夢想して遠い過去に想いを 馳せると同時に、今後、新たなる発見が未来に現れる希望をも 感じさせてくれる、内容でした。
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