書店本事 の商品レビュー
老舗からニューカマーまで、台湾で独立書店を営む店主たちに取材したインタビュー集。 本書の取材対象には新刊書店も古書店も混ざっているのだが、台湾は新刊本も値引きしていいので大手チェーン系の書店はいきなり20%引きとかで売りだすらしい。大量入荷ができない個人店はまずその時点で競争...
老舗からニューカマーまで、台湾で独立書店を営む店主たちに取材したインタビュー集。 本書の取材対象には新刊書店も古書店も混ざっているのだが、台湾は新刊本も値引きしていいので大手チェーン系の書店はいきなり20%引きとかで売りだすらしい。大量入荷ができない個人店はまずその時点で競争に勝つのが難しくなる。出版不況なのは日本と変わらないので、独立書店をはじめるハードルは一層高いと言える。 それでも2010年代から書店をはじめる人が増えてきたという。「売りたい本」がハッキリしていてそれ以外置きたくない人。採算が取れなくて大手書店が参入してこない地元の町から読書の火を絶やしたくない人。エンジニアやデザイナーなど在宅でできる仕事を持っていて本屋を開くのが夢だった人。本書を読むかぎりでは、老舗も含めて独立書店の店主は大きくこの三つに分けられると思う。 私が惹かれるのはコンセプトがしっかりしていて美学のある書店。特に台湾のフェミニズム運動を牽引した楊瑛瑛さんが代表を務めるという「女書店」は、台湾を訪れたらぜひ行ってみたい。台湾の原住民に関する書籍を集めている書店もいくつかあって気になる。お洒落なところも多く、10代に読書スペースを提供したいというコンセプトの「恋風草青少年書房」の内装のシックさに驚いた。10代だからこそダサい店には出入りしたくないわけで、その気持ちに寄り添う渋くてカッコいい店に仕上げながら棚には漫画も置いているというバランス感覚がすごい。 本書にはお店ごとの雰囲気とコンセプトを表現したイラストが添えられていて、これがとても素敵。巻末にライター、イラストレーター、訳者二人のコメントが並んでいるのも台湾の書店とこの本にかけるアツい気持ちがうかがえてよかった。
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台湾も日本と同じで若い人は活字から離れてるんですね。各店が本を仕入れ、お客様にお勧めして販売してるところに楽しさを感じるけど、将来その買う客は減っていくんだろうな。 日本もだけど、独自の書店文化が無くならなければいいなと思ったり。
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台湾の本屋のことなんて、そもそも読めないし、この本を読んで面白いのか?と思いつつせっかく貸してくれたのを機会に新鮮な世界を楽しもうと読んでみた。 結果、個人経営の書店はどれも店主の個性や哲学が店に反映されているということだった。 書店の経営は楽じゃない。だからこそやるだけの信念が...
台湾の本屋のことなんて、そもそも読めないし、この本を読んで面白いのか?と思いつつせっかく貸してくれたのを機会に新鮮な世界を楽しもうと読んでみた。 結果、個人経営の書店はどれも店主の個性や哲学が店に反映されているということだった。 書店の経営は楽じゃない。だからこそやるだけの信念がある。それはきっと、台湾だけではないだろう。 地元の個人書店のことは見向きもしなかったけど、何を仕入れるのか考えながら…という話を知ると、訪れるだけでもきっとなんらかの刺激を受けるはず。 神保町の古書店街にまた行きたくなった。今度行ったらまた前とは違った視点で楽しむことができるはず。 また、独立書店のイベントや客との交流の様子を通して、台湾あるいはアジアの自由な空気を感じることができて、旅をするような気持ちになった。 それぞれの店の章に3分の映像がくっついていることも余計に目と耳、想像力で楽しむことができた。
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台湾各地にある独立書店を、店主たちのインタビューとともに紹介していくブックストアガイド。二手書店(古書店)専門書店、ブックカフェとそれぞれ形態は違えども、各店の店主たちの店への思いは台湾の閲読文化を根底で支えている。本を読むこと、本を読んでもらいたいということへの思いは、海を越え...
台湾各地にある独立書店を、店主たちのインタビューとともに紹介していくブックストアガイド。二手書店(古書店)専門書店、ブックカフェとそれぞれ形態は違えども、各店の店主たちの店への思いは台湾の閲読文化を根底で支えている。本を読むこと、本を読んでもらいたいということへの思いは、海を越えたこちらにも強く伝わってきて、足元を見直したくなる。台北以外の書店の紹介も多いので、今後は旅先でこれらの書店に立ち寄ることもありそうだ。
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