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方形の円 偽説・都市生成論 の商品レビュー

3.9

10件のお客様レビュー

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2024/02/22

幻想の都市図鑑。少しずつ楽しんで読んだ。著者が建築家のせいか、構造物としての都市によった話が多いけど、その中で人間がどのような影響を受けるか、とかは面白い。あとがきを読んで、動乱の国は大変だな…と。

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2023/05/07

面白かった〜!宇宙市、貨幣石市、山塞市あたりが好き。架空都市が滅びていく様子を淡々と語る雰囲気が今までに読んだことない感じで新鮮だった。

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2022/01/16

旧社会主義国家ルーマニア出身の、建築家でもある著者による、計36の架空の都市について記された掌編集。カルヴィーノの見えない都市とよく比較されてるけど、あれよりより文系みを削ぎ落とした…というか、さばさばした文章で、それぞれの都市の成立と発展、そして終末が描かれる。本のデザインもス...

旧社会主義国家ルーマニア出身の、建築家でもある著者による、計36の架空の都市について記された掌編集。カルヴィーノの見えない都市とよく比較されてるけど、あれよりより文系みを削ぎ落とした…というか、さばさばした文章で、それぞれの都市の成立と発展、そして終末が描かれる。本のデザインもスタイリッシュでシンプル。内容によく合っているが、良くも悪くもシンプルすぎて、一冊を通しで読むのはややつらい。 

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2019/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

36の短編が収められた、あり得ざる都市の物語。 伝説に別方向から光を当てたり、IFの世界の演繹を濃縮した歴史と共に語ったり、奇想に満ちた素晴らしい短編集だった。文句なしに星5としたい。 ただし英訳を担当したアーシュラ・K・ル=グウィンの態度には首をかしげる。 「翻訳は愛の為にする」と宣言しておきながら、「20世紀中盤の男性作家が女に向ける目線が気に入らない」と何作かは翻訳しなかったというのだ。 翻訳者たるもの、自分の(政治的)主義主張を脇に置いて仕事するのが、忠実というものだと思うのだが。ことフェミニスト諸氏におかれては、伸縮自在の物差しをお持ちであることを誇っておられるようである。 ついに語られることのない『箱舟都市』の内容に想いをはせるもよし。 著者自身の手になる、シンボリックな幾何学模様を掲げるタイトルも見事である。 全編読み終えた後、集合したシンボルを見て、規則性を感じた順に読み直すのも、また一興であろう。 余談ながら、『クトゥルフの呼び声』を愛好する諸姉諸兄におかれては、本作に収録された短編のいくつかにはシナリオアイディアを刺激されることも請け合いである。

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2019/08/02

36の空想都市が紡ぐ物語だった。 本当に一つ一つの都市で大きな物語が書けるものばかりで、超短編にするのはもったいないものばかりだ。そしてどれもSFで、闇が深そうな感じがして良い。原本は大分前の本だが、それぞれの話がありそうで、見たことのない街や世界だった。無形都市は特に。都市とは...

36の空想都市が紡ぐ物語だった。 本当に一つ一つの都市で大きな物語が書けるものばかりで、超短編にするのはもったいないものばかりだ。そしてどれもSFで、闇が深そうな感じがして良い。原本は大分前の本だが、それぞれの話がありそうで、見たことのない街や世界だった。無形都市は特に。都市とは一体…ウゴゴゴ 訳本特有の文章の読みにくさはなかなか 見えない都市も読んだことがないので気になってしまうな…

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2019/07/19

架空の都市にまつわる物語集。衝動的なものが昇華されたような内容が面白い。 またルーマニアにて1975年に出版された際には、いくつかの短編が検閲により削除されたとのこと。

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2019/07/14

ルーマニアの建築家による奇想の都市を描いた掌編36のセット。それぞれに特徴のある都市であり、また一つの都市の36通りの表れのようでもある。 有名なイタロ・カルヴィーノの『見えない都市』と、ほぼ同時代に書かれた。構想は似ているが、読めばかなり異なっている。 ヴィルジニア(処女市)の...

ルーマニアの建築家による奇想の都市を描いた掌編36のセット。それぞれに特徴のある都市であり、また一つの都市の36通りの表れのようでもある。 有名なイタロ・カルヴィーノの『見えない都市』と、ほぼ同時代に書かれた。構想は似ているが、読めばかなり異なっている。 ヴィルジニア(処女市)の口づけのリスト、サフ・ハラフ(貨幣石市)の狭い苦しい道行き、プロトポリス(原型市)における豊かさゆえの遡行、ダヴァ(山塞市)の完璧な建築と唐突なダンスなどなど、忘れ難い情景が次々と展開する。 こういう神話的な物語はいつもそうしたものだけれど、唐突に飛躍したイメージが現れる。これはなんの比喩だろうなどと驚かずに、書いてあるままに受け入れて読めば楽しめる。

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2019/07/05

架空の都市についての文章ということでカルヴィーノの「見えない都市」と比べるのはわかるんやけど、アレは個々の話の間に薄いにしてもつながりがあるところが違うような。一つのテーマ、つながりのない話の集まりという点ではレムの「完全なる真空」「虚数」に近いような。日本で言えば筒井康隆か俳句...

架空の都市についての文章ということでカルヴィーノの「見えない都市」と比べるのはわかるんやけど、アレは個々の話の間に薄いにしてもつながりがあるところが違うような。一つのテーマ、つながりのない話の集まりという点ではレムの「完全なる真空」「虚数」に近いような。日本で言えば筒井康隆か俳句に行く前の小林恭二か。

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2019/07/03

ボルヘスが書いた架空の都市設計評―― といった雰囲気でもあり、 事典の形式を借りた幻想小説、 ミロラド・パヴィチ『ハザール事典』のようでもある、 建築士が描き出した36の街(市)と、集散する人々の情景。 各都市には作者がデザインした紋章が冠されており、 最後にそれを6列×6行に...

ボルヘスが書いた架空の都市設計評―― といった雰囲気でもあり、 事典の形式を借りた幻想小説、 ミロラド・パヴィチ『ハザール事典』のようでもある、 建築士が描き出した36の街(市)と、集散する人々の情景。 各都市には作者がデザインした紋章が冠されており、 最後にそれを6列×6行に配置した全図が掲載されていて、 一覧すると曼荼羅のようで、 フッと意識が遠のきそうになるのだが、 そう言えば、 曼荼羅の元のサンスクリット語には「丸い」という意味があるとか……。 SF/幻想文学のスタイルで、都市=社会が崩壊する光景と 右往左往する人間の様子を淡々と綴ったルーマニア出身の作者は、 当時の全体主義国家に、 ささやかな抵抗を試みていたのかもしれない…… と思ったが、あとがきを読むと事情は違っていたようで。 1931年から1989年まで発行された、 ルーマニア共産党機関紙『スクンテイア(火花)』で 建築と都市問題欄を担当していたササルマンは、 ある件について意見を求められた際、 その回答を短編形式で発表したのがきっかけで、 小説を書き続けることになったそうだが、 当時、都市文明に関する考察にまつわる諷刺、アイロニーが 国家体制に向けた批判と受け止められて戸惑ったという。 単に面白い小説を、 専門分野の知識を活かして書いただけだったのに、 検閲を受け、「これはけしからん!」と、 部分的な削除命令を受けたのだとか。 その後、世の中は変化したし、本書の完全版も刊行された。 この本は現代、そして、 未来の読者に「間違いでもない誤解」を与えながら 読み継がれていくのではないだろうか。 以下、36都市のうち、特に興味深い場所と エピソードについて、ネタバレなしで。 01■ヴァヴィロン(格差市)=塔型寺院に似た七層の街。  情景については引用フレーズを参照。 17■モエビア、禁断の都  中央アジアの帝国を訪れたヨーロッパからの使者は、  大ハーンに謁見し、内部市街の真ん中にあるという  禁断の聖都市訪問を願い出た。  大ハーン曰く、選ばれし者のみが聖都市に近づけるとて、  城門毎に繰り出される質問に答えよ――。 21■サフ・ハラフ(貨幣石市)  ノウシャー卿は様々な犠牲を払ってサフ・ハラフに辿り着き、  円環状の都市の異容に圧倒された。  狭い開口部から侵入し、中心部を目指したが……。  [引用]p.100-101   もう一度ごく貧弱なザックの内容を点検した。   双眼鏡、地図、壊れた磁石、   大分前から何も書かなくなっている日記帳、   手放したことのない一冊の本、   腰のリボルバーの弾丸ケース、   淀んだ水が半分ほど残る水筒、乾パン、   チョコレート、何個かの缶詰、ナイフ……   そんなところだ。  上記引用中の「手放したことのない一冊の本」  については言及されないが、気になる!  著者名・タイトル・内容をでっち上げる、  あるいは内容全文なぞは書かずに、それについての  「書評」を綴ってやれば  ボルヘスのパスティーシュ的な小説になる!!  ……と思ったが、やらないよ(笑)。 29■ダヴァ(山塞市)  高峰に登頂した三人は、  登山史に新たな歴史を刻んだと思ったのも束の間、  先客の痕跡を発見して落胆し、更に過酷な挑戦に。  そこには要塞があり、進入すると……。  シャンバラでメタモルフォーズというオチがラヴクラフト風。

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2019/06/21

ルーマニアSFという珍しい短編集が邦訳。翻訳はエリアーデの短編集などで知られる住谷春也が担当……と、これだけで充分買って損はないのだが、解説が酉島伝法だった。これは嬉しい。 幾何学的なモチーフを多用しているが、作風は寧ろ有機的で絡み合っている。この都市に住んでいるのは、酉島伝法の...

ルーマニアSFという珍しい短編集が邦訳。翻訳はエリアーデの短編集などで知られる住谷春也が担当……と、これだけで充分買って損はないのだが、解説が酉島伝法だった。これは嬉しい。 幾何学的なモチーフを多用しているが、作風は寧ろ有機的で絡み合っている。この都市に住んでいるのは、酉島伝法の小説に出て来るような『ああいうもの』ではないのだろうか……? カルヴィーノの名前も挙がっていたが、ちょっと安部公房っぽさもあるような……。

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