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黄色い実 の商品レビュー

3.8

20件のお客様レビュー

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2019/10/28
  • ネタバレ

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紅雲町珈琲屋こよみシリーズ…長いな、お草さんシリーズの最新作。もう7作目になるのか。1作目読んだときは「おかんみたいな人がやってる雑貨屋」のシリーズやと思ってたのに、今では「もうすぐ俺たち世代がやりそうな」に変わってきてるもんなぁ。時の流れの残酷さよ…。 本作では、性犯罪…いわゆるレイプ犯罪をとりあげている。結論ははっきりしている、暴力を振るった側(多くの場合、そしてこの作品でも男)が悪いのだ。なのにそう単純にいかないのが、性犯罪。被害者の側も「汚れた」だの「油断があった」だの「誘った」だの、はては「売名行為」「被害者面した仕返し」…なんとも無茶苦茶な評価をするものである、世間ってのは。 「私は何も悪いことはしていない」と敢然と立ちあがれば、世間にさんざこづきまわされる。それを見た他の被害者が「私は普通に生きていたいだけ」と声をあげなければ、第一の被害者から加害者に加担する側と誤解される…。まったくなんて世の中なんだか。 幸い自分が加害者でも被害者でもその身内でもないのであれば、そのバカげた世の中とやらの片棒を担がないこと。くだらない週刊誌やワイドショーには背を向け、陰湿な噂話で盛り上がる知り合いとは距離を置くこと。まずはそういうことから始めていかないと…。 とはいうものの、例えばこの本だって文藝春秋社から刊行されていて、あの出版社の稼ぎもとに「習慣文春」があったりするんやもんなぁ。文春砲で儲かったお金を(全部ではないにせよ)投資して、この本が刊行されている、ってことを考えると複雑な思いである。

Posted byブクログ

2019/10/06
  • ネタバレ

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吉永先生の本は初めて読みました 図書館のHPで予約が多い本だかなんかになっていたからだったと思います 草(そう)さんというお婆さんがやっている珈琲屋(小蔵屋)さんが舞台 そのお店で働いている女性、その女性の彼氏になるむさ苦しい男性 あと大学教授の家族(父、母、息子) 元ちょっとしたアイドルだかの地元有名人 そのあたりが主な登場人物 あ、あと草さんのお友達のお婆さん ボケてるようで時にシャープみたいな感じが良かった 個人的な印象だと文が読みにくかった これはおそらく読み手の問題 読み手が悪読すぎるのでしょう 速読ではないのですが一文字一文字追っていく読み方はしていなくてですね、、、自分がよく読む先生の本であればキャラや言い回しみたいなものがなんとはなしに分かって内容も理解できるのですが、吉永先生の自然の一部分一部分まで表現しようとする文章は自分には読みにくかったです はい、完全に読み手のせいです。。。 ストーリーですが、草さんが不動産の購入を勧められたあたりから始まったかな 小蔵屋二号店になるかというところ その不動産の管理をしていたのがむさ苦しい男 だが、小蔵屋で働いている女の子とウマがあったのか程なく付き合う事に 一方、大学教授の奥さんから「息子が女性との恋愛問題で職場をやめる事になった」と相談をもらう ちょうど紹介できる事案があり紹介 そこで働く事になる そして事件発生 元アイドルの女性が強制性交されてしまう 犯人として噂になったのは教授の息子 地元でも話題になるが、逆にその女性の方が「元アイドルの愛嬌でその気にさせたんだろ」などと責められる状態に それには相手が教授の息子で「そんな事するわけない」という事もあった まさに日本のムラ社会そのものであり、吉永先生もそのあたりを泣き寝入りしなくてはならなくなる女性の弱い立場とともに書きたかったのかなという気がする 真実は関係なく、どこに落着すればムラがムラとして都合が良いか どの結論を真実とすれば多くの人が心地良いのか それは事実でなければごく少数でも被害(二次被害)にあう人が出るのだがそれがムラ社会の掟だと 個人的にこういうのはイライラする 弱いものは救うべきなどという正義ヅラをするわけではないが、真実は真実でしかないはずなのに その事件とは別に小蔵屋の女性も未遂ながら被害にあっている事がわかる ただ、女性は警察に訴え出る事はしたくないと それはそうだ そもそも女性の方が何故か恥ずかしい話になるし、元アイドルのように責められる可能性もある 草さんとしては教授の倅の就職を斡旋した事を後悔 女性問題でというのもそんな言葉レベルの話ではなく今回と同じ強制性があった事件だったのではないか? 自分はそんな人間を再度社会に出る手助けをしてしまったのではないか? 結局、むさ苦しい男の活躍もあり、教授の倅が逮捕される事になる 最後の方では教授も息子がそういった衝動を抑えられないという病気である事は分かっていたという話になっていた 返って母親の方が息子がそういった病気であるというその事実から目を背け、息子にその治療を受けさせる事を拒んでいたというような話 もともと日本では被害者が告訴しなければ起訴できないというような事だったようだが、法改正され、被害者の声がなくとも起訴できるようになったと最後に記載されていた 日本はまだまだ男尊女卑的な考えがまかり通っているのは事実だと思う 逆にたまに行き過ぎたフェミニズムも感じるけど 吉永先生はそういうところに一石投じたかったのかなという気がしました

Posted byブクログ

2019/08/25

今までも結構な重いの多かったけど、 今回は最も辛かったぁ。 表紙のほのぼのしたイラストとまったく違った。 お草さんがまた春を迎えられるのは良しだけど、 黒ーいシミが心にが残る話だった。 だからこそ、いいのかなぁ。 いやぁ、もうちょっとハッピーであってほしかった。

Posted byブクログ

2019/08/25

紅雲町珈琲屋こよみシリーズ最新作。 このシリーズは探偵役がおばあちゃんなのに全然枯れてない、日常系なのにホノボノしてないのが特徴なのだが、今回は特に読んでいて辛かった。 店員の久実に遅い春が来たかと思いきや、そのお相手には色々訳ありで、更にその久実に思いもかけぬ事件が起こる。 ...

紅雲町珈琲屋こよみシリーズ最新作。 このシリーズは探偵役がおばあちゃんなのに全然枯れてない、日常系なのにホノボノしてないのが特徴なのだが、今回は特に読んでいて辛かった。 店員の久実に遅い春が来たかと思いきや、そのお相手には色々訳ありで、更にその久実に思いもかけぬ事件が起こる。 何故久実にこんな試練を与えるのか、そして何故草はその久実に追い討ちを掛けるのか。そして何故他人はこれほど無責任に人のことを喋り撒き散らせるのか。 こんなに長いシリーズになると知らずお付き合いしているのに今さらだが、やはり草さんは好きになれない。 少し前に流行したある運動をテーマにしたかったようだが、それにしても読んでいて辛い。 決して他人事ではない、遠い世界の話ではないと言いたいのだろうが、それにしてもこんな試練を与えなくても良いじゃないかと思う。 更にこの一方的な被害者の二次被害には唖然とする。しかし一方で、もしこれが冤罪だったら…という場合も考えたりしてゾッとする。 苦しみ抜く久実と正義と正論を押し付ける草、別世界で気楽に見守る由紀乃。三者の描かれ方が興味深い。 最近放送されている経理部を舞台にしたドラマで『正しいことは良いこととは限らない』というようなセリフがあったが、草のやっていることは正にそうだ。 正しい、正義であることは分かる。だがそれが良いことであるとは限らない。正しいことなのに何故これほど久実を苦しめるのか。何故そんなことになってしまうのか。 ここまで来ると久実と草の関係は破綻するしかないだろうと絶望的な思いで読んでいたが、最後に意外な展開があった。 久実の人柄に改めて感心する。あと密かに良いのは配送運転手の寺田。 久実の将来に幸あれ。

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2019/08/15

+++ 草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル...

+++ 草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル。他にも被害者が?小さな町の大事件が小蔵屋の日常を揺るがせる。 +++ とうとう久美にも春が、とわくわくしながら進展を見守っていたのだが、降ってわいたように厭な事件が起こり、どことなく久美の様子にもわだかまりがあるような……。地元名士である大学教授の息子が、恋愛問題のもつれから、傷心で帰ってくるということで、彼の就職に際して、お草さんもひと口絡んだ経緯もあり、教授一家のあれこれも気になる。そして、段々と事の真相が、お草さんの嫌な予感の通りに明らかになっていくのだった。ものすごく後味の悪い事件ではあるが、それはそれとして、小蔵屋の商いに関するいろいろは、想像するだけで愉しく明るい心持にさせられる。お草さんのアイディアが形になったちいさなものたちが、まるで希望の光のように小蔵屋で、来る人を待っていてくれるようである。久美と一ノ瀬のこれからがどうなるのかは、まだ定かではないが、あちこちに希望が見えるようなラストで救われた一冊だった。

Posted byブクログ

2019/07/28

#紅雲町珈琲屋こよみ このシリーズがコージーミステリって言ったのは誰!? 酷い流血沙汰こそないけども、時流も取り入れたなんか辛い、しんどい展開ばかりで、でも読むのがリタイア出来ない そんなシリーズです。

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2019/07/20
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「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ第7弾。 今回は"#Me Too"がテーマの、重いかもしれない長編。 どうしてそれが久実ちゃんに起きるの?!と読者は思う(私も思った)かもしれないが、「あなたの身近な人にこんな事が起きたらどうしますか?」という問いかけなのだろう。 性犯罪に巻き込まれた女性は、周りの反応が怖かったり、あるいは傷つきすぎて思い出したくない…といった理由で、言い出せない、警察に届けられないということが多い。 犯人は野放しで、犯行を繰り返すこともある。 そして、こんなに何もかも近代化された世の中でも、人間の野次馬根性はまったく変わらず、一度被害を受けた人は二次被害にも苦しむ。 素敵な小蔵屋の話でこんな話題は嫌だな、と思う方もいるかもしれないが、お草さん曰く、 「苦い話からしか得られないこともあるはず」 口直しか、落ち着いたあとの小蔵屋の描写が、いつもより丁寧で長い気がする。 新しい船出はあり? 次回も期待したい。

Posted byブクログ

2019/07/17

紅雲町シリーズ。コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の草が、身近に起きた事件を解いていく。 今作は小蔵屋の客が強姦事件に遭うという辛いもので、しかも小蔵屋の店員であり、草の歳下の友人とも言える久美も被害に遭っていた。加害者も小蔵屋に客として来たことがある男で、草は苦しむことになる。 ...

紅雲町シリーズ。コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の草が、身近に起きた事件を解いていく。 今作は小蔵屋の客が強姦事件に遭うという辛いもので、しかも小蔵屋の店員であり、草の歳下の友人とも言える久美も被害に遭っていた。加害者も小蔵屋に客として来たことがある男で、草は苦しむことになる。 嫌な事件だから読後感は爽やかとはいかないけど、それも乗り越えていくしたたかさが草らしい。

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2019/07/17

【収録作品】第一章 小春日和/第二章 颪の夜/第三章 宿り木/第四章 帽子と嵐/第五章 黄色い実  加害者側も被害者側も一括りにはならない。最も不快なのは無責任な第三者たちのしたり顔。  付記もあわせて、作者の覚悟に共感。  自分が加害者側あるいは被害者側に立つことがあるのではな...

【収録作品】第一章 小春日和/第二章 颪の夜/第三章 宿り木/第四章 帽子と嵐/第五章 黄色い実  加害者側も被害者側も一括りにはならない。最も不快なのは無責任な第三者たちのしたり顔。  付記もあわせて、作者の覚悟に共感。  自分が加害者側あるいは被害者側に立つことがあるのではないかという想像力があれば、「第三者」として噂話に興じることはできない。

Posted byブクログ

2019/05/21

【お草さんの年の功でも手に余る難題が……】久実についに春が! と思いきや、元アイドルの女性への暴行事件で小蔵屋にも不穏な気配が漂う。お草さんが示す道とは。好評第七弾。

Posted byブクログ