インテグラル理論 の商品レビュー
人間成長について書かれた本。様々な発達段階理論を統合的にまとめる試みをしており、キーガンの理論・本などと比べると理解が難しい。 一方で、インテグラル理論の考え方自体には共感する部分も多く、最近自分自身でも感じていた「分化から統合」の考えとも似たものだったので、スッと頭に入ってきた...
人間成長について書かれた本。様々な発達段階理論を統合的にまとめる試みをしており、キーガンの理論・本などと比べると理解が難しい。 一方で、インテグラル理論の考え方自体には共感する部分も多く、最近自分自身でも感じていた「分化から統合」の考えとも似たものだったので、スッと頭に入ってきた。 内面(美)を成長させるには、文化(善)や社会システム・科学(真)が連関していることを認識し、同時に発達させる必要がある。言い換えると、内面だけの発達を志してもそこには限界があるということ。 また、自分がオレンジorグリーンの段階にいるためか、「全ての発達段階に意味があり、高次の発達段階の人々も、皆最初は低次の発達段階からスタートしている。大切なのは各発達段階を否定する(オレンジ)わけでも、そのままで良いとする(グリーン)わけでもなく、各発達段階が健全な発達スパイラルにある状態になることを支援すること」という考え方。 また数年後に読み返したい。
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「ティール組織」のベースにもなった理論モデルであり、社会のあらゆる事象を理解・整理するための枠組み(またはメタ理論)である「インテグラル理論」の概要を解説した入門書。 インテグラル理論は、縦軸に「個人」と「集団」、横軸に「内面」と「外面」を配した四象限で構成されており、例えば「...
「ティール組織」のベースにもなった理論モデルであり、社会のあらゆる事象を理解・整理するための枠組み(またはメタ理論)である「インテグラル理論」の概要を解説した入門書。 インテグラル理論は、縦軸に「個人」と「集団」、横軸に「内面」と「外面」を配した四象限で構成されており、例えば「個人の内面」は自己の意識であるのに対し、「個人の外面」は脳科学や生物学的領域であり、「集団の内面」には文化や文明が、「集団の外面」には社会制度や環境が位置づけられる。またそれぞれの象限ごとに、発達の段階である「レベル」、並行して発達する複数の領域(「ライン」)、レベルやラインごとに生じる意識の状態(「ステート」)、さらにはジェンダーなどの「タイプ」があり、これら5つの要素が重層構造として存在している。 本理論により、「科学vs宗教」や「保守vsリベラル」といった対立軸の本質と解決策が説明できるほか、フランシス・フクヤマやサミュエル・ハンティントンら著名な理論家の考えがどのように位置づけられるのか、あるいは本理論を応用することでビジネスや医療・教育にどのように生かせるのかを解説している。著者が強調するのは、偏りのない「全象限・全レベル」のアプローチであり、また発達の段階(レベル)を上がることは前段階を否定することではなく、むしろ包含して進む「入れ子構造」と捉え、各段階がもつ他の要素における「違い」を尊重しつつ、その中でも共通的な要素の探求を通じ、自己や自集団を超えてより「統合」された世界観を構築することであり、本理論はそのための「地図」になる可能性を秘めている。入門編とはいえ非常に多岐にわたる内容を一冊に凝縮しており、やや難解な記述や冗長な部分もなくはないが、読み応えのある良書。
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"A Theory of Everything"の新訳。 大昔に大学に入って最初に興味をもったのが人類学。そこでは「文化相対主義」というのを習った。そして、レヴィ・ストロースの構造人類学を学び、クリフォード・ギアツの解釈人類学を学んだ。人類学のなかでは、この...
"A Theory of Everything"の新訳。 大昔に大学に入って最初に興味をもったのが人類学。そこでは「文化相対主義」というのを習った。そして、レヴィ・ストロースの構造人類学を学び、クリフォード・ギアツの解釈人類学を学んだ。人類学のなかでは、この2人のスタンスは大きく違うものとされたが、「文化は違うだけで、いいとか、わるいとかそういうものではない」という思想においては共通のものであったと思う。 わたしにとって、「文化相対主義」とは、自文化中心主義のエゴにとらわれないこと、他の文化に対して謙虚な気持ちになること、文化の違いのなかから学び続けることを意味していた。 ところが、いわゆる解釈学とかポスト構造主義とか、社会構成主義などに対する批判として「相対主義」という言葉が否定的に使われているのを知って驚いた。 「相対主義」は、結局のところ、すべての価値の意味をなくし、ニヒリズムに陥る。あるいは、自分の価値観、自文化に独善的にひきこもるようになり、道徳的にも、社会的にも、国際政治的にも有害である、と。。。。 これと同じような議論が、卑近なところでは、職場のダイバーシティでも起きているのかも。 「違いを力に」とか言っているのだが、結局のところわがままがはびこってしまうんじゃないかというおそれ。 多様性を尊重しようという立場は、「多様性はいやだ」という「違い」にどう対処すればいいのか?「ダイバーシティ推進はいいことである。意見の多様性もいいけど、タイバーシティ反対は許さない」ということなのか????などなど。 「インテグラル理論」は、そんなお悩みにアプローチするためのヒントを与えてくれるものかもしれない。 あと「ティール組織」を読んで、モヤモヤした人にもオススメしたい。 ウィルバーの本は難しいものが多い。これは本人が書いた入門書という位置付けだが、以前の翻訳「万物の理論」は結構難しかった記憶がある。それに対して、今回の訳は、読みやすく、なるほど「入門書」らしい。 「入門書」といっても、本質的なところがぎゅっと詰まっている感じで、とくに理論編の最初の3章くらいまでは、繰り返し読み直したい濃い内容。 「ティール組織」は面白いのだが、組織の進化段階を色で単純に仕分けするところに違和感があった。あと、いくらティールな組織が素敵でも、そこにたどり着くための道がよくわからなかった。ティール組織で実践されている取り組みをできるところからやってみましょう、というような話ではないんじゃなかろうか?という疑問。 「インテグラル理論」は、その辺のもやもやを理論的に整理してくれた。つまり進化のレベルは前のレベルを内包しているということ。 そして、すべての象限、レベル、ライン、ステート、タイプの組み合わせで物事をみて、その全てに働きかけるということ。 この本を読むと、自分自身がやっていることを含めて、身の回りに「あるある」だらけだ。 では、わたしが「インテグラル理論」に完全に納得したかというと、進化の概念のモヤモヤは微妙に残る。わたしのなかではグリーン的な価値観が根強く、横の多様性はwelcomeだが、縦の多様性は躊躇がのこるかな。 とくに進化や発達という概念が個人レベルだけでなく、組織や社会の発達度合いということになると、「文化相対主義」からスタートしているわたしはつい警戒してしまうわけだ。 方向性はなんとなくわかるのだが、なんかエッジが立つ。第1層と第2層の間の谷を前にして、ちょっと心理的な恐れもあるのかな? ここの転換は、ウィルバーも3年間苦しんでうえで見出した答えということなので、わたしも腑に落ちるまでもう少しかかるのかもしれない。 その辺はもう少し考えてみたい。 でも、いいなと思ったのは、「さあ、みんなそろって、第2層に行きましょう!」みたいな話ではないこと。 社会の段階はたとえばグリーンでも、そこには、オレンジの人も、レッドの人もたくさんいるし、人間の個体の成長の多様なプロセスもあるので、そういう多様な人たちに応じたアプローチをしようということ。 取り組みもインテグラルなんだね。 なので、グリーンやオレンジ的な方法論、スキル、ツールも必要に応じて使えばいいということになるのかな? ちなみに、インテグラル理論は、メタ理論なので、これを知ったからといって具体的になにかができるようになるのではない。より具体的な状況に対応するための具体的な理論なり、ツールなりを理解して使っていくことはやっぱり必要ということは、いうまでもない。
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