お絵かき禁止の国 の商品レビュー
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「杉森くんを殺すには」が面白かったので、長谷川まりるの他作品も気になり、こちらを読んでみた。 同性愛者だと自覚していなかったハルが、同じクラスの女の子を恋愛として好きになる話。 女の子が好きと自覚したことでこれまでの自分の気持ちに辻褄が合っていくとか、友達からの目とか、親の受け止め方とか、色々リアル。お母さんから「そんなんじゃ結婚できないわよ」とか、バレンタインのお菓子を作っている時に「彼氏にしたいのはどんな子?」って言われるのもあるあるすぎる。母親からのこういう何気ない一言で、自分は普通じゃないんだ、おかしいんだ、親の期待に応えられない子どもでごめん、って心が削られていくんだよなぁ。 お母さんの女子校時代にも尊敬や憧れを恋心と混同する子がいたっていう話もリアルすぎる。あったあったそんなの。作者は女子校出身なんだろうか?? 同性婚が認められていないことに当事者としてショックを受けたり、百合扱いされるのが嫌だったり、トランスジェンダーの家族がいたり、ハーフの子の生い立ちを聞いたりするシーンでは、彼らのことを考えるきっかけを与えてくれる。 一番良かったと思ったのは、アキラの気持ちがハルと同じ恋愛としての好きになれなかったこと。「付き合ってみたら好きになれると思った、でも違った」って、ただただ軽率なように聞こえるけど、リアルって結局そんなもんじゃない?2人が親の反対を押し切って幸せに暮らしていくラストも素敵だけど、ここで別れる(?)ことにした方が中学生らしいし、好きになれないっていう気持ちもあっていいんだよってアキラ側の立場の子も上手に救ってあげられる。 この人の作品はどんな立場の子も取りこぼしなく救ってくれるので、とても安心して読める。居場所がないと感じている子どもたちに、この本がどうか届きますように。 中学3年生のハルは同じクラスの女の子のアキラが好き。ある日、アキラからキスをされてハルは舞い上がる。アキラも自分のことを好いてくれているのだと幸せな気持ちになる。しかしまた別の日、ハルとアキラが公園でキスしている写真がクラスのグループチャットに流され、アキラは学校に来なくなる。その写真はクラスのサッカー部の男の子によって部のグループチャットにも流され、同じサッカー部のハルの弟の目にもとまり、ハルが女の子が好きだということが弟にもバレてしまう。弟はこれまでハルと喧嘩してばかりだったが、ハルの味方になってくれた。いずれ親にもバレてしまうなら自分の口から言ったほうがいいと思ったハルは、弟を連れ、両親に女の子が好きだとカミングアウトする。しかし、あっさり受け入れてくれると予想していた父親はハルのことを強く拒絶し、母親は動揺しハルを傷つける発言があったものの、娘のことを受け止める姿勢をみせる。そしてハルはいつも通り登校するが、いつも一緒にいたしおりんに「何で相談してくれなかったの?」と責められ避けられるようになり、周りから好奇の目を向けられたり嫌悪感を露わにされたりするが、同じクラスの荒井君(兄(本当は姉)がトランスジェンダー)やアキラの親友のさゆりたちに支えられる。最後に卒業の日を迎え、りょーちんとさゆりんと和解し、アキラとも再会。アキラはハルに対する気持ちに応えられないことを謝る。ハルはアキラを許し、1人で泣き、自分の気持ちに嘘をつかず前を向いて生きていく。
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すごく読みやすくて、たくさんいるキャラクターたちがそれぞれに魅力的。 タイトルがイマイチで、勿体無い。
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誰も禁止していないのに。 好きな人にキスされた。バレンタインには本命チョコを渡した。舞い上がっていた。あの写真が出回るまでは。好きな人はアキラ。自分と同じ女の子。中学3年生のハルの恋と失恋の物語。 ハルの恋する様子、不安な気持ちが描かれており、一緒に一喜一憂しながら読める。あくまでハルの視点からしか描写がなく、アキラの気持ちが伝わってこないのもハルの気持ちに寄り添えてよい。周囲の捉え方が良くも悪くも大きい人から軽い人までいるのがリアルに感じた。 タイトルは、絵を描いていると、本当は禁止されていることをしているように感じるというハルのセリフから。誰もが「別に構わないよ、自由だよ」と言うのに、何か罪を犯している気持ちになる。同調意識を中学生なりに表していて、ヲタク趣味といい同性愛といい、しっくりくる言葉だと思った。
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アキラがキスしてくれた 私・ハルはうれしくて、ぐるぐるしている でも、このキスはどんな意味のキス? ・自分がレズビアンと気付き、友だちのように恋人のように付き合った中学校3年生の3学期 ・家族へのカミングアウト、学校でのアウティング ・“好き”の種類 〇この子たちは、これからの人生をきっとしっかりと歩んでいけるだろうなと思った
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タイトルに惹かれて読みました 同性愛者という事を認めていいのか分からない感情や家族,友人に話したくても話せない 相手にも好きと伝えていいのか分からない,気持ち悪いと思われたくないなどまだ義務教育中の女の子が考えるには重すぎるけどしっかり自覚しないとあやふやなまま時間が過ぎてし...
タイトルに惹かれて読みました 同性愛者という事を認めていいのか分からない感情や家族,友人に話したくても話せない 相手にも好きと伝えていいのか分からない,気持ち悪いと思われたくないなどまだ義務教育中の女の子が考えるには重すぎるけどしっかり自覚しないとあやふやなまま時間が過ぎてしまうという内容が読んでてハラハラしたりほっとする場面があったりしてとても面白かったです LGBTQなどが少数では無くなってきている時代にこの本を読んで自分が異性愛者の場合同性愛者の人はどんな気持ちや思考を持っているのかが少しでも理解してくれる方が増えるといいなと思います
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難しい言葉もなくサラサラと読みやすい物語でした。 同性を好きになる感覚、同性を好きになれない感覚 違った恋を漫画の中だけで楽しむ感覚。 一見、同じようで同じじゃない。 本人になってみないと分からない。 そういったのがたくさん詰め込まれている内容でした。
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LGBTQやSOGIについての学習が行われている今、若者のほうが同性愛に理解があり、考え方が柔軟だなと感心します。それにひきかえ親世代はカッチカチ頭でいろいろ決めつけてかかってくる…(ハルにキツく当たってくる同級生、親のステレオタイプを引き継いでるんでしょうね…)描き方は軽妙ですが、リアリティがあります。LINEで写真が拡散される辺り本当にリアルです。笑 文体、展開、読みやすく引き込まれるので、小学校高学年辺りから読めるのではないでしょうか。「レズとかキモ」と言い出す前に読んでほしい作品。 ほかの方も書かれていましたが、翔太渋いです。
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LGBT、性自認についての 児童書が少しずつ増えてきたな、という印象。 主人公の一人称が最近のラノベに近くて、 グループLINEの感じとかも けっこうリアル。 読みやすくていい作品だと思います。 親世代のリアクションもまさに、という感じ。 少しでも偏見が無くなっていくように、...
LGBT、性自認についての 児童書が少しずつ増えてきたな、という印象。 主人公の一人称が最近のラノベに近くて、 グループLINEの感じとかも けっこうリアル。 読みやすくていい作品だと思います。 親世代のリアクションもまさに、という感じ。 少しでも偏見が無くなっていくように、 10代のころから良い資料を、物語を 読んでいけるような環境にしていきたい。 弟、超いい子。こんな弟ほしい。
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10代をゼロ年代に過ごした若い作者だからこそ作り出せたであろう雰囲気。 登場人物たちのやりとりや思考回路もリアル、いい意味で軽さがあってよかった。
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後半、事件が起こるまでがダラダラとした印象。軽い読み口なのになかなか読み進められない。最後の両親との和解が良かった。
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