小説 アルキメデスの大戦 の商品レビュー
菅田将暉が好演しているというので、まず映画を見た。アメリカとの戦争が始まる前、海軍では、航空母艦派と戦艦派の争いがあった。航空母艦派はもちろん山本五十六で、かれはこれからの戦いが飛行機が優勢になると考えていた(これは開戦すぐの真珠湾やマレー沖海戦でイギリスの戦艦二隻を日本の飛行機...
菅田将暉が好演しているというので、まず映画を見た。アメリカとの戦争が始まる前、海軍では、航空母艦派と戦艦派の争いがあった。航空母艦派はもちろん山本五十六で、かれはこれからの戦いが飛行機が優勢になると考えていた(これは開戦すぐの真珠湾やマレー沖海戦でイギリスの戦艦二隻を日本の飛行機が撃沈したことで証明されるのだが)。しかし、戦艦派は戦艦こそが戦の中心だという。あたかも戦国時代に鉄砲が現れたときに、剣や弓矢で闘うような発想だった。両派の戦いは、予算案をめぐって行われた。戦艦派は巨大戦艦であるのに、航空母艦よりも安く見積もっていた。この謎を暴こうとしたときに現れたのが、帝大で数学の天才と言われた櫂直(菅田将暉)だった。かれは小さい時から美しいものがすきで、美しいものはすぐ巻き尺で測りたくなる習性があった。かれは尾崎財閥の当主に気に入られ、娘鏡子の家庭教師をしていたが、娘のあまりに均整のとれた顔立ちや体を巻き尺で測ろうとしたときに、尾崎家の人たちに押し入られ、帝大も退学せざるを得なくさせられた。そんな櫂に目をつけ、戦艦派の平山予算案の問題を解かそうとしたのが山本たちだった。会議までは2週間、この間にいくたの困難を越えて櫂は解答を得るのだが、会議であかされた予算案の謎に茫然としてしまう。山本たちは敗北するも、櫂は平山案の致命的問題をつかんでいた。このままでは船はまっぷたつになってしまう。平山は櫂のことばに納得し、敗北を認めその場から立ち去る。しかし、平山はやがて櫂を呼び、その解答式を教えてくれるよう頼む。櫂は平山の大和の模型を見て、その美しさに見とれ、解答式を教えてしまうのだ。一方、小説では、櫂は教えるものの、鏡子とともに出奔し姿をくらましてしまう。
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数学大好き読者として興味深く読めたが、あっという間に読み終えてしまい、これだけの内容で映画化できるとは…本当はもっと伏線もあっただろうが、どこに視点を注ぐかで物語が作られていくのでしょうね。役者さんや他の技術者さん達の力量に感心するばかりです。映画はまだ観てませんが楽しみです。
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いったい、船舶工学の粋を集めた巨大戦艦の見積りの不正確を数学の天才と言えども当該領域のズブな素人が計算により看破できるのか?流石にこの点に作者も疑問を抱いたようで積み上げの数字を捨てて概数同士の相関で真実に迫っていく。フムフムこれならば有り得なくないが、到達した結論より、当時の意...
いったい、船舶工学の粋を集めた巨大戦艦の見積りの不正確を数学の天才と言えども当該領域のズブな素人が計算により看破できるのか?流石にこの点に作者も疑問を抱いたようで積み上げの数字を捨てて概数同士の相関で真実に迫っていく。フムフムこれならば有り得なくないが、到達した結論より、当時の意思決定の杜撰さの方が気になってしまった。戦略決定は積み上げの結果でなく、意思決定であり、補完する意味での数字は戦略が実現可能性の点で棄却されるべきものでないことを示しているのに過ぎないことは現代においても同様である。本書はこの一点をテーマして巨艦大砲主義に傾いていった当時の戦略決定をあぶり出す。
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この作品はフィクションなんですよね ? 内容的には面白く読めた。ただ読み終わって振り返ると少し内容が薄かった様な気がする。 映画の映像では戦艦大和が撃沈する場面が見られるが、確かに映画として大和の戦闘シーンまで膨らませると魅力がある作品になると思う。
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巨大な戦艦を空母よりも安く作れるという出鱈目を暴き、戦争を回避しようと思った数学者が、公式でその出鱈目な大臣たちをねじ伏せるという話しで、会議のシーンやそこに至るプロセスの話しが勢いがあり面白かった。ただ、あっという間に終わった印象が強く読み終えたという満足感はなかった。映画のあ...
巨大な戦艦を空母よりも安く作れるという出鱈目を暴き、戦争を回避しようと思った数学者が、公式でその出鱈目な大臣たちをねじ伏せるという話しで、会議のシーンやそこに至るプロセスの話しが勢いがあり面白かった。ただ、あっという間に終わった印象が強く読み終えたという満足感はなかった。映画のあらすじみたいに思えてしまった。おもしろいのは面白いですよ。映画も楽しみです。
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