まだすべてを忘れたわけではない の商品レビュー
感想 語りは主観的な営み。聞き手と語り手の間に存在する非対称性を痛感させられる。記憶は常に揺らいでいるが同時に頑固なものでもある。
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少女がレイプされ、治療のなかで記憶を消去される。しかし記憶が無くなったからと言って帰って苦しむことになる。 巻末に至るにつれ出来事が連鎖し止められなくなった。 語り手は中立で公平のように思いがちだけど、その梯子を外すのがうまい。終始隠し事をしているような。最後はカタルシスではな...
少女がレイプされ、治療のなかで記憶を消去される。しかし記憶が無くなったからと言って帰って苦しむことになる。 巻末に至るにつれ出来事が連鎖し止められなくなった。 語り手は中立で公平のように思いがちだけど、その梯子を外すのがうまい。終始隠し事をしているような。最後はカタルシスではないけど、点と点がつながる感じ。面白かった。
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とても面白かった! ある小さな閑静な町で起きた少女レイプ事件にまつわるお話。 書き手は少女のカウンセリングを担当した精神科医で、心理学的視点からの描写や分析がとてもユニークです。 登場人物が多く、時系列も行ったり来たりで内容自体は複雑ですが、描写も丁寧で話にも緩急がついているため...
とても面白かった! ある小さな閑静な町で起きた少女レイプ事件にまつわるお話。 書き手は少女のカウンセリングを担当した精神科医で、心理学的視点からの描写や分析がとてもユニークです。 登場人物が多く、時系列も行ったり来たりで内容自体は複雑ですが、描写も丁寧で話にも緩急がついているため退屈することなく読めます。 文庫本にしては厚く、一枚当たりの文字数も多く、心理学用語もたくさん出てくるのでややエネルギーは要りますが、内容が抜群に面白いので楽しく読めました! 「犯人は誰なのだろう?」というミステリーな要素もありつつ、改めて「記憶」の複雑さを考えさせてくれます。 ハラハラする本が好きな方、ミステリーが好きな方には特におすすめです!
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