河野裕子 の商品レビュー
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歌人 河野裕子の短歌を息子であり同じく歌人でもある永田淳が解説する。 私は短歌に詳しくもなく、特に歌集を好んで読むわけでもない。しかし数多くの河野裕子の短歌には共感を覚える。 初めて出会った歌は 「たとへば君 ガサッと落ち葉すくふやうに 私をさらつてはくれぬか」 若く激しい恋情を直情的に表現し、「ガサッ」という擬声語を使っていること、短歌にこのような型破りな表現ができるとはと驚かされた。 その後、夫である永田和宏の解説した作品集も読んだりもしたが、今回は息子による厳選50首の解説、家族でなければわからない作品の背景や状況等を詳しく解説してくれる。 河野裕子は私より少し上の世代だが、女性として、恋愛、結婚、子育て等を題材にして鋭い感性と言葉の緻密さ、それを三一文字という短歌という形で表現し、私たちに届けてくれる。共感する部分が多い。 晩年、病に倒れ、64歳で亡くなってしまったことが惜しまれる。 死の直前まで歌を詠み 「手をのべてあなたとあなたに触れた気に息が足りないこの世の息が」 という辞世を残している。胸に迫る一首である
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河野裕子の40年以上に及ぶ作品群から、50首を選び出し、見開き2頁ずつ解説したもの。第1歌集から辞世までの軌跡を、最もコンパクトに集約した1冊。ご子息の著者でしか分からないことも記されている。あらためて裕子さんの歌をじっくりと鑑賞することができ、こみ上げる時もあった。
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