「かわいい」のちから の商品レビュー
「かわいい」の正体を、実験心理学や、複数の先行研究から解き明かしていき、後半ではその作用を羅列した上で現代社会に「かわいい」がどのような役目を果たせるかを提言している。 こんなに多義的で、ゆるふわな言葉を、丁寧に解き明かしてる研究室、研究者が存在してたとは…!「かわいい」は、企業...
「かわいい」の正体を、実験心理学や、複数の先行研究から解き明かしていき、後半ではその作用を羅列した上で現代社会に「かわいい」がどのような役目を果たせるかを提言している。 こんなに多義的で、ゆるふわな言葉を、丁寧に解き明かしてる研究室、研究者が存在してたとは…!「かわいい」は、企業社会ではただただマーケティングで消費されるだけのキーワードになりかねいので、そこを立ち止まって、言葉の背景を知ることができたのは良かった。科学的にかわいい、を知ることができれば再現性が高まるわけで、光があたらなくても潜在的に、優れてる製品を、人が自発的に感じる感情に乗せて世に送り出す機会も増えるかもしれない。 一貫してかかれてたフレーズとして、「かわいい」は対象を表す属性の説明ではなく、見る側である自分の中に発生する変化であるというのは、なるほど思った。 また、「かわいい」は若いひとのものだけではなくなってくる。高齢化が進む日本で高齢者にとっての「かわいい」を再定義する必要性もあるなと、この本でその課題を認知するきっかけになった。なるほどなぁ。 また、章と章の合間にあるコラムも、さりげなく差し込まれてるけど、心理学の本質的なことを書いてて面白い。社会学領域のわたしは、なかなか心理学のアプローチに不慣れなところがあるので、こういうのは結構好き。
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