ライフ の商品レビュー
2019年本屋大賞第2位となった小野寺さんの『ひと』の主人公は20歳の柏木聖輔。 次作の『まち』にはほんのちょっと「あら、あの柏木くん?!」と思うシーンがある。 そして、『まち』の主人公、江藤瞬一がバイトしていたコンビニでは 『ライフ』の主人公・井川幹太も働いていていた。 さ...
2019年本屋大賞第2位となった小野寺さんの『ひと』の主人公は20歳の柏木聖輔。 次作の『まち』にはほんのちょっと「あら、あの柏木くん?!」と思うシーンがある。 そして、『まち』の主人公、江藤瞬一がバイトしていたコンビニでは 『ライフ』の主人公・井川幹太も働いていていた。 さらには、江藤瞬一と井川幹太は同じアパート「筧ハイツ」に住んでいて… 『まち』には井川幹太がちらりと登場する。 『まち』に登場していたご近所さんは『ライフ』にも登場するが 江藤瞬一の出番はない。 『ひと』『まち』『ライフ』と三作を読んでいくと そのつながりが心地よい。 『ライフ』の主人公は井川幹太、27歳。 会社を2回辞め、コンビニと結婚式の代理出席のバイトで生計を立てている。 大学時代から同じアパートに住む。 大学時代の友人たちが退去後は、ご近所さんとの付き合いはなかったが 真上の部屋に住むちょっと迷惑で面倒な家族との出会いが 幹太の生活、人との関係を変えていく。 作者の小野寺さんは過去のインタビューで 僕は基本的に「人は前向きじゃなきゃいけない」みたいなのがちょっと気持ち悪いと思っています。 何に対してもそれがもとめられがちじゃないですか。 でも僕は「後ろ向きに前に進む」みたいな状況があってもいいんじゃないかと思っています。 「後ろ向きに前に進む」 いつもいつも”前向き”でなくていい。 後ろを向いていたいときだってある。 ”後ろ向き”が必要なときだってあるもの! 小野寺さんの本で既読なのは 『みつばの郵便屋さん』シリーズ3巻、『家族のシナリオ』 そして、『ひと』『まち』『ライフ』の7冊。 今、積読でスタンバイ中の本もある。 楽しみだ。
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荒川沿いに立つ筧ハイツ、コンビニ、図書館、高校もあり、喫茶「羽鳥」いつもの舞台が! 安定の安心感と面白さ、親近感、読んでいて本当に心地良い! 外食先が牛丼屋さんだったり…連作ではないのにどの本を手にしてもどこかで何かが繋がっているみたいな感覚が読んでいて嬉しいし楽しい(^^) 一...
荒川沿いに立つ筧ハイツ、コンビニ、図書館、高校もあり、喫茶「羽鳥」いつもの舞台が! 安定の安心感と面白さ、親近感、読んでいて本当に心地良い! 外食先が牛丼屋さんだったり…連作ではないのにどの本を手にしてもどこかで何かが繋がっているみたいな感覚が読んでいて嬉しいし楽しい(^^) 一瞬癖のありそうな登場人物達も読み進めると皆とても気持ち良く、良い人達ばかり! 人の関係性の距離感がとても良いですね。 すっかり小野寺史宜さんのファンです(^^)
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「ひと」を読んだときにも感じた、食べ物への敬意と他人への思慮深さが表現されている作品だと思いました。 生きるということは、他人と交わりを持つこと。でも億劫。主人公がちょっとしたことをきっかけに他人と会話を交わすようになる様子を、非常に柔らかくでも怖々と、書いているから面白いです...
「ひと」を読んだときにも感じた、食べ物への敬意と他人への思慮深さが表現されている作品だと思いました。 生きるということは、他人と交わりを持つこと。でも億劫。主人公がちょっとしたことをきっかけに他人と会話を交わすようになる様子を、非常に柔らかくでも怖々と、書いているから面白いです。 実際に世の中は、そんないい人ばかりじゃ無い。陰口や噂話を悪意持って(なくても)する輩もいる。いやだなぁ…。荒んだら小野寺さんの本で浄化してもらえそうです(^^)
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小野寺史宜さんの文章はちょうどいいんですよね 遠くもなくかといって近すぎず そんな物語です 本当に誰の身にも起きそうなごくごく普通の日常に誰の身にも起きそうな自分の身にも起きそうなちょっとした事件 そんな中にちょっとした気付きを見出してちょっとだけ人生を前向きに変える 現実...
小野寺史宜さんの文章はちょうどいいんですよね 遠くもなくかといって近すぎず そんな物語です 本当に誰の身にも起きそうなごくごく普通の日常に誰の身にも起きそうな自分の身にも起きそうなちょっとした事件 そんな中にちょっとした気付きを見出してちょっとだけ人生を前向きに変える 現実はそのちょっとが本当に難しいんですが ちょっとを変えるためにちょっとだけ背中を押してくれる物語でした
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バイト先や買い物など、住んでいるアパートからの行動範囲は徒歩十分圏内。バイト先以外で他者と関わることはほとんどない。もちろんアパートの隣人たちとの交流も皆無。日々の暮らしのサイクルもワンパターン。 そんなひとり暮らしを淡々と送っていたアラサーの幹太の、鉄壁とも言えるバリアを次々に壊していったのはある家族との出逢いだった。そこから幹太の生き方や考え方は徐々に塗り替えられていく。 ひとりで生きていることが当たり前に思っていた幹太にとって、カルチャーショックのような出逢い。 静から動へ、幹太の気持ちも自然と突き動かされていく。 そして少しずつ人との縁が繋がって、物事に対する考え方も広くて深いものになっていく。 ひとりで暮らしはいても、ひとりっきりで生きている訳ではない。誰かとの関わりも、面倒な時もあるけれど、とても大事なことなんだ。 人として、大人としての進む方向も徐々に定まっていく幹太。 その出逢いは偶然だったかもしれないけれど、幹太自身の転機となって、いい方向へと導かれて本当に良かった。
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日常を描いた小説で、特別な事件は何も起こらない。 それでも、読ませるのだから、すごい。 サラッと読めるけど、小さな出来事や会話に けっこう深い意味が染み込んでいて、 あっさり風味だけど、出汁にこだわったオデン みたいな小説だった。
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個人的に、幹太が父親の死に色んな角度から向き合った後、父親と同じ公務員を目指したり、澄穂との関係が始まったりするような無理矢理ハッピーエンドにならないところが良かった。
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暮らすような小説だった。 私もアパートに住んでいるので、足音には気をつけようと思った。 知らない人の人生について少し考えた。
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人の感情、心情がとても細やかなので、 深く入りやすい。 でも、読みやすいのでペラペラ進む! 初心者の方にもオススメ。 読み終わる頃には、少し明るい気持ちになってる!
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「ひと」「それ自体が奇跡」に続いて小野寺史宜さん3冊目。 この方の作品で、今のところ一番引き込まれたかも。 虚無感たっぷりの幹太の、少し重く暗い気持ちでスタート…が、ひょんなことから人との関わりが増え、明るい兆しが見えてきたところにこういう展開かぁ、と、予想外の動きに驚いた。 ...
「ひと」「それ自体が奇跡」に続いて小野寺史宜さん3冊目。 この方の作品で、今のところ一番引き込まれたかも。 虚無感たっぷりの幹太の、少し重く暗い気持ちでスタート…が、ひょんなことから人との関わりが増え、明るい兆しが見えてきたところにこういう展開かぁ、と、予想外の動きに驚いた。 それにしてもこの方独特の、え、そこで終わる?!がここでも。 幹太、どうなるの?ここまで引き込まれてたら気になるに決まってるのに、そうなる!?って思ってしまった。 でもこれは先2冊に比べて話に抑揚がはっきりしていて純粋に面白かった。
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