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歴史的に考えるとはどういうことか の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2024/08/12

「歴史に真実など存在しない」中高でわりと良い先生に巡り会えたこと、また大学受験と無縁だったこともあってこの事はある程度認知できていた。しかしそこからもう一歩踏み込んでこそ「歴史を学ぶ」事であるとこの本は気づかせてくれる。 全ての歴史関係の文献には何らかのバイアスがかかっていること...

「歴史に真実など存在しない」中高でわりと良い先生に巡り会えたこと、また大学受験と無縁だったこともあってこの事はある程度認知できていた。しかしそこからもう一歩踏み込んでこそ「歴史を学ぶ」事であるとこの本は気づかせてくれる。 全ての歴史関係の文献には何らかのバイアスがかかっていること、そのバイアスを認識した上で、なぜそのような解釈に至ったかを(なるべく一次資料にあたる事で)考察していくこと、これが歴史を学ぶと言う事である。これができれば少なくとも歴史は「暗記もの」ではなくなる。ただし、個人的にはもっと難しい科目と化す可能性になる気がしてならないが…。 歴史を学ぶことについて各々の研究を例示的に綴った第一部には自分の考え方と大分ズレを感じるものもあった。しかしそれをただ否定するのではなく、なぜそのように考える人がいるのかに想いを巡らせるべきだと言うことを第二部で示してくれる。最初はなぜこのような構成にするのかよくわからなかったが、通読するとその合理性に思わず頷いてしまった。 これだけで「歴史を学ぶ」と言う事は理解できないかもしれないが、「気付き」としてその入り口に立つことは出来ると思う。同時に現在の歴史(歴史学ではない)がいかにイデオロギーや世論・メディアの「おもちゃ」になってしまっているかもわかるだろう。

Posted byブクログ

2022/08/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

「歴史的に考えるとはどういうことか」、歴史教育に関わる中で、今一度その考えを学ぶためにこの本を手に取ってみた。「歴史的に考える」とはどういうことなのか、そもそも歴史とは何なのか、そうした素朴な疑問を学ぶのには良い本だと思われる。大前提としてそもそも歴史とは、歴史家や史料の編纂者によって「構築」されるものである。そこには様々なレンズを通してみた事実が並べられており、書き手の意図や考え、育った背景が多分に影響されている。そうした事実を踏まえることがまずは必要になる。  では「歴史的に考える」とは結局どういうことなのか。まずは教科書や資料に対して、疑問を持つことが必要になる。それこそが「歴史的に考える」ことの萌芽となる。決まりきった正答を求めるのではなく、自分なりに考え、批判・反論し意見を持っていくということがそこにはある。他者の意見に触れ、また批判されることで、自分自身の考えがさらに深まり、より相対化して物事を考えることができるようになるのである。往々にして、それを阻害するのは学校の授業や「正答主義」である。そうした点があることを認識し、議論、また生徒の多様な意見を受け入れていくことが、学校教育における本当の歴史の姿なのかもしれない。  最後になるが、カーは「過去が未来に光を投げ、未来が過去に光を投げる」という言葉を残している。歴史は過去との対話だけでなく、未来との対話でもあるというのである。未来の土台となる現在は過去のつながりにおいて構築されている。そのため我々がどのような未来を想像するか、どのような世界を生き抜いていきたいのか、そう考え続けることで、過去を未来のより良い光が照らしてくれるのだろう。

Posted byブクログ

2020/02/10

一般教養で歴史をとったくらいで、趣味として何かをテーマにした歴史が好きな立場として、硬すぎず、気づきも多かった。 史料の読み方は興味深い。新書としても通用しそうな平易さ。史学科を目指したい高校生にはいいと思う。

Posted byブクログ

2019/07/11

歴史って単なる事実ではなく、事実を物語ったものだ。事実の何が選択され、どんな背景のもと誰がどこを向いて語ったのかで、その事実に対する評価は変わるものだ。 事実を確認するのは、英語でいえば単語を覚えることにすぎない。当然のことながら、英語は単語を覚えるだけでのものではない。歴史も同...

歴史って単なる事実ではなく、事実を物語ったものだ。事実の何が選択され、どんな背景のもと誰がどこを向いて語ったのかで、その事実に対する評価は変わるものだ。 事実を確認するのは、英語でいえば単語を覚えることにすぎない。当然のことながら、英語は単語を覚えるだけでのものではない。歴史も同じだ。法則性を見失った「歴史」を科学たらしめる枠組はあるのか? それを探求するのが、これからの歴史学の役割なのかな。

Posted byブクログ