不良少年とキリスト の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
太宰さんはフツナヨイ的に亡くなったんだ。常識人だったんだなあ、ああ、文豪って辛いな。坂口安吾さんという理解者がいながら、亡くなったんだ。太宰さんの苦しみ、理解してる人いるの、知ってたら心中しなかったのかな、それとも、亡くなってから思い出して書いてるんだろうか。 「つまり、彼らは、舞台の上のM・Cになりきる強靭さが欠けていて、その弱さを現世的におぎなうようになったのだろうと思う。結局は、それが、彼らを、死に追いやった。」 「虚無というものは、思想ではないのである。人間そのものに附属した生理的な精神内容で、思想というものは、もっとバカな、オッチョコチョイなものだ。キリストは、思想ではなく、人間そのものである。」 「もとより、太宰は、人間に失格しては、いない。フツカヨイに赤面逆上するだけでも、赤面逆上しないヤツバラよりも、どれくらい、マットウに、人間的であったか、知れぬ。」 「太宰のような人間通、いろいろ知りぬいた人間でも、こんな俗なことを思いあやまる。ムリはないよ。酒は、魔術なのだから。俗でも、浅薄でも、敵が魔術だから、知っていても、人智は及ばぬ。ローレライです。」 「情死だなんて、大ウソだよ。」 「太宰という男は、親兄弟、家庭というものに、いためつけられた妙チキリンな不良少年であった。」 「六十になっても、人間なんて、不良少年、それだけのことじゃないか。」 「人間は生きることが、全部である。死ねば、なくなる。名声だの、芸術は長し、バカバカしい。私はユーレイはキライだよ。(私はユーレイは好き。)死んでも、生きてるなんて、そんなユーレイはキライだよ。」 「生きることだけが、大事である、ということ。たったこれだけのことが、わかっていない。本当は、分るとか、分らんという問題じゃない。生きるか、死ぬか、二つしか、ありやせぬ。おまけに、死ぬ方は、ただなくなるだけで、何もないだけのことじゃないか。(私はあると思う記憶)生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。いつでも、死ねる。そんな、つまらんことをやるな。いつでも出来ることなんか、やるもんじゃないよ。」 「然し、生きていると、疲れるね。かく言う私も、時に、無に帰そうと思う時が、あるですよ。戦いぬく、言うは易く、疲れるね。然し、度胸は、きめている。是が非でも、生きる時間を、生きぬくよ。そして、戦うよ。決して、負けぬ。負けぬとは、戦う、ということです。それ以外に、勝負など、ありやせぬ。戦っていれば、負けないのです。決して、勝てないのです。人間は、決して、勝ちません。ただ、負けないのだ。」
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太宰は、そういう、あたりまえの人間だ。(本文より)まさかそんなセリフがまさか聞けるとは思わなかった。太宰は世間とは大きくかけ離れた人物だと現代では言われることが多いが本文では彼もまた常識的な人間であったと書かれていた。ただその自認を履き違え、いつまでも不良少年として生きていた。そ...
太宰は、そういう、あたりまえの人間だ。(本文より)まさかそんなセリフがまさか聞けるとは思わなかった。太宰は世間とは大きくかけ離れた人物だと現代では言われることが多いが本文では彼もまた常識的な人間であったと書かれていた。ただその自認を履き違え、いつまでも不良少年として生きていた。そのどこ可愛げのある不器用さこそ私の感じていた太宰像に若干当てはまるところがあった。太宰治という一人の人間を彼の友人が紐解いて私たちに教えてくれる一冊。
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この文体でナチュラルに面白いって思ったの初めてかもしれない 太宰ももっと読みたくなった 「死ぬのなんていつでもできる」
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2025/11/27 p.214 「今に、治るだろうと思います」 この若い医者は、完璧な言葉を用いる。今に、治るだろうと思います、か。医学は主観的認識の問題であるか、薬物の客観的効果の問題であるか。ともかく、こっちは、歯が痛いのだよ。 原子バクダンで百万人一瞬にたたきつぶした...
2025/11/27 p.214 「今に、治るだろうと思います」 この若い医者は、完璧な言葉を用いる。今に、治るだろうと思います、か。医学は主観的認識の問題であるか、薬物の客観的効果の問題であるか。ともかく、こっちは、歯が痛いのだよ。 原子バクダンで百万人一瞬にたたきつぶしたって、たった一人の歯の痛みがとまらなきゃ、なにが文明だい。バカヤロー。 女房がズルフォン剤のガラスビンを縦に立てようとして、ガチャリと倒す。音響が、とびあがるほど、ひびくのである。 「コラ、バカ者!」 「このガラスビンは立てることができるのよ」 先方は、曲芸をたのしんでいるのである。 「オマエサンは、バカだから、キライだよ」 女房の血相が変る。怒り、骨髄に徹したのである。こっちは痛み骨髄に徹している。 グサリと短刀を頬へつきさす。エイとえぐる。頭のシンも、電気のようにヒリヒリする。 クビをくくれ。悪魔を亡ぼせ。退治せよ。すすめ。まけるな。戦え。 かの三文文士は、歯痛によって、ついに、クビをくくって死せり。決死の血相、ものすごし。闘志十分なりき。偉大。 ほめて、くれねえだろうな。誰も。
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表題作だけ。 弔辞だね、これは。 しょーもないなーと思ってた友達だけど、死んでほしくなかったんだね。 ばかだな、ほんとに、ばかな真似しやがって、ついうっかりやっちまったんだとわかってるけどさ、でもな。 みたいな根底の気持ちが伝わってくる。 「戦争は学問ではない。」
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近代文学でこんなに笑って泣きそうになったのは初めてです。時にいじり時にかばい…坂口さんは太宰さんを本当に大切に想ってたんですね。 生きることは戦う事…。友人を幾人か自死で亡くした坂口さんの信念だからこそ響くものがあります。
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死ぬ、とか、自殺、とか、から始まる部分の見開きをとても好きでいて、ここを何度か読み返すことがあるけれど、涙目になってしまう時は少し弱っているし、この頁を凡庸に読める時は健康だなと思う、ただ、どのときも、すき
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いわゆる「文豪」というのがあらゆる方向にセンシティブな人が多かった時代、坂口安吾という人はかなり完全な人だったのではないでしょうか。 本書の中の評論系は時代が時代なので共感できるものもそうでないものもありましたが、「恋愛論」「不良少年とキリスト」はすごく良かったです。つらつらと述...
いわゆる「文豪」というのがあらゆる方向にセンシティブな人が多かった時代、坂口安吾という人はかなり完全な人だったのではないでしょうか。 本書の中の評論系は時代が時代なので共感できるものもそうでないものもありましたが、「恋愛論」「不良少年とキリスト」はすごく良かったです。つらつらと述べながらその中で胸に刺さる言葉を書き出すのが上手いですね。読んでいて楽しい。個人的には内容よりもそういう文章の運びにグッと来ました。何回か読み返すかも。
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坂口安吾の文章は初めて読んだ。名文過ぎる。 本当すごいなぁ。すごく伝わる。 太宰治が確かにあの時代に生きていたっていう感触が伝わってきた
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坂口安吾めちゃくちゃ良い、、! 「自殺とあっては、翌朝、目がさめないから、ダメである。」 はっとさせられる部分もあり、笑える部分もあり。 坂口さんはウィットに富んだ人だなー。
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