妻の死 加賀乙彦自選短編小説集 の商品レビュー
長編の多い加賀乙彦氏の自洗短編小説集です。「妻の死」、2019.6発行。最期の旅、遭難、雨の庭、熊、妻の死など12の短編小説が収録されています。いくつかはエッセイのようにも感じます。津村節子さんとの対話集「愛する伴侶(ひと)を失って」(2013.6)に続いて読みました。
Posted by
大好きで何度も読み返す幻想アンソロジー『きのこ文学名作選』で知った加賀乙彦。「くさびら譚」をまた読んだがやはりいい。主人公の私と、きのこに傾倒する飄々とした恩師との不思議な交流。秘密の花園のような研究所に群生する極彩色のきのこ。「人間のすることでマジメなことは、眠ること、喰うこと...
大好きで何度も読み返す幻想アンソロジー『きのこ文学名作選』で知った加賀乙彦。「くさびら譚」をまた読んだがやはりいい。主人公の私と、きのこに傾倒する飄々とした恩師との不思議な交流。秘密の花園のような研究所に群生する極彩色のきのこ。「人間のすることでマジメなことは、眠ること、喰うこと、排泄すること、性交すること、キノコを愛すること」。医師でもある著者にとって死や病は抗えない営みで、感傷に走ることなく怜悧な眼差しで泰然と死を見据えるが、主を失った旧居の風化を描くときに覗く死への恐れ、それはまさしく生への執着か。
Posted by
- 1