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21世紀×アメリカ小説×翻訳演習 の商品レビュー

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2019/11/06

この手の演習、ほんと好きです。 この本の課題くらいの量だと全然疲れなくて、ただ楽しいばかり。 難易度は、柴田元幸さんの「翻訳教室」と比べると、やや易しいかな?という印象だったけど、すべて2010年代に書かれた作品、ということで鮮度がすごく高く、ヘンテコな話が多くておもしろかった...

この手の演習、ほんと好きです。 この本の課題くらいの量だと全然疲れなくて、ただ楽しいばかり。 難易度は、柴田元幸さんの「翻訳教室」と比べると、やや易しいかな?という印象だったけど、すべて2010年代に書かれた作品、ということで鮮度がすごく高く、ヘンテコな話が多くておもしろかった。 各課題の最後には、その小説の登場の背景や、それに関する著者の所感みたいなものが述べられていて、翻訳技術だけじゃなくて、小説を通して今の世相を読み解いているようなところもあり、なんだか全体的にライブ感があって良いです。 小説って他の娯楽と比べると、地味というか、古臭いメディアっていうイメージがあるけれど、私が思っているよりはるかに敏感に時代を映し出していのかもしれないなぁ、とこの本の解説を読んで思った。 今の時代は、とにかくあらゆることが劇的にパラダイムシフトさせられていて、全世界的にみんなで混乱している印象があるけれど、その「困惑」が小説にも表れているんだなぁ、と。 私自身の読書量が多くないせいか、そういう風に小説全体のトレンドを感じることは今までなかったけれど。 一番最後の「岩本正恵さんとの、後からの対話」は演習後のご褒美的な読み物。 著者の文学に対するあふれる愛を感じてしまった。 書いている途中で対話のことをすっかり忘れて、文学への熱い思いを気が向くままにつづっている感じ。おもしろかったです。

Posted byブクログ