想像力を拓く教育社会学 の商品レビュー
教育社会学を学ぶ学生を主な対象とした本だ。 だが、そうでない私も、読んでみて良かった。 教育において知っておくべきテーマが網羅的に押さえられた良い入門書といえる。 少しずつ読み進め、やや時間はかかった読了した。 理論の説明や社会学の手法、方法論から入り、決してとっつきやすくはな...
教育社会学を学ぶ学生を主な対象とした本だ。 だが、そうでない私も、読んでみて良かった。 教育において知っておくべきテーマが網羅的に押さえられた良い入門書といえる。 少しずつ読み進め、やや時間はかかった読了した。 理論の説明や社会学の手法、方法論から入り、決してとっつきやすくはない。だが、様々な教育社会学の研究の成果がまとめられながら、論が進んでいくので、そのテーマを今後考える際の良い見取り図を得ることができる。 10人の研究者が分担して執筆し、家庭教育、幼児教育、学校制度、カリキュラム、教育改革と学力、いじめ、青年期、大学教育、キャリア教育、ジェンダー、グローバリゼーションと広く知れる。 これらの論考に一貫しているのは、学校における現象(そのようになっていることや起きている事態)を社会的な背景から捉え直していく視点である。中でも、家庭やその時代の経済的な状況は重視されている。 また、そのような「教育社会学的」な視点を、読み進める中でインストールするべく各章が展開されているように感じた。 そのように考えると、「想像力を拓く」というやや大きすぎるようなタイトルにも納得がいく。幅広いテーマにおける、事象の背景を考えるように読書を誘うべく組まれている本である。 1つ注文をつけるとしたら、引用参考文献が全て最後にまとめてあり、五十音順でなく、アルファベッド順である。少しだけ探すのに難儀した。 教育を広い視点から考えたいと思う人には、ぜひ読んでおくとよい一冊である。
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