暁の新月 ザ・グレート・ゲームの狭間で の商品レビュー
19世紀、英露間で中央アジアを巡って争った「ザ・グレート・ゲーム」を題材とした時代小説。当時の中央アジアを描いた作品は希少で、日本語では同作者の『疾駆する白象』くらいか。 高いリサーチ力とそれを元にした作品の構成は見事。しかし、小説として見ると癖のある台詞回しや表現に少し読み...
19世紀、英露間で中央アジアを巡って争った「ザ・グレート・ゲーム」を題材とした時代小説。当時の中央アジアを描いた作品は希少で、日本語では同作者の『疾駆する白象』くらいか。 高いリサーチ力とそれを元にした作品の構成は見事。しかし、小説として見ると癖のある台詞回しや表現に少し読みづらさを感じる。良くも悪くも「時代小説らしさ」が全面に押し出されている印象を受けた。 台詞回しの癖は作者がシェイクスピア研究者なことに由来するのかもしれない。訛りやどもりをリアリティと取るか、喉につっかえる小骨と取るかは読者次第だ。 単行本770ページという重さに見合う内容ではあるが、読みづらさを助長しているとも言える。文庫で分冊が出たら人におすすめしたい。 作品として十分に楽しめたかは正直に言って微妙なところだが、参考文献リストと地図、補足説明が充実しているため、足がかりとして重宝した。
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