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新聞の運命 の商品レビュー

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2024/07/31

新聞の運命 事実と実情の記事 著:山本 七平 おもしろかった。本書を読み終えてまず思ったことは、これは、山本氏の滅びゆく新聞への惜別の書なのではないかとおもいました 読者を増やし、部数をふやすことを運命づけられた新聞は、その八方美人な性格が故に衰退がはじまっても成すすべきこと...

新聞の運命 事実と実情の記事 著:山本 七平 おもしろかった。本書を読み終えてまず思ったことは、これは、山本氏の滅びゆく新聞への惜別の書なのではないかとおもいました 読者を増やし、部数をふやすことを運命づけられた新聞は、その八方美人な性格が故に衰退がはじまっても成すすべきことがない 気になったのは以下です。 冒頭に、新聞とは不思議な存在であり、ある意味では、きわめて気の毒な存在といえる。というのは、個人であれ機関であれ、時と場合によっては沈黙のうちに過ごしたい一時期があって不思議ではない。しかし、新聞はそれが許されないとある。 そして、すぐに消える演説や放送と違って、印刷物という「厳然たる文書」として半永久的に残り、時には永久に残る。とある 記事であれば新鮮なのに、社説になると同じ内容にも関わらず、読むのが苦痛になってしまう いくつかの例をとって、新聞とはいかに優柔不断で曖昧な表現を強いて用いているかを畳みかける。  田中角栄後の三木退陣要求  ロッキード事件   正義の味方は、悪。サタンとは旧約聖書でいう地上の人間に神の義と権利を尊重させる役目をもつ検事といっている。逆に正義は汚れた下穿きといっている。天声人語の番人は、正義を振りかざしていたわけではない いくら読んでもわからない、読者が判断を下せない記事  スト権ストと奇妙な報道に、新聞が守り通した、3ズ主義  ①労組を怒らさズ  ②通勤者を怒らさズ  ③政府を怒らさズ  新聞読者は、なにが書いているのかよくわからなくないる 新聞報道とは一体なになのか  新聞とは、事実ではなく「実態」を明示するのが任務 新聞はしばしば「日本的健忘症」に便乗していると批判されるが、これをたどると新聞人こそ最重態の健忘症で、自分が報道していることをけろりと忘れているのだとしか思えない 三里塚 虚構の報道、土地売却はすでにおわっているのに、何を争点として報道をつづけているのか 表と裏 新聞が個人の基本的人権を守るという言葉は、軍人は国民の生命財産を守るというのと同様、非常に危険な一面を持つ諸刃の剣である。 しかも、それは、善意からでている。善意であればあるほど、善意の加害者としての新聞が際立っていく 取材力の信憑性 専門家を育成するには、15年かかるという 新聞が問題を解決することは現代では無理と断言している テレビが台頭してきて、活字はどうなってしまうのか 印刷と電波は競争にならないといっている 最後に新聞しかできないこと、という章があるが、現在の新聞はまことに論争能力がない、とある 活字による映像誇示合戦を繰り広げている、新聞に対して、感性的判断に訴える点では、映像的伝達に、新聞は及ばないと切り捨てる おこった出来事に対して、正確に論述し、その論述が正しいことを論証しつくして将来を予見することが、新聞にしかできないことといっている。 そして、新聞にそれができるかできないかは、一に編集者の問題である、と筆をおく  目次 序章 沈黙が許されない新聞 第1章 正義の体質  社説を読む苦痛  新聞の「角栄的体質」  単純な正義感と「安物の論理」はもうたくさん 第2章 透けて見える問題な日本的発想  「風派」新聞ととられても  三ズ主義的報道  報道史的視点の欠如 第3章 オモテとウラ  言葉で殺された人  新聞の限界  宣伝戦を見抜く目  全国紙と地方紙 第4章 テレビ化の波  「実情」ではなく「事実」の報道を  新しい伝達方式  新聞はもう「情報」たり得ない 終章 活字文化の生き残り策 ISBN:9784865811988 出版社:さくら舎 判型:4-6 ページ数:256ページ 定価:1600円(本体) 2019年05月12日第1刷発行

Posted byブクログ

2019/05/23

「活字の映像化」と「資料による論証」。新聞がそのどちらに舵を取るのか。 この本で語られているのは1970年代のものだが、2019年の今こそ読まれるべき論考が述べられている。 まあ流石に古いけど。

Posted byブクログ