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繍えども繍えども の商品レビュー

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2021/12/02

京都府伝統産業優秀技術者、京繍伝統工芸士の人の本。分類するなら作品写真集が近いのかな、どのような折に作られたのかとか図案の説明とか少し詞書。巻末の4章では天寿国繍帳の修復の話をしていた。残闕からどのように元の姿の復元を試みたのかの手順の話とか。鎌倉時代の修復部分より飛鳥時代のオリ...

京都府伝統産業優秀技術者、京繍伝統工芸士の人の本。分類するなら作品写真集が近いのかな、どのような折に作られたのかとか図案の説明とか少し詞書。巻末の4章では天寿国繍帳の修復の話をしていた。残闕からどのように元の姿の復元を試みたのかの手順の話とか。鎌倉時代の修復部分より飛鳥時代のオリジナル部分のほうが状態がいいというのが興味深かった。 753

Posted byブクログ

2020/02/16

2019年刊行。近所の図書館には、新刊を面陳列したコーナーがある。毎週通うたびに新しい本が並んでおり、そこを覗くのが楽しみになっている。そのコーナーで本書を見つけた。パラパラとめくっていると、七五三の祝い着に目が留まる。淡いピンクとブルーの配色がとても可愛らしい。妻にも見てもらい...

2019年刊行。近所の図書館には、新刊を面陳列したコーナーがある。毎週通うたびに新しい本が並んでおり、そこを覗くのが楽しみになっている。そのコーナーで本書を見つけた。パラパラとめくっていると、七五三の祝い着に目が留まる。淡いピンクとブルーの配色がとても可愛らしい。妻にも見てもらいたいと思って、借りた。本の著者(といっても、ライターさんが本人へのインタビューを基に構成した本なので、著者ではない)の作品ではなくて、ご夫人の作品であった。著者の作品は、もっと配色がぱっきりとしている印象を受ける。特に娘さんの婚礼衣装として作成した「波に麒麟」は、モダンでかっこいい。 本書で紹介されている日本における刺繍の変遷が興味深かった。日本の刺繍は、「繍仏」から始まったそうだ。仏教とともに日本に伝わり、仏画を刺繍で表し、仏像と対に拝まれていた。平安時代になると十二単など宮中の装飾に刺繍が施されるようになり、一挙に増えたのが鎌倉時代。武士の装束などに刺繍がなされたのだという。やがて、室町時代の能衣装、安土桃山時代から江戸時代へと続く小袖と、服飾の分野で刺繍が多用されるようになったそうだ。それが、江戸時代後期、奢侈禁止令(しゃしきんしれい)で贅沢品であると刺繍が控えられるようになり、友禅、摺り型染めなどを取り入れた着物へと時代の流れが推移してきたとのこと。 刺繍は、絵や写真のような細かな描写はできないけれど、立体感がもたらす独特の可愛らしさがあると思う。そして、これは昔懐かしいゲームのドット絵であり、受け入れやすいことに個人的に納得がいく。 最後に、ご本人による巻頭言の後に、彬子女王という方の紹介文が掲載されている。てっきり、そういうペンネームのライターさんなのかと思って読み過ごし、後で調べてみると皇族の方だと知る。大正天皇の第4皇男子の第一男子の長女、ふむ。

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