昭和史の急所 の商品レビュー
過去の筆者の言をテーマに沿って並べ替えた内容には、読み始めは少し違和感を感じた。確かに大きなテーマとしては拾い集めた数行の文は合致するのだが、前後の文章が流れを持って編み込まれて行く感が無いため、何か短編の詩を読んでる如く一気に読み進められない。 所が読み進めるうちに、前章の内容...
過去の筆者の言をテーマに沿って並べ替えた内容には、読み始めは少し違和感を感じた。確かに大きなテーマとしては拾い集めた数行の文は合致するのだが、前後の文章が流れを持って編み込まれて行く感が無いため、何か短編の詩を読んでる如く一気に読み進められない。 所が読み進めるうちに、前章の内容が後続の章に見事に繋がり、最終章辺りでは一冊の戦記物を読んだ様な感覚に陥っている。編集の凄さを感じた。 話はタイトル通り「昭和の急所」(始めはタイトルと内容についての意味を理解できなかった)について、過去の著書を引用してくるのだが、そこには著者が多大な労力をかけて集めた生の声も多く登場する。そこには嘘偽りない戦争・軍部に対する批判や誤ちを指摘するものも見受けられる。 中にはかなりの書籍を読んできた私でも初耳なもの、認識を変えるような物もある。 私がこうした歴史に触れる場合、それを鵜呑みにしない事、発言や記録の背景を読み取る事に十分注意する事を心がける。戦中の音声や日記ならある程度は個人の意見として真実に近いだろうが、必ずしも日本人として真実だけを残しているとも思えない。日記も誰かに見られる事を意識して書けば本音が隠される。戦後に繰り広げられる故人への批判もそうだ。生きていたら正面から言えるのか。 戦争に至るまでには、現場を知らないエリート層の考え、忖度にかこつけた自論の押し通し、中には自己の利益追求、単なる市民としての人間が抱える恐怖、民衆への迎合、数え挙げたらキリが無い程の想い・思惑が入り乱れる中で「事」は進んでいく。それらが混ざり合って渾沌とした世界、加えて、時間の経過により薄れる記憶、自己都合で変えられる記憶、正当化する発言もそこに加われば、真実などは分厚い皮に何重にも囲まれている様なものだ。真因は見つからない。 だがそれこそが歴史、歴史は自分で考えるものだという考えに至る。 本書には参考になる声がたくさん含まれている。後半に描かれる昭和・平成の天皇のお姿に触れる事で読み終わりは清々しい気持ちにもなれる。 最後まで読んで欲しい。
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これまでの著作から昭和史に関する重要部分の引用集だが、歴史学者とは違いノンフィクションライターならではの取材に基づくこれまで知らなかったような小ネタが多々あったり、通説を覆すような証言があったり等参考になる。かなり膨大な著作から引用しているので著者の入門書としてその思想信条を確認...
これまでの著作から昭和史に関する重要部分の引用集だが、歴史学者とは違いノンフィクションライターならではの取材に基づくこれまで知らなかったような小ネタが多々あったり、通説を覆すような証言があったり等参考になる。かなり膨大な著作から引用しているので著者の入門書としてその思想信条を確認する上でも有益。やはり石原莞爾は傑出した存在であったことを再認識。また石原と敵対した東条英機に対しても不当に悪者にされているとやや同情的な印象も受けた。
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著者がこれまでに発表してきた作品から、昭和史に関する部分を抽出して、テーマ別に再編集したもの。 それぞれに「なるほど」と思わせるものだけど、あまりに断片的すぎないかな。これだと誤解されて認識しちゃう読者も多いのでは。それって出版目的に反する結果になるんじゃないかな。
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200620 昭和史の急所 保阪正康 ダメな組織はダメなリーダーによる ①リアリティの喪失 現実・現場を見ない ②Dataの改ざん Storyで嘘 無謬性 ③言論統制 ⇒ 「ファシズム」へ 自己絶対化 ミス・失敗を受け入れない
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文字通り、昭和史について、著者の過去の著書や対談などから印象的な個所を抜粋したもの。 面白かったけど、やや散漫な印象が。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めて気づいたが、書き下ろしではなかった(あとがきのみ新規に書かれている)。昭和史にかかわる重要な視点を全7章にわけ。保阪氏の過去著作から章に合った記述を抜き出して並べている。歴史的事実以上に、保阪氏の歴史を見つめる思いを読む書、いわば保阪史観のつまみ食いである。昭和史は学ぶべき点のおおい分野であるが、それを見つめる保阪史観からもまた、学ぶことは多い。
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