デジタル・プラットフォーム解体新書 の商品レビュー
▪️サービス化 "As a service"と呼ばれるビジネスモデルでは、メーカーが機器をアセットとして保有し、ユーザーに貸し出す。ユーザーは初期投資を削減できる。メーカーは機器の所有権を保有しているため、ソフトウェアのアップデートや機器からの情報収集を容易に...
▪️サービス化 "As a service"と呼ばれるビジネスモデルでは、メーカーが機器をアセットとして保有し、ユーザーに貸し出す。ユーザーは初期投資を削減できる。メーカーは機器の所有権を保有しているため、ソフトウェアのアップデートや機器からの情報収集を容易に行える。一例として、KUKAは"Robot as a serviceというビジネスモデルを採用している。 GEは、aviation事業とエネルギー事業において、機器を提供するメーカーと機器を運用する企業という従来の取引関係を超えて、事業領域を運用企業側の保守・運用に広げた。ほかに下位の機器メーカーであったBoschは、最終製品メーカーを越えてエンドユーザーにサービスを提供するようになった。『アフターデジタル』で、顧客接点を持たないメーカーはサービス提供企業の下請けになってしまうと述べられていたことに対する、一つの答えかもしれない。 コマツはサービス化を行いながらも、メーカーとしてのアイデンティティを変えていない。従来からの製品である建機のコア技術(キーコンポーネント技術)を中心に据えている。 ▪️プラットフォーム化 プラットフォームを構築し、それぞれの得意分野に応じた外部リソースをプラットフォームに提供してもらう(アウトサイド・インによるオープン・イノベーション)。これにより、多様なサービスの提供が可能になり、範囲の経済を達成することができる。加えて、魅力的なプラットフォームを形成すれば、ユーザーが増えて、規模の経済を達成することができる。 両面プラットフォームモデルにより両面市場 (two-sided market) を構築することのメリットは、多様な顧客ニーズに応えられること、新たな収益機会が創出されること、取引に関するデータを入手できることである。ただし、B2B分野で可能であるのかは検証が必要である。例えばコマツは、建機などのデバイス提供者、そのユーザー、ユーザーにサービスを提供する企業などを結び付ける両面プラットフォームモデルを構築した。ほかに、Siemensの産業用オープンIoT基盤「MindSphere」やGEの産業用オープンIoT基盤「Predix」が両面プラットフォームモデルの例である。 ▪️知財戦略 自社のコア領域だけでなく、開発支援、導入補助、運用保守などの周辺領域や、コア領域を含めたアーキテクチャを特許化することが重要である。この考え方は参考にしたい。
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