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栄花物語 の商品レビュー

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2022/12/25

江戸時代の疲弊した状況を打破するために奮闘した田沼意次の断固とした経済改革と挫折を背景としながらも物語の筋は信二郎、保之助、そしてその子を、中心に展開していく。3人3様の生き方はそれぞれの目線では正義ではある。自分の気持ち、特に精神に忠実に生きたい信二郎の、人気小説を自ら絶版にす...

江戸時代の疲弊した状況を打破するために奮闘した田沼意次の断固とした経済改革と挫折を背景としながらも物語の筋は信二郎、保之助、そしてその子を、中心に展開していく。3人3様の生き方はそれぞれの目線では正義ではある。自分の気持ち、特に精神に忠実に生きたい信二郎の、人気小説を自ら絶版にするなど、物理的な保身ならあり得ない行動の気高さ。その子の、女性の性に忠実に行動するあまり周りの人々を翻弄する魔性の人。そして、周りに翻弄されながらこちらも身を滅ぼす保之助。保之助の生き方が1番人間らしく感じる。 終盤の、ぺージが少なくなる中の展開に焦燥感を感じる。そして最後の2ページで、こんな形で終わるのかという鮮やかな、余韻の残る締めくくり。 氏の他の作品を読みたくなりました。 以下、とても印象に残る、記しておきたいフレーズです。中々言えない、むき出しの人間感情です。 ・主従とか夫婦友達という関係は生きるための方便か単純な習慣に過ぎず、それは目に見えない絆となって人間を縛る。そして多くの人間がその絆を重大と考えるあまり自ら縛られていることに気が付かず本当は好ましくない生活にもいやいや引きずられて行んだ。 ・人と人の繋がりは結局そのくらいが限度で、あとは習慣と惰性なんだ。 ・献身とか奉公とか言うがそれはそのことが自分を満足させるからそれらに喜びを感じる。それは男女の感情も同じで、自分にとって満足であるから愛する。人間は常に自己中心的で、愛される人は単にその人の対象に過ぎない。 ・愛する人との変わらぬ愛とは、毎日鰻の蒲焼きを食べ続けるようなものさ。

Posted byブクログ

2019/07/21

老中田沼意次の暗殺を命じられた青山信二郎と河井保之助。幕府の権力争いに巻き込まれ、運命を狂わせられる親友の2人。正直に生きるとは、なんと難しいことでしょう。人間の悲しさと愛しさがふんだんに描かれます。

Posted byブクログ