僕という容れ物 の商品レビュー
ハーフとしてのバックグラウンド、薬物、人間関係など様々な苦悩や葛藤に悩まされ生きることに悩まされているのがとても印象的だった。
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一言で言って、とてもエネルギーの感じられる純文学小説でした。 生きることに苦しむ若い男の一人称小説。 出口を求めて当て所なく彷徨う男の姿は、見ているだけで痛々しい。 胸が締め付けられるほどです。 中盤に信頼できる友と出会い、終盤には女性と恋が芽生えます。 男の魂は救われるのでしょ...
一言で言って、とてもエネルギーの感じられる純文学小説でした。 生きることに苦しむ若い男の一人称小説。 出口を求めて当て所なく彷徨う男の姿は、見ているだけで痛々しい。 胸が締め付けられるほどです。 中盤に信頼できる友と出会い、終盤には女性と恋が芽生えます。 男の魂は救われるのでしょうか。 結末は言わないでおきますが、最後の1行、24文字には救われた気がしました。 作者はラッパーです。 「SIMI LAB」という横浜を拠点に活動するヒップホップユニットに所属していました。 私はたまたま音楽配信アプリ「Spotify」でこのユニットと出合い、その音楽性の高さにすっかり魅了されました。 「Uncommon」は、ここ数カ月で一番聴き込んだ楽曲です。 そのSIMI LABの「DyyPRIDE」というラッパーこそ、何を隠そう本書の著者である檀廬影なんですね。 彼の歌を聴いて、ほかのラッパーとは全然違うと思いました。 言葉の選択、韻の踏み方、そしてフロウ(少しスヌープ・ドッグに似ています)。 その彼が小説を書き、しかも文藝賞の最終候補に残ったというのですから、放っておくわけにはいきません。 早速、アマゾンで取り寄せて読んだ次第です。 難を言うと、誤字脱字と段落の初めが1マス空いてないなど、校正ミスがいくつかありました。 ちょっと興趣を殺がれます。 ちなみに文藝賞で本作は選に漏れ、代わりに若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」が受賞しました。 相手が悪かっただけ。 「おらおら―」がなければ、恐らく本作が受賞していたのではあるまいか。 次作ももちろん読みますとも。
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