転換期の大正 の商品レビュー
大正時代を扱った通史の概説書。 初出は1969年なので、50年以上前に書かれた本だ。 著者の岡義武先生といえば、岩波新書から『山県有朋』を出している。 安倍晋三元首相の葬儀での弔辞で、菅元首相が言及した本だ。 また岩波文庫からでている『近代日本の政治家』は、学生時代に面白く読ん...
大正時代を扱った通史の概説書。 初出は1969年なので、50年以上前に書かれた本だ。 著者の岡義武先生といえば、岩波新書から『山県有朋』を出している。 安倍晋三元首相の葬儀での弔辞で、菅元首相が言及した本だ。 また岩波文庫からでている『近代日本の政治家』は、学生時代に面白く読んだ記憶がある。 本書は、政治・外交から経済・社会まで幅広い視点から転換の時代としての大正時代を描いている。 特に印象に残ったのは、政党政治に対する国民世論の不信感と、吉野作造らによる政党政治への評価。 特に吉野作造が第二次憲政擁護運動を評価していなかったのが、今まで勉強してきた歴史とかなり食い違った印象を受けた。 本の最後に、選挙で護憲三派が勝利した後で書かれたある新聞の一説が引用されているが、その内容が令和の現代の政治に対する国民の評価とかなり似通っているように思った。 日本国憲法では、国民主権であることを政治の実際に反映するために議院内閣制を制度的に保証している。 がしかし、普通選挙の結果により多数派となった政党が、真に国民の意思を反映したり、国民の利福更生をかなえるような政治を行なっているとは全く思えない。 民主主義は、独裁よりはマシであるが、ベストな体制だとも思えない。 現代の政治についても考えさせられる本でした。 あと、注が充実している点がよかった。読み応えがあるので、注だからといってとばさない方が良い。
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恥ずかしながら読む前は関東大震災と普選のイメージしかなかったが、この本を読んでそこそこ視野が広がったように感じる。
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1914年の第2次大隈重信内閣から24年の加藤高明内閣まで。いわゆる大正デモクラシー真っただ中のはずなのに、叙述が全体として暗いのは、政党政治への不信感を伝える資料が全体に張り巡らされているからだろう。 ちなみに、本書はもともと東京大学出版会「日本近代史体系」全8巻の1冊で、こ...
1914年の第2次大隈重信内閣から24年の加藤高明内閣まで。いわゆる大正デモクラシー真っただ中のはずなのに、叙述が全体として暗いのは、政党政治への不信感を伝える資料が全体に張り巡らされているからだろう。 ちなみに、本書はもともと東京大学出版会「日本近代史体系」全8巻の1冊で、このシリーズで他に刊行されたのは、石田雄『破局と平和』だけとのこと。大学紛争の時期と重なっているとはいえ、何とも貴族的な話だなぁと、逆に感心してしまった。
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第1章 第一次世界戦争の勃発(「民衆政治家」の復活;参戦と「二一ヵ条要求」;元老・大隈・世論) 第2章 大戦の波動と対応(超然内閣の再現と諸政党;ロシア革命とシベリア出兵;時代転換の兆し) 第3章 「世界の改造」とわが国(パリ平和会議;高揚する国内不安;普選運動の挫折とその前後;...
第1章 第一次世界戦争の勃発(「民衆政治家」の復活;参戦と「二一ヵ条要求」;元老・大隈・世論) 第2章 大戦の波動と対応(超然内閣の再現と諸政党;ロシア革命とシベリア出兵;時代転換の兆し) 第3章 「世界の改造」とわが国(パリ平和会議;高揚する国内不安;普選運動の挫折とその前後;政党政治の実態) 第4章 相対的安定への過程(ワシントン会議;「中間内閣」の季節;護憲運動とその勝利) 著者:岡義武(1902-1990、千代田区、政治学)
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