リラと戦禍の風 の商品レビュー
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上田早夕里の最新作。 新刊が出ても読んだり読まなかったり……で、余り良い読者ではないという自覚はあるが、久しぶりに読むと矢張り面白かった。普通に判断するなら『SFとファンタジーの間』なのだろうが、どうにも『ドッペルゲンガー』という単語が浮かぶ。別に主人公は死にはしないのだがw
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実体と虚体による人間の二面性、実体による実戦の怖さ、虚体による俯瞰の目、永遠の命と簡単に死んでしまう生、やるせなさと自分の無力さ、そして「無」の恐ろしさ。 まだ地球上で紛争があり、第三次世界大戦という言葉も耳はいる。 人間は唯一忘れる動物であること、それは忘れてはいけない。
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第一次世界大戦で負傷したドイツ兵士が主人公。妖術を使う不死の伯爵に拾われ、自らも魔物となって戦禍に苦しむ人たちを救うべく戦う。 SFやファンタジーが得意な作者ならではの設定だが、戦時中のヨーロッパの庶民や兵士たちの苦しみを丁寧に描いていて、むしろそのストーリーに引かれる。 「完...
第一次世界大戦で負傷したドイツ兵士が主人公。妖術を使う不死の伯爵に拾われ、自らも魔物となって戦禍に苦しむ人たちを救うべく戦う。 SFやファンタジーが得意な作者ならではの設定だが、戦時中のヨーロッパの庶民や兵士たちの苦しみを丁寧に描いていて、むしろそのストーリーに引かれる。 「完璧な無」を求める魔物の存在を戦争の背景に置くという発想はおしろいが、ここまで史実を追うのであれば、いっそのことファンタジーやSF要素は排除して、須賀しのぶのように真っ向から戦争を描いてもよいのでは、とさえ感じた。
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上田版『幼女戦記』、なのかなぁ… 作者への期待が大きい分、肩すかし感も大きい。 まぁ、作家としての完成はまだまだ先だ、と思っておきますか。
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好きな作家さんだが、今回と前作(破壊の王)の歴史ものは、個人的には今ひとつ。やはり上田早夕里はSFファンタジーかな。
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21:第一次大戦時のドイツ。イェルクはフランス軍との戦闘中に重症を負い、伯爵と名乗る不死の魔物に救われて実体と虚体の二つの存在に分かたれる。ヒトとヒトでないものが入り交じる欧州で、ヒトでないものの視線を交えて語られるからこそ重みを持つ暴力と希求の歴史。 装画が素敵で、読み終えてか...
21:第一次大戦時のドイツ。イェルクはフランス軍との戦闘中に重症を負い、伯爵と名乗る不死の魔物に救われて実体と虚体の二つの存在に分かたれる。ヒトとヒトでないものが入り交じる欧州で、ヒトでないものの視線を交えて語られるからこそ重みを持つ暴力と希求の歴史。 装画が素敵で、読み終えてから改めて見直したら涙出た。いつの時代、どこの国でも変わらない普遍的な愚かさが描かれていて、落胆すると同時に「エッフェル塔」の希望は失われてほしくないなと。容赦のない重厚さと、清涼な軽やかさで紡がれる歴史ファンタジー。めちゃ面白かった……! 「破滅の王」に比べ、ファンタジー要素が強めのぶん読みやすかったのですが、もしかしてえぐさはこちらの方が勝っているのでは……。
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