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達人伝(23) の商品レビュー

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2019/05/02

「首級をあげること城を落とすことに価値を求めない  あるいは勝利にさえそれ自体の価値を認めない!  私は徹底的に戦に政(まつりごと)を求める!  政としての利を求める!」 蒙ゴウが軍を統べる理由がすっきりと描かれていた。 呂不韋の求めるものは、政に真っ直ぐ向く事象のみ。 戦の勝...

「首級をあげること城を落とすことに価値を求めない  あるいは勝利にさえそれ自体の価値を認めない!  私は徹底的に戦に政(まつりごと)を求める!  政としての利を求める!」 蒙ゴウが軍を統べる理由がすっきりと描かれていた。 呂不韋の求めるものは、政に真っ直ぐ向く事象のみ。 戦の勝利にさえ、政に向いていなければ価値を認めない。 鮮やか。 実に鮮やかに、清々する程、真っ直ぐな新宰相の到来。 商人がゆえ道筋が一本であったんだ、と思わされました。 対して真逆にいながら、同じく真っ直ぐに吠える荘丹。 「人のためにあるのが法ではないのか!?」 清らか。 牢獄で叫ぶ姿が、何よりも増して清廉、静謐に感じた。 この間にズシリと分け入る、政(後の始皇帝)。 「…なんて 素敵だ」 酷薄さ。 生死難局、誰もが怯む場面に、恍惚と涼しげに笑む。 この瞬間、盈政が歴史を出た、とそう実感するシーン。 平原君の死に、嚢中の錐・毛遂。 春申君に、実利の李斯に、吃音の韓非。 魏王の憤慨に、信陵君の盟主挙兵。 鯨骨の王に対する墳墓への嘆き。 もういたるところ、詰まり詰まった一冊でした。

Posted byブクログ