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高台の家 の商品レビュー

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2024/06/08

「高台の家」と「獄衣のない女囚」 の2つの作品が収録れている。 「高台の家」は、研究者の山根が 古本屋で買い集めている本に共通点を見い出し、 古書店の店主に確認して、 持ち主に会いに行くところから始まる。 持ち主の青年は他界しており、 遺された奥さんと両親が高台の家に住んでい...

「高台の家」と「獄衣のない女囚」 の2つの作品が収録れている。 「高台の家」は、研究者の山根が 古本屋で買い集めている本に共通点を見い出し、 古書店の店主に確認して、 持ち主に会いに行くところから始まる。 持ち主の青年は他界しており、 遺された奥さんと両親が高台の家に住んでいる。 お金もあり、サロンに若い男性が集う。 夫に先立たれたのに実家に帰らず 義理両親の元に残るのは何故か。 何度か訪れたサロンの若者と話す中で その意図を読み取ろうとくる山根。 糖尿病を患う義理の父、 甲斐甲斐しく世話を焼く義理の母、 まだ若く魅力的な嫁。 ラストで、この家族の在り方と 異常性が判明する。 心情だったりの言動だったりの描写が 繰り返されなんと冗長なんだと思ったが、 解説を読むと 週刊朝日に連載していたとあり、 その為だったのだとわかった。 「獄衣のない女囚」は、 独身アパートに住む女たちの物語。 男子棟と女子棟のあるアパートで 結婚せず働く女たちが暮らしている。 男子は週末ごと女を連れ込んでおり、 女たちはそれを嫌がっている。 女たちは気の合うもの同士つるんではいるが どこか自己顕示がちらついたりする。 この時代の女性としては立派に働く人たちだか、 心の闇、金品で部屋を飾り立てても 心の虚しさが残るという部分も描かれる。 このアパートで 殺人事件や下着泥棒などが立て続けに起こる。 警部補と刑事が推理を巡らせていく。 推理のストーリーはどんどん変わっていく。 ラストの犯人の言葉が なんとも言えない余韻となる。 巻末の注意書きに 誤解がないようにと書かれているが、 作品に流れる女性観や固定観念などに ものすごく時代を感じる。 1960-1970頃の作品なのね60-70年前。 ここまで時代が変わってきたのかと驚く。 舞台となるアパートには ばりばり働く女性が多く住む。 これをBG…ビジネスガールというらしい。 オールドミスなど、結婚すること前提の表現、 同性愛へも忌避する表現がみられる。 未亡人、ウイドーという言葉も夫ありきで 今では使わない言葉だと思う。 刑事たちの女たちへよ男性目線も厳しく 一部の女性は、読むのが厭がしれない。 でも逆説的に考えると、 今の世の中がいかに多様性に向けて シフトしてきたかがわかるかもしれない。

Posted byブクログ

2021/10/31

表題作の「高台の家」と「獄衣の女囚」が収録。「高台の家」は1972年から、「獄衣の女囚」は1963年から、いずれも週刊誌に連載された作品。「高台の家」は、二世帯の閑静な住宅街にたたずむ洋館で、息子を事故で亡くした嫁が舅姑と一緒に生活しており、嫁を囲む独身男性のサロンが日々開かれて...

表題作の「高台の家」と「獄衣の女囚」が収録。「高台の家」は1972年から、「獄衣の女囚」は1963年から、いずれも週刊誌に連載された作品。「高台の家」は、二世帯の閑静な住宅街にたたずむ洋館で、息子を事故で亡くした嫁が舅姑と一緒に生活しており、嫁を囲む独身男性のサロンが日々開かれている。「獄衣の女囚」は、当時としては羨望の的であった独身男女別々の棟のアパートが舞台。一階に共同風呂や共有スペースには洗濯機など、当時の住宅事情も表れている舞台。

Posted byブクログ