分解者たち の商品レビュー
「野生のしっそう」が散文的にすぎると文句を言っていた私に、この本のほうが背景がまとまっているかもしれないと勧めてくれるひとがいた。確かに、章ごとに意図されている内容がまとまっているけれど、やっぱり読みにくい。見沼田んぼを知っている人が読むならば良いかもしれない。自分が知っているこ...
「野生のしっそう」が散文的にすぎると文句を言っていた私に、この本のほうが背景がまとまっているかもしれないと勧めてくれるひとがいた。確かに、章ごとに意図されている内容がまとまっているけれど、やっぱり読みにくい。見沼田んぼを知っている人が読むならば良いかもしれない。自分が知っていることを雑多に詰め込んだ感もある。屎尿を川に流していた件について大宮市長が辞職した話を書くのに、どうして市長の出生時にさかのぼって経歴を書く必要があるのか。障がい者問題について津久井やまゆり園の事件を地元との関わりの視点からページを割いているが、それが見沼田んぼと比較されるわけでもない。そして一番の問題が、文章がわかりにくいことだ。これは編集や校閲の問題かもしれないが、一文の中に同じ単語が繰り返し登場したり、段落の中で主語が揺れているにもかかわらず、後の文で主語が省略されているなど、著者にとってはわかりやすくても、読者には不親切な書き方になっている。(例をあげるときりがないのでやめておく。)内容としては、良いことも書かれているのだとは思うが、著者が何を考えているのかわからないので、感想を書くのは控える。
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社会の辺境に追いやられ、忘れ去られ、見えているのに見えない存在のように扱われる人たち。 それでもなお、社会の矛盾を引き受け、黙々とそれらを分解していく器の大きい人たち。 誰も皆、名前をもち、確かに生きている。 触れることのできる身体をもち、考える心をもっている。忘れてはいけない。
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ダンゴムシやミミズなどの分解者たちが、硬く踏み固められた地盤を豊かな土壌に変えていくように、障害者が、時には朝鮮人や野宿者が少しずつその地域を、多様な存在が生きる場を作り出していく、その軌跡を描いているのだと思う。
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