りある≠げえむ√H の商品レビュー

上原あり(著者)

2024/08/06

ビッチやヤリ○ンの初恋はいいものだ。求められるままに与えてたらほんとは誰も好きじゃない言われ中略恋愛はゲームと思ってた攻めが自分に落ちなかった相手にのめり込んで初手でボロ負けしてるの本当に愛おしい。自分がもう落とされてることに気づかないままゲームを続行して受けを落としにかかる攻めはハタから見ると少し滑稽なのだけど、不格好な抗いがむしろ功を奏してめでたしめでたし。初めて心を開いての初夜で滅茶苦茶になっちゃってる攻めがほんと可愛い。

そんでゲームとしてなら負け知らずで数知れぬ相手を抱いてきた攻めを呑んじゃう受けの造形が見事。個性派エモ系男子なるジャンルはよくわからないけど道場の子で剣道やってるとか実は走るの速いとかファッション奇抜とか3兄弟の末っ子とか乙女ゲーム好きとか色々属性あるのにキャラの必然性として機能していて凄い。それらが複雑に絡み合った結果なんで攻めの透明な鎧を貫通してきたのかの答え合わせを終盤でしていくのが文字通りエモい。ゲームじゃない初夜らしいリアリティみたいなのがある。どっちが抱かれてるのかわかんない感じ。

恋物語と言えば恋物語なのだけど、攻めの長く孤独な闘いがやっと終わりました、みたいなカタルシスがある。友達も妹もいい奴等なのだけど、心を閉ざしてたのが自分の方だったせいでずいぶん長くかかったねぇ、と、ほんとお疲れさま。

攻めが遊び人なのはともかく受けに同衾できる親友がいるのもノンケらしくて良い。当て馬というほど当たってないけど結構大事なきっかけになってくれたのでこれからも仲良くして欲しい。